
日東公進株式会社は京都府綾部市に本社を構える、総合装置メーカーです。産業用ネジ締め機や小袋包装機など、多彩な製品の設計から製造、販売を手がけています。
食事や運動、睡眠などバランス良く健康を増進する取り組みを実施しており、2022年には健康経営優良法人2022(ブライト500)に認定されました。
今回は同社の健康経営推進を担当する佐々木さん、北山さんにお話を伺いました。
親会社と足並みをそろえて健康経営をスタート

ーーまずは御社の事業内容や沿革について教えてください。
佐々木さん(以下、佐々木):弊社は1948年に日東精工株式会社の関連会社として、京都府綾部市に設立された会社です。事業内容はカメラ部品の加工、組立、検査から始まり、1976年からは現在の主力である産業用ネジ締め機の製造、1979年からは半導体製造装置の設計、製造を始めました。また、2012年から自社製品である小袋包装機、高速包装機の設計、製造、販売も開始しています。
ーーブライト500の認定も取得されていますが、どのようなきっかけで健康経営を始められたのでしょうか?
佐々木:親会社の日東精工株式会社で2019年から始まった中期経営計画の戦略テーマに、健康経営の概念が盛り込まれて取り組みが進められました。弊社も従業員が安心して健康で働きやすい環境づくりに力を入れるようになり、2020年6月に健康宣言を行ない日東精工株式会社と足並みをそろえて健康経営の取り組みを始めました。
北山さん(以下、北山):弊社は、社是「我等の信条」に「健康を増進し、健全な人格をつくる、明るい職場をつくる」といった文言を掲げ、創業当時から従業員の健康を大切にした経営を実践してきました。そういった土壌が始めるうえで大きかったと思います。
ーー従業員のみなさんの健康状態について、改善が必要だと感じていた点はありますか?
佐々木:私自身にもいえることですが日頃から運動不足になりがちな従業員が多く、体を動かしてもらう機会づくりが必要と感じています。個人で運動を始めようと思っても機会も少なく、腰が重たい方も多いと思います。
我々としては会社が開催するイベントやセミナーがきっかけとなり、自身の健康への意識が高まってほしいと考えています。一緒に運動する仲間ができることで継続した取り組みとなり、良い結果につなげていきたいと思っています。
ーー運動不足の方が多いのは、どこに原因があるのでしょうか?
北山:弊社の従業員の約半数がデスクワークをしているうえに、ほぼ全員がマイカー通勤をしています。京都北部の田舎町ですので、車は一家に一台ではなく、一人一台というような地域です。休みの日にでかけるにしても車の利用が中心になってしまいます。そういった背景も含めて、さまざまな要因があり、「一日30分以上の運動を週2日以上のペースで1年以上されている方」の割合は、ここ数年20%以下で推移しています。
バランスよく健康を目指せる取り組みを実施

ーー具体的な施策をお聞かせください。
北山:日東グループ独自の取り組みとしてNicotto7というものがあります。具体的には、「運動」「夕食」「朝食」「飲酒」「メンタルヘルス」「禁煙」「睡眠」の7項目において、生活習慣の改善や健康リスクの軽減を行ない、活気ある職場づくりに取り組んでいます。あと体力チェックや各種健康セミナー、禁煙キャンペーンなども行なっています。
ーーNicotto7の7つ項目のなかで、特に力を入れていることはありますか?
北山:運動と禁煙です。弊社の2019年の喫煙率は、29%と非常に高い状況にありました。また、喫煙者のほとんどが喫煙歴の長い方で、健康リスクの心配がありました。現在は、禁煙キャンペーンなどの効果もあり、喫煙率を19%まで低減させることができています。
佐々木:Nicotto7は、各項目の目標値を決めて取り組んでいます。ポイント制になっているのが良いところで、各項目の基準をクリアすればポイントがもらえます。貯まったポイントはQuoカードに交換できる仕組みです。1年間の取り組みのなかで自分がどのくらいのポイントを貯められたのか、目標を持って取り組める活動になっています。
取り組みやすいものとしては、夕食や朝食の項目ですね。例えば、夕食を就寝時間の2時間前までに食べ終えているか、といった基準になっています。誰でも取り組みやすい内容になっているのが特徴です。
ーーさまざまな取り組みをされていますが、特に反響を感じた施策はありますか?
佐々木:ウォーキングイベントです。従業員に声かけをして、定時後に集まって約30分程度のウォーキングをしています。だらだら歩くのではなく有酸素運動ぐらいの動きで30分歩くのは、なかなかハードですが、続けることによって徐々に体も慣れてきて、ウォーキング後はスッキリします。参加者からも「参加してよかった」との声が聞けました。
冬は日が暮れるのが早いので実施していませんが、日が長くなれば再開してウォーキングの習慣が従業員に定着すればいいなと思っています。
北山:弊社単独のウォーキングイベントを今年初めて開催しましたが、参加者からはすごく好意的な意見をいただいています。「継続開催してほしい」との声も多数あり、やってよかったと感じています。
健康への関心は確実に高まっている

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことや苦労したことがあれば教えてください。
佐々木:従業員一人ひとりの健康に対する意識を、どのように向上させるかという点は苦労しています。従業員の食生活や運動、睡眠、喫煙などを、会社が強制することはできません。
そのなかで会社としては従業員自らが行動しやすいように、健康経営の目的や考え方を明確にして、こまめに発信を繰り返し、担当者や所属長が率先して行動するように心がけています。いかに従業員の自主的な行動を促す環境をつくるかが、一番苦労しているところです。
北山:まず私自身が健康経営について理解を深めていかなければなりませんでした。日東精工株式会社の担当者からいろいろと指導やアドバイスを受け学んでいくことと並行して、従業員に健康経営の目的や取り組みを浸透させていくということが大変でした。
ーー取り組みをされてみて、従業員のみなさんからの反響はいかがですか?
佐々木:健康経営セミナーへの参加は回を重ねるごとに参加者が徐々に増えつつあり、健康管理に関心が高まってきているように感じます。健康経営セミナーは外部講師の方にお越しいただき、歯や肩こり、目、体内脂肪といった身近で興味深いテーマで開催しています。
例えば、「80歳になっても自分の歯を20本保とう」というテーマで、必要な予防対策など日常生活のなかで取り組みやすい対策を説明いただきました。参加者からは「ぜひ実践していきたい」との声があがっています。
北山:健康に対する意識が徐々に浸透していると感じています。2020年から始めた体力チェックの参加率は当初から81.7%と高かったのですが、2021年、2022年は100%と全員が取り組んでくれました。参加率100%を達成したのは日東グループ(親会社の各事業部)のなかでも、弊社だけです。Nicotto7に関しても昨年は全員に取り組んでいただき、ウォーキングイベントも予想していたよりも多くの方に参加していただけました。
楽しく健康になれる場を提供していきたい
ーー今後の目標や展望がありましたらお聞かせください。
北山:コロナ禍で集団でのイベントなどの開催は難しい面もありますが、みんなで楽しく健康づくりやコミュニケーションが取れる場を設けていきたいと考えています。これまで個人単位でアプローチをしていたものも、継続しつつ「組織の健康」にも取り組んでいきたいと考えています。具体的にはプレゼンティーズムが高いので、減少するような施策や働きやすい職場づくりを目指して取り組んでいきたいです。
佐々木:より多くの従業員に健康に関心を持って積極的に参加していただき、次回の開催を楽しみにしてもらえるような取り組みをしていきたいです。
ーー健康に関心のある読者や、健康経営に取り組む企業の担当者へメッセージをお願いします。
佐々木:心身ともに健康で元気に働けるように、今から健康を意識して向上させる行動が求められています。自身の生活習慣を見直して生活をしても、すぐに結果に結びつくことはありませんが継続して取り組むことが大切だと思います。従業員が関心をもつようなテーマで取り組みを計画して、従業員と一緒にできることからはじめてみることが重要だと思います。取り組みについては反応を見ながら少しずつやり方や手法を改善していけばいいと思いますので、何より継続して楽しみながらやることが大事だと思います。
北山:取り組みは、少しずつ無理のない範囲で実践されるのがいいと思います。すぐに効果が表れるものではありませんが、習慣となるような形で継続していくことが大切だと思います。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:日東公進株式会社
インタビュアー:朝本麻衣子
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