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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

体・心・職場。3つの柱で健康経営に取り組む東清株式会社にインタビュー

生活に欠かせない企業として

ーーまずは御社の事業内容について教えてください。

吉村社長:当社のおもな事業内容は、生活環境を保全する業務です。具体的には、生活系廃棄物の収集運搬、公共下水道の維持管理、事業所および一般家庭の浄化槽保守点検と清掃を中心に行なっています。

従業員は現在、パートタイムの方4名を含め86名です。年齢層は幅広いですが、男性従業員の割合が多く、約9割を占めています。

ーー御社は健康経営優良法人の認定が始まる以前から従業員の健康を考えた取り組みをされてきたそうですね。認定の経緯を教えてください。

吉村社長:当社は体の健康づくり・心の健康づくり・職場の環境づくりと、3つの柱で取り組みを行なってきました。

吉村専務:健康経営優良法人の認定は2017年からですが、当社はそれより前に「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」の認定(仕事と家庭の両立支援などに取り組む優良な企業を認定する岐阜県の制度)を受けております。

ワーク・ライフ・バランスと健康経営は別路線のものではなく、健康づくりにはワーク・ライフ・バランスの改善とともに、社長が申し上げた3つの柱が必要と考えてきました。

そして、当社の取り組み内容を知った協会けんぽさんが、健康経営優良法人の認定について教えてくださり、要件を満たしているとのことでしたので、その年度(「健康経営優良法人2018」)から申請をしています。「申請してみてください。今、取り組まれている内容で大丈夫です」と、後押しされたような形ですね。

健康経営優良法人2018・2019と認定を受け、2021・2022の認定では、中小規模法人部門の上位500社であるという認定、「ブライト500」もいただきました。

労災防止のために。朝のラジオ体操は50年以上

ーー体の健康・心の健康・職場環境の3つの柱のうち、まず「体の健康づくり」について教えてください。

吉村社長:50年くらい前から、毎朝ラジオ体操を実施しています。以前は全従業員が集まって体操をしていましたが、近年は新型コロナウイルス感染症の懸念もあり、密を避けるため各部署に分かれて行なっています。

県表彰、中部地方地区表彰、そして2022年には全国表彰などと表彰を何度もいただいており、受賞のたびに正しいラジオ体操のやり方についての出張指導も受けています。2017年には、元ラジオ体操のお姉さんが指導に来てくださいました。

業務上、中腰姿勢は腰を痛めやすいので、仕事前に体を動かしておくことで怪我の予防になります。また、ラジオ体操や朝礼の過程が日常生活から仕事へ頭と体を切り替えるきっかけにもなり、従業員がスムーズに動けているようです。

病気の早期発見・治療のため、健康診断の項目も充実させているのですが、面倒くさがって再受診に行きたがらない人も多いんですね。そのため受診率が上がるよう、仕組みを整えました。

吉村専務:「有休を取ってまで再検査に行けません」という声がありましたので、再検査を受ける際の特別休暇を設けて受診を促進しています。従業員が健康で働いてくれるには、そのご家族の方の健康も重要と考え、ご家族の予防接種や特定健診費用の補助もしています。

吉村社長:受動喫煙への対策は、分煙や喫煙ルールを設けて段階的に行なってきました。原則、社内では吸わないことにし、補助金をいただいて喫煙ボックスを設置しています。車で外回りをする際も「2人以上で乗車するなら同乗者に配慮して吸わないように」というルールも作りました。現在、社内での受動喫煙はほぼ防止できているかと思います。

吉村専務:10年くらい前と比べて喫煙率自体も減ってきましたね。禁煙外来の補助もあるもののあまり利用されていないので、もっとアナウンスをしていきたいと思います。

従業員の健康意識を高める講習会も実施しています。入社して3年未満の若い従業員が、糖尿病になって退職してしまったことがあるんです。それで食生活や食事の仕方、栄養のバランスなどを学ぶ機会を、県の栄養士協会の協力を得て設定しました。

万が一の処置に備え、ヘルメットに工夫

ーー従業員の方が使うヘルメットにも工夫をされているそうですね。

吉村専務:当社は地域性と職業柄、ハチ刺されによる労働災害が一番多いんです。このあたりは山も多いので、ゴミ回収ステーションのなかにハチが巣を作ってしまい、回収時にフタを開けるとハチが驚いて従業員を刺すケースがあります。他にも浄化槽施設の点検時や下水道管理での草刈り作業でも、ハチと遭遇する危険があります。

もし刺されてしまうとアナフィラキシーショックを引き起こす場合がありますから、全員に応急処置キットを持たせています。また、万が一ショックで倒れてしまっても、早急に適切な処置ができるよう、ヘルメットに抗体の有無を表記して備えています。

メンタルヘルス研修や心理士によるカウンセリングも実施

ーー「心の健康づくり」としては、どのような施策をされているのでしょうか。

吉村専務:先ほど紹介しました講習会の内容には、心の健康に関連したものもあります。

以前、入社して3年以内に辞める新人が相次いだことがあり、その理由を探った結果、悩みすぎが原因だったようでした。それで、悩みとの上手な付き合い方、先輩の注意などの捉え方の変換方法、ストレスの緩和方法を学んでもらうため、新人研修のなかにメンタルヘルス研修を取り入れています。

講師の方のアイデアで、マスクにシールを貼って表情を作るワークをしたこともあります。「同じ材料を用意しても人によって作るものが違うように、考え方や感じ方は違う」ということを実感してもらう意味があったようです。

上司に指摘されたことをずっと気にしていると、心が苦しくなってしまいますよね。こうした研修では「考え方は人それぞれ違うのだから、いつまでも気に病まず、仲間と相談し合うのも大切」と新入社員に伝えてもらっています。

吉村社長:役職者向けのコミュニケーション研修もあります。実務は普段の仕事を通じて身につけていけますが、人をマネジメントする際のコミュニケーション能力はなかなか教わる機会がありませんし、自分で考えて実践するにしても大変です。そのため、初めて管理職になった人が学べる場を用意しました。

臨床心理士を活用してのカウンセリングも定期的に実施しています。これは、以前うつ病の疾患を持って入社した従業員がおり、その方へのケアとして行なっていたことがきっかけです。それから、従業員全員の心のケアが必要と感じ、定期的なカウンセリングの場を設けるようになりました。

吉村専務:カウンセリングは従業員だけでなく、ご家族の方も受けられるようにしています。以前、従業員のお子さんの不登校について相談があった際に、家族ぐるみでカウンセリングを受けてもらったんです。そのお子さんはフリースクールの紹介を受けたり、通信制の高校を卒業したりして、現在は就職されて元気に働いているそうです。

このカウンセリングは、新入社員のメンタルフォローとしても受けてもらっていますし、ミスの目立つ人は何らかの悩みを抱えている可能性がありますので、こちらから声かけしてカウンセリングを勧めています。

子育て支援施策や効率の良い働き方も推奨

ーー「職場の環境づくり」としては、どのような施策がありますか?

吉村専務:働きやすい職場環境に必要な福利厚生を従業員自身に考えてもらう「くるみん委員会」を2015年に立ち上げました。この委員会からの要望は随時、社内の取り組みや制度に反映させています。

例えば、毎月お金を積み立てて社内のレクリエーション費用に充てたり、保育園費用の補助の提案があったり。受動喫煙防止の勉強会や生活習慣病予防の講座、ラジオ体操の講習会も「くるみん委員会」から生まれた企画です。

会社主導での制度作りは簡単ですが、従業員自身に考えてもらい、一緒になって取り組むのが大切ではないかと考えています。

吉村社長:くるみん委員会発案の子育て世代支援として、保育園・幼稚園から大学院修了までのお子さんがいる従業員には手当を支給しています。また、以前は男性中心の職場に合わせた勤務時間になっておりましたが、子育て中の方も働きやすいよう、法令が施行される前から有給休暇5日分を時間単位で取得できるようにしました。子どもの健診・通院に便利との声を得ています。

当社の業務では行政の施設に収集した廃棄物を投入するのですが、それらの施設が閉まる時間に合わせて仕事をするよう推奨してきました。原則18時には本社を施錠することとして、効率の良い働き方を呼びかけています。

従業員の健康を考える、魅力ある企業に

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありますか?

吉村専務:やはり健康経営という考え方を従業員へ浸透させること、健康についての意識付けは大変でしたね。

以前からの取り組みが評価されて健康経営優良法人の認定に至っていますが、従業員の自発的な行動を促すのがこれからの課題だと感じています。

ーー取り組みによる効果や社内外からの反響はいかがでしょうか?

吉村社長:近年は残業の少なさや、従業員の健康を考えた経営をしているか等、就職先選びの重要な要素となっています。そうした背景から、当社の取り組みを見て就職先に選んでくれているケースが増えているように感じます。

18時には会社を閉めると決めているので、従業員も仕事にメリハリがつき、効率よく働く意識が高まっているようです。

目標は認定取得ではなく従業員への意識付け

ーー健康経営について今後の目標や計画がありましたらお聞かせください。

吉村専務:今後は従業員が自分自身のために積極的に健康を考えてくれるようにしていきたいですね。どうすれば自発的な行動を促せるのかは非常に難しい問題ですが、これからの課題として取り組んでいきたいと思います。

ーー最後に、これから健康経営に取り組む企業さまや、健康に関心のある読者へのメッセージをお願いします。

吉村社長:健康経営は強制されて取り組むのではなく、自ら意識して行なうものだと思っています。これから取り組みを始められる企業の皆さまは、認定取得だけでなく、本来の目的である従業員の健康意識・行動を促すためにコツコツと取り組まれるのをお勧めします。

健康経営や働きやすい職場作りには、全社一体となって取り組む姿勢が重要なのではないでしょうか。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:東清株式会社

インタビュアー:青柳和香子

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