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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

健康経営で「人生をつくる」時間を増やす。株式会社ウエーブにインタビュー

「存在しないならつくる」。省力化・生産性向上を推進する株式会社ウエーブ

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容について教えてください。

白子社長(以下、白子):インターネット販売の印刷加工業がメイン事業で、近年、省力化・人手不足の補完・生産性向上を目的としたFA(生産工程の自動化)機器の自社開発製作販売事業が加速度的に注目を集めています。

ーーFA(生産工程自動化)機器の開発はどのような経緯で始められたのでしょうか?

白子:アベノミクスが進み、特に5年ほど前には製造業全般で人手不足が深刻になり、当社でも新規採用が難しくなりました。当社は業務負荷を軽減するために、業界ではレベリング機能付きの台車や重量物の運搬をアシストする装置などを先進的に導入していましたが、それでも業務負荷が高いと感じてせっかく入社しても辞めていく人も少なくありませんでした。

そこでどうにか業務を自動化できないかと装置を探したのですが、繊細な紙を扱うことそのものが難しく、当社の要求を満たす妥当な価格の自動化装置が存在していなかったんです。

船木さん(以下、船木):普通なら諦めるところですが、社長は「それなら自分たちで機械をつくったらどうか」と思い立ち、社内で有志を募り、ただちに自動化装置の企画・設計に着手しました。そしてもちろん製作も自社で行ない、誕生したのが「ウエーブ15P(イチゴーピー)-シリーズ」です。

名前も自動化を行なうメリット15個をPで始まる英単語でそれぞれ表現して、社長と船木で考えました。印刷加工現場を熟知してテストも自由にできる当社だからこそ、かゆいところに手が届くお手頃価格の自動化装置を生み出すことができました。

今では「印刷加工業で可能なら、うちの産業でもできるのではないか」と、衛生用品から自動車部品、インテリア用品などさまざまな業界から特注FA機器製作のご依頼をいただくようになりました。

重労働・単純・危険作業を長時間続ける大変さ、急な残業などが、働く人の立場になって改善された環境、そして誰もが楽に楽しく働ける職場であれば人手不足に陥ることもないのではないかと考えています。

「生産効率を上げて楽になる」ことを目指して

ーー御社では健康経営という概念が広まる前から従業員を大切にする取り組みをされていたのですね。

白子:以前から、怪我や病気をした際に従業員が会社加入の疾病保険金を受け取れるようにもしていました。健康経営優良法人の認定制度を知ったのは、制度開始から2年目に保険会社の方に「特別なことをしなくてもきっと申請が通りますよ」と言われたことがきっかけです。そして船木が急遽申請をして、それからずっと優良法人に認定されています。

ーー実際にどのような取り組みをされているのでしょうか?

白子:例えば誰が使ってもいいトレーニングジムは社内に15年ほど前からあります。バスケットボールのゴールや野球道具、サッカーボール、バレーボールなどもありますので、体を動かしたい人はいつでも自由に使えます。

船木:男女別の休憩室もあり、常時マットが敷いてあります。ヨガもできれば休憩もできます。女性用休憩室は施錠もできます。休憩時間にはぐっすり眠っている人もいますね。起きられるのかなと心配になるくらいです(笑)。

ーー御社の場合、先ほどの業務自動化も健康につながりそうですね。

白子:私自身がリアルタイムでの現状把握のために作業現場を何度も見回り、自動化できそうな工程をピックアップしています。完全に自動化しなくても、一番大変な作業だけでも自動化すればその変化は大きいですし、複数工程にまたがるような作業も一気通貫で終わらせられれば時間を大幅に短縮できます。生産効率を上げながら人が楽になることを目指してきました。

船木:今では社内で必要な装置はほとんど用意できていますので、あまり使われていない装置を改良するためにその要因を分析したり、体の使い方や、残業の発生につながっていそうな人の動きなどを私が中心に見回ったりしています。生産の上流から下流まで、滞りなくスッと川のように流れていくようにする活動です。

脳活「朝20分講習」とイントラネットでコミュニケーション促進

ーーほかにはどのような取り組みをされていますか?

船木:変わった活動として週に1回「朝20分講習」というものがあります。私が講師を務めており、経済・社会問題からプレゼンテーションの仕方、レポートの書き方まで、さまざまなトピックの講習です。取締役から一般社員まで、離れた事業所もWebでつないで希望者が参加しています。

さまざまな部署、事業所、年代の社員が集まりますので、縦も横も非常に風通しの良い関係性づくりにつながっています。終業後ではなく就業時間内の活動なので「朝から頭がしゃきっとする」という声もありますね。ちなみに変わったトピックは「孫子の兵法」でした。今まで触れてこなかったような内容を学んで自分の実体験にしていただける、そんな内容を選んでいます。

ーー非常に面白い取り組みですね。その講習は毎回20分間で完結するのでしょうか?

船木:講習に参加した感想と参加できた内容の振り返りを必ず書いてもらい、あとからそれに対する返事も私が一人ひとり書いています。誰がどのような考えで働いているのかを知ることができますし、毎週書いていると交換日記のようになってくるんですよ。

やはり振り返りとそれに対するコメントがあることで社員はやる気になってくれますし、彼らが参加していない人にも良い空気を広げている気がします。ただやみくもに働くだけではなく、さまざまなことに関心を持とうと発信してくれていますね。

社内イントラネットにコミュニケーションサイトも作りました。そこでは、社員同士の自己紹介をしてもらったりしています。今は年末まで「今まで一番面白かったこと」といったテーマでの投稿企画をしている最中で、2022年を「笑い」で終わろうとしています。フィリピンから来た社員もいるのですが、英語で書いてもらった文章を私が日本語に訳して、とにかく社員全員でコミュニケーションを楽しめるようにしています。

こうした場をきっかけに話したことのなかった社員から声をかけられて、親しくなって別の趣味ができたという社員もいました。

健康情報の発信にもイントラネットを活用

ーー社内のイントラネットは、ほかにどのような使い方をされていますか?

船木:「今月の健康通信」というページで、私が毎月健康に関する情報を発信しています。実は新型コロナウイルス感染症が日本に入ってきたときも、2020年の1月8日に「中国の武漢でこんな病気が流行っているから気を付けましょうね」と投稿していました。国内の企業ではいち早く注意喚起ができたのではないかと思います。

ほかにも季節の食材を使った料理紹介や食材が持つ価値なども紹介しています。これは「食生活の改善提案」コーナーとして、当社ホームページ内で外部の皆さんにもご紹介しています。

産業医は「一緒に仕事をする」存在

ーー御社では産業医である船木さんがとても身近な存在なのですね。

船木:入社して10年以上経ちましたので、社員の名前を聞けばその人の健康状態についてすぐ思い出せるくらいにはなりました。廊下を歩いているとその場で本人やご家族の健康について相談されることもよくあります。

定期健康診断後の個別面談もたくさん実施しているのですが、年々皆さんがよりしっかりと耳を傾けてくれるようになっています。日頃から一緒に仕事をしているという意識が強いからではないでしょうか。

健康経営が生んだ時間で自分の人生をつくる時代に

ーー健康経営について、新たな課題や今後の計画はありますか?

白子:大変な仕事を減らすために作業の自動化を推進したら、社員があまり体を動かさなくなってしまいました。事業所がある滋賀も仙台も東京も車社会ですし、コロナ禍で家にいる時間が増えたことを機に、運動不足に拍車がかかっていますね。

船木:残業は社員全員分を合わせて年間100時間程度なので、おそらくこれ以上は減らせません。ここまで業務負荷が軽くなったのはいいことですが、人間には適度な緊張感も必要といわれていますので、こうなると毎日のモチベーションや達成感が重要だと感じています。

運動不足による高脂血症や体重増加を防ぐために、今年度は健康上の努力目標を一人ひとり書いてもらい、毎日の成果を記録してもらいました。コロナ禍が落ち着いたらスポーツ大会の実施も検討したいですね。人は自分のためではなくチームのためであればがんばれるものですから、新たなモチベーションの出現により、運動促進につながるのではないかと思います。

ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

白子:当社では生産性向上を目的としてさまざまな取り組みをしていますが、生きていくうえで緊張感がなくなり、思考しなくなったらどんどんダメになってしまうとも思います。

会社が働きやすい環境になって健康経営が進んだら、自然と残業時間が減って個人が考える時間や行動する時間が生まれるはずですので、その時間の使い方は一人ひとりが考えていけたらいいですね。

船木:いくら結果が自分自身のためになるとはいえ、誰でも「健康診断の結果が良くないから毎日2時間走ってください」などと強制されたくはないと思います。自分の人生を自分でつくる時間を会社が増やす、当社はそういった認識で健康経営を推進しています。

どんなものを食べてどれだけ運動するかを自分自身が考え、増えた自由な時間を自分のために有効活用していくこともまた重要なのではないでしょうか。

ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社ウエーブ

インタビュアー:青柳和香子

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