
従業員の働きがいと成長を実現できるよう、健康経営に取り組んでいる佐川グローバルロジスティクス株式会社。経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」の認定も受けています。
すべての従業員が活き活きと働ける風土づくりをするために、実際にどのような取り組みをされているのか、人事部の吉原通之部長と相良和幸さん、福万紗代さんにお話を伺いました。
従業員の健康を大切にすることがイノベーションにつながる

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容について教えてください。
吉原部長(以下、吉原):佐川急便を中心とした総合物流企業グループ「SGホールディングスグループ」がございます。当社は、このグループ内でロジスティクス事業を展開する企業です。
国内を中心とした物流に関するコンサルティングやプラットフォーム物流・オーダーメイド物流・輸送チャーターがおもな事業内容で、全国に92の拠点があり、従業員数は約8,000人です。
ーー御社は2020年から「健康経営優良法人 大規模法人部門」に認定されています。健康経営スタートのきっかけについて教えていただけますか?
吉原:きっかけは新ビジネスを考える若手メンバーからの声でした。彼らがさまざまなビジネスを考えていくなかで、どのような事業を展開するにしてもまずは従業員の健康を推進すること、そしてその活動を企業としてアピールする必要性に気付きました。
また、健康への投資は従業員の活力を高めることにつながり、組織の活性化とイノベーションが生まれる組織への成長に役立つと考えました。当社では健康に関する取り組みをすでにいくつか実施していましたので、「健康経営優良法人」への申請をしやすかったという背景もあります。
スポーツイベントやアプリ活用で健康増進のきっかけづくり
ーーすでに実施されていた取り組みとはどのようなものでしたか?
吉原:大きく分けて二つの取り組みをしていました。一つは重症化予防のための保健指導です。健康診断の有所見者に対する二次検査受診勧奨は、10年以上前から力を入れていました。
もう一つは、健康増進活動の推進です。健康な体づくりには運動は欠かせない要素ですので、全社的にスポーツイベントやウォーキングイベントなどを企画・実施しています。これらは健康な体づくりを促進するだけでなく、社内コミュニケーションの促進にもつながっていると思います。
スポーツイベントの取り組みはSGホールディングスグループ健康保険組合からも評価され、組織的な健康増進活動を推進している事業会社に贈られる「2019健康事業場」の表彰をいただきました。
相良さん(以下、相良):2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で集合型のイベント開催が難しくなりましたが、いくつかの営業所では健康アプリを導入して、従業員どうしが励まし合いながらウォーキングを続けています。
ーーアプリについて詳しく教えていただけますか?
相良:体重と摂取した食事、歩数を含めその日どれくらい運動したかを記録できるアプリです。
ただ、こうしたツールはきっかけに過ぎないと思っています。従業員にきっかけを提供し、日々体重を計ったり、食べた食事がどれくらいのカロリーなのかを把握したり、どれだけ運動しているのか数字で見たりすることで、より自分の健康に関心を持つことにつながってほしいですね。
各営業所に健康管理推進者を置くことで、きめ細やかなケアを実現

ーー健康経営を始めてから注力されていることはありますか?
吉原:健康に無頓着でいると、後から取り返しがつかなくなってしまいますので、多少お節介をしてでもきちんと二次検査を受けてもらうことを強く推奨しています。
また、当社が所属するSGホールディングスグループの取り組みとして、肥満対策のための「SGスマートプログラム」というものがあります。これは健康診断結果で基準に該当した従業員が、保健師や管理栄養士など専門家の指導・サポートを受けながら行なう、生活改善のためのプログラムです。
肥満などの生活習慣病は放っておくと、糖尿病や高脂血症、高血圧などの病気につながるリスクも上がるほか、仕事の生産性も落ちてしまいかねません。そのため健康を保って楽しく良い仕事をしてもらうために、このプログラムを活用しています。
これらの取り組みを実施できる体制づくりとして、各営業所に「健康管理推進者」を置き、従業員の健康管理を推進してもらっています。
社内イントラを活用した情報発信も
ーー健康情報の発信もされているそうですね。具体的にはどのような内容なのでしょうか。
吉原:当社にはパートナー社員(パート・アルバイト)の方が多いのですが、女性比率が高く、70%が女性です。年齢層は幅広いですが、40〜50代の方が多く勤務されています。そこで社内イントラ内に「SgLabo」というページを設けて、女性特有の健康課題を中心に情報提供をしています。例えば、女性ホルモンの働きが心身に与える影響を男性従業員にも理解してもらうための情報などを掲載しています。
ほかにも、SGホールディングスグループ健康保険組合が発行する「SG健保ナビ」で健康情報が発信されていますし、従業員とその家族が利用できる外部専門機関による相談窓口の「SGホールディングスグループ健康ダイヤル24」といった従業員が気軽に相談できる体制が整っています。
福万さん(以下、福万):また、近隣にコンビニがない営業所の女子トイレに生理用品を置くなど、従業員が安心して働ける環境づくりにも取り組んでいます。従業員の声に寄り添い、安心して働けるよう、ケアの体制づくりを進めているところです。
健康意識の向上には「受け入れやすさ」を考慮することも重要

ーー取り組みをされていくなかで、課題に思われていることはありますか?
吉原:さまざまな取り組みをしていても、健康に無関心な人に関心を持ってもらうのはなかなか難しいと感じています。
相良:例えば健康アプリは本来、肥満気味の方や運動習慣のない方に積極的に使ってもらいたいのですが、実際に使っているのはもともと健康に関心のある方ばかりです。二次検査の受診率や「SGスマートプログラム」の参加率は上げられますが、肥満度のスコアは簡単には下がらないですね。
企画へ積極的に参加するのも健康意識が高い方が多いので、アプローチしたい層へどのように関心を持たせるかが課題だと感じています。
ーー効果を感じた働きかけはありますか?
吉原:やはり各営業所にいる健康管理推者の存在が、「SGスマートプログラム」の数値向上に貢献してくれたと思っています。
肥満はセンシティブな話題で、特に女性に伝えにくいという面があります。そこで、女性には女性の担当者を介して伝えるようにしています。
健康を土台に、働きがいのある職場環境づくりを進めたい

ーー今後の展望をお聞かせください。
吉原:良い健康状態を土台として、一人ひとりの従業員が活力を持って日々の業務を行なえたり、プライベートを楽しめたりする環境を提供したいと考えています。
従業員の働きがいを高められるようなプロジェクトも、経営層を巻き込んで計画が進んでいます。一人ひとりのモチベーションが高まる職場をつくりたいというのが私たちの願いです。
福万:例えば最近始めたのは、コミュニケーション活性化を目的としたグループチャットの活用です。
所属に関係なく社内のさまざまな人と交流できることで、通常業務で接する範囲を超えた知見も得られるので、従業員の方々に楽しんでもらえていると感じています。
こうしたコミュニケーションの活性化を通して、従業員が会社に来るのが楽しみになる職場にしていきたいですね。そうした環境があると心身の健康を保ちやすくなって、好循環が生まれると考えています。
ーー最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
吉原:私たちは健康が人生の土台であると考えていますので、従業員に少しでも健康意識を持ってほしいと思いますし、積極的な健康づくりを働きかけられるような会社でありたいと思っています。今後も従業員やそのご家族の人生をより豊かなものにできるよう、取り組みを進めてまいります。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:佐川グローバルロジスティクス株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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