
星和化成株式会社は愛知県に本社を構え、大型成形機を用いてプラスチックの製造を行なっている会社です。近年では、車のパーツなどの成形加工を行なっています。
健康経営の取り組みでは社員の働く環境改善に力を入れ、健康経営優良法人2021と2022の認定時には、中小規模法人部門の上位500社に認定されるブライト500を取得されました。
今回は同社の代表取締役 磯野さん、専務取締役 堀場さん、総務人事課 課長 嘉無木さんにお話を伺いました。
健康づくり企業チャレンジへの参加がきっかけとなった

ーー御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
嘉無木さん(以下、嘉無木):当社は1962年に設立し、プラスチック成形や車のパーツを作っている会社です。大型成形機を保有し、内装品や外装品、バンパーやグリル、グラブボックスなどを成形加工しています。
ーー健康経営を始められたきっかけについて教えてください。
嘉無木:2016年に健康保険協会の方と愛知県大府市健康推進課の方が来社され、「健康づくり企業チャレンジ」の説明を受けました。このことがきっかけで健康宣言を行ない、健康経営に取り組み始めました。
立ち仕事による課題を解決するために施策を提案

ーー健康経営の取り組みを通して、社員の皆さんの健康状態について改善が必要だと感じた点はありますか?
嘉無木:運動不足の社員が多くいたことです。改善に向けて、初めはスポーツジムの優待券を配布し、運動することを呼びかけました。しかし、運動に関心のない方に自らジムに行ってもらうのはハードルが高いようで、なかなか利用者が増えませんでした。「それなら、会社でやろう!」とオフィスで開催する施策に切り替えました。
2017年から2019年には、インストラクターの方を招いて「オフィス体操」を実施しました。体操メニューとして、最初は楽しく運動をすることを目的とし「脳活トレーニング」を行ない、その後は社員の希望を取り入れたメニューを企画しています。
例えば、立ち仕事が多く、肩や腰の痛みに悩まされている社員がいたので、「肩こり解消ストレッチ」や「腰痛緩和フィットネス」を取り入れたり、お正月のあとには「おなか引き締めエクササイズ」「簡単フィットネスチェック」を実施したりするなど、そのときどきの要望に応えるテーマでオフィス体操を開催しています。近年は新型コロナウイルスの影響で残念ながら開催できていません。
ーーその他にはどのような取り組みをされているのでしょうか。
嘉無木:社員の健康意識向上を目指して、健康講座を開催しました。夏バテ予防などの時期に合わせたものや、歯の健康(健口)講座、楽しい食事講座、女性に特化した健康講座など、幅広く設定しています。
コロナ渦で集合研修ができないときには、毎日乳酸菌を飲むことで体調を整えてもらおうと考え、2020年12月から2021年02月には希望する社員全員に、睡眠・血圧・体脂肪・乳酸菌の4種類の健康飲料から選択してもらい、2カ月分を無料配布したこともあります。
その他、2017年から大府市健康プログラム「歩数計イベント」に参加しています。今年は当社から、11チーム55人の社員が参加中です。チーム戦のため、上位を目指してコミュニケーションを取る機会も増えました。毎日、歩数を意識することで運動習慣につながっていくと期待しています。
また、同じく2017年から、駅伝大会に参加しています。会社内で駅伝チームを作り、社長も2017年と2018年はランナーとして参加しました(2020年と2021年新型コロナウイルスの影響で中止)。
コロナ禍の前には、メンバーで公園やジムで合同練習をしたあとご飯ミーティングをするなど、コニュニケーションを取る機会も多くありました。運動が苦手な方には仮装部門で参加できるようにして、2018年は男性ランナーが女装して走り、2019年は自社製品を持ちコースを行進するなど、2チームずつ参加しました。2年ぶりに開催される2022年11月6日の駅伝大会にも1チームがエントリーしました。
ーー運動だけでなく、コミュニケーションも大切にされているのですね。
嘉無木:弊社にはコミュニケーションツールがたくさんあります。以前は会社のイベントとして、バス旅行やボウリング大会、BBQなども開催していましたが、こちらも新型コロナウイルスの影響で一時中止しています。もっとコミュニケーションが取れる施策を行ないたいですが、この状況ではなかなか思うように進められません。
現在は表彰制度として、不具合発見表彰や改善提案表彰があり、月に1度全体朝礼にて表彰式があります。みんなの前で表彰されると自信につながると考え、開催に至りました。
また、誕生月には会社からプレゼントがあり、その際に代表社員が1年の抱負を話します。これからも社員から喜んでもらえる楽しい企画を増やしていきたいです。
社員が働く環境を改善していくために

ーー職場環境の整備にも力を入れていると伺いました。どのような取り組みをされていますか?
堀場さん(以下、堀場):コロナ渦になってからは働く環境の整備を行ない、社員の方の困りごとを一つずつ改善してきました。
例えば、「箱の上げ下ろしが大変」という社員からの意見があったときには、箱をなくし、キャスター付きの台車を手づくりで作成しました。その結果、「箱の上げ下ろしがなくなり腰の負担が軽減された」「フォークリフト作業が少なくなりエコになった」「キャスター付き台車なので女性でもできる仕事が増えた」などの反響がありました。
また、箱がなくなったことでオフィスに場所が空いたので、新しく休憩室を作ることもできましたね。社員が手づくりで作成した台車のため、愛着を感じて大切に活用してくれています。
また、「製品を運ぶ距離が長い」という意見に対しては、ベルトコンベアを設置して人が運ばなくても製品が流れてくるように改善しました。以前は機械ごとに部給者がいましたが、ベルトコンベアの先に1人配置すれば良くなったので、省人化し業務効率を上げることにもつながりました。
その他、働き方改革としては年休取得率の向上にも取り組み、2022年には全社で取得率60%を目指しています。さらに、毎週水曜日をノー残業デイとして設定することや、毎週各部の残業時間の集計を採ることで残業時間の管理も行なっています。
ーー健康経営の取り組みを行なうなかで、大変だったことはありましたか?
嘉無木:最初は何から始めたらいいのかわからなかったため、体制を整えるまでが大変でしたね。当社ですぐに取り組めるものから始めようと思い、事例集や事例発表会に参加して知識の収集を行ないました。
社員からも健康経営の取り組みが理解されるようになった

ーー健康経営の取り組みに対する反響はいかがでしたか?
嘉無木:履歴書に「健康経営に力を入れている会社だと感じたので応募しました」と書いている方を数名見かけたことから、採用面でも効果が出ていると実感しました。
また、1年に一度、社員向けに健康経営についてのアンケートを実施していますが、健康経営の取り組みについて、理解してくれていると感じるコメントもありました。「社員を大切に思い、健康に気を使っている会社」だと理解してくれているようです。
ーー健康経営についての今後の計画を教えてください。
嘉無木:働きやすい環境整備についても継続的に取り組み、健康で安心・安全に働ける会社づくりを目指していきます。現在、誰でも自由に利用できるよう、食堂に血圧計と体組成計を設置しています。自分の体をチェックすることで健康意識も高めていってほしいですね。
健康経営はできることから始める
ーー健康に関心のある読者の方や企業の健康経営ご担当者の方に向けて、メッセージをお願いします。
嘉無木:当社は事例集や事例発表会に参加し、喫煙についての取り組みから始めました。敷地内禁煙を実施し、喫煙率34%から28%まで減少しているところです。ほかの企業の取り組みを参考にして、無理せず、簡単にできることから始めてください!いつから始めても大丈夫です。
ーー本日はお話いただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:星和化成株式会社
インタビュアー:塩野実莉
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