
株式会社沖縄債権回収サービスは、沖縄県内の金融機関などから出資を受けて設立した、債権管理回収事業を営む会社です。令和元年には創業20周年を迎えました。
健康経営については、禁煙チャレンジやダイエットチャレンジという、社員の皆さんが楽しめるアイデアが詰まった施策に取り組まれています。今回は同社の代表取締役社長 宮城 博さんにお話を伺いました。
国内で26番目に法務大臣の許可を受けた、債権管理回収専門会社

ーー本日はよろしくお願いいたします。御社の沿革や事業内容について教えてください。
宮城さん(以下、宮城):当社は沖縄県に本社を置き、県内の金融機関から債権の委託または譲渡を受け、債権管理回収業を営んでいる企業です。債権管理回収業は、本来弁護士法で弁護士しか行なえない業務でしたが、許可制度を採ることにより民間企業でも債権管理回収を業として行なうことができ、当社では1999年8月23日に法務大臣の許可を受け業務を開始しました。
20年以上事業を続けるなかで、お客様から事業に関する悩み相談を受けることも多いことから、債権管理回収業で培ったノウハウを活かし、近年ではM&Aや事業再生業務及び経営改善計画の支援など、ソリューションビジネスも展開しています。
健康そうに見えても、健康が損なわれていることがある
ーー健康経営を始めたきっかけについて教えてください。
宮城:2011年に当社の社員が病気で亡くなった出来事がありました。普段、一緒に仕事をしているときは元気そうに見えていましたが、後に確認すると、人間ドッグで再検査が必要と診断されていたようです。「毎日元気に一生懸命働いている社員でも、健康が損なわれていることがある」ということを実感し、会社としても取り組み不足を反省しました。
創業当時から、会社を経営するうえで最も重要なことは「人材」だと考えていますが、「社員が健康でないと、会社も健康になれない」ということを再認識し、健康経営の取り組みを強化していくことになりました。2012年、会社・お客様・社員の3者が健康になっていくヘルシーカンパニーを目指そうと取り組みを始めました。
心身の健康について相談できる場所をつくる
ーー具体的にはどのような取り組みを行なったのでしょうか。
宮城:産業医を選任して健康相談会の実施や、健康保険協会とタイアップして社員の健康管理を推進していくことにしました。
健康相談会では、産業医の方に月2回来社してもらっています。健康診断や人間ドッグの結果を受けて、体調の相談や悪い数値についての改善提案、場合によっては病院を紹介することもあります。安心して悩み相談ができる場なので、体の健康だけでなく心の健康についても相談することができます。
健康管理の推進については、全員に歩数計を配布して一日1万歩を目指して歩いてもらう取り組みを始めました。歩数を会社に共有してもらい、部署ごとに集計を行ないました。社員が運動習慣を身につけるために、運動できる環境を整えることを意識していますね。
また、健康診断や人間ドッグの費用補助は行なっていましたが、結果が悪かった場合のフォローまで取り組めていませんでした。そこで、健康診断結果のフォローについて産業医と相談し、注力して取り組みました。
禁煙やダイエットを目的とした社内チャレンジャー制度
ーー社員の健康についての課題は、どのようなところにありましたか?
宮城:全国平均と比較して喫煙率が高いところでした。タバコは健康を害する一因のため、改善する必要があると考えていました。そこで、社内を全面禁煙にすることや禁煙外来の費用補助、禁煙を進めている社員のなかで9カ月以上禁煙を続けることができた方には、30,000円の奨励金を付与する施策を行ないました。
取り組みの初年度には14名が禁煙にチャレンジし、一時は禁煙に成功した社員もいましたが、継続できない社員も多く、結果的には2名の社員が禁煙に成功しました。そのあとも年々禁煙成功者が出ているところです。
また、メタボリックシンドロームの割合が高いことについても改善が必要だと考えました。そこでダイエット企画を会社で企画し、BMIの数値をもとに7名を選び、希望者8名の計15名の社員でチャレンジしました。まず、目標値を設定してもらい、実施期間中は週に一度測定した体重を記録して、達成率をグラフで表していきます。目標を達成した社員には、10,000円、最も減量幅が大きかった社員には30,000円の奨励金を付与しました。
このような企画を継続して行ない、少しずつ改善に向かっていければと思います。
ーー心の健康については、どのような施策に取り組まれましたか?
宮城:スーパープレミアムフライデーを実施しています。これは、毎月第一・第三のどちらかの金曜日の午後を休みにする制度です。年次有給休暇を使用する制度ですが、なかなか休みが取れない社員にも休暇を取ってもらうことで、働きやすさにつなげてほしいと考えています。体の健康は見えやすいですが、心の健康は見えにくいところですので、これからも取り組みを進めていきたいと思います。
予防を進めるためには健康に対する意識を持つことが必要

ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありますか?
宮城:健康経営の取り組みは目に見えにくいもので、病気をしていても自覚症状がない可能性もあります。健康に対する意識の差があるなかで、健康経営の取り組みを浸透させることは難しいことです。メタボリックシンドロームや喫煙も、現状の習慣に慣れてしまっている方が多いので、改善はスムーズに進みませんでしたね。
そこで、健康に対する知識を得ることで社員の意識が変化していけばと思い、社内で健康セミナーを実施しました。タバコや食生活、メンタルヘルスなどをテーマとして取り上げています。
ーー健康経営の取り組みに関して、社員の方の反響はいかがでしたか?
宮城:取り組みを進めていくなかで、以前よりも健康になった社員はそれを維持しようと積極的に運動をするようになりました。ほかの社員も影響されて、みんなで集まってスポーツを楽しむ姿も見かけます。
最近は、社員が自ら発足してクラブ活動を行なっています。ゴルフクラブ、卓球クラブ、バドミントンクラブなどスポーツを行なうものが多く、少なくても週1〜2回は運動できる体制が整ってきました。
運動を兼ねたボランティア活動で、社会にも貢献していきたい
ーー今後の目標について教えてください。
宮城:当社では「人材」が会社経営にとって重要だと考えていますので、今後も根本となる社員の健康に注力し、いろいろな施策に取り組んでいきたいと思います。
まずは、運動を兼ねたゴミ拾いなどの取り組みを行なうボランティアクラブの創設で、健康推進と社会貢献の実現を目指したいと思います。また、継続してメンタルヘルスの取り組みを強化していきます。社外にメンタルヘルスについて相談できる場所を設けたり、健康セミナーを開催して心と体の健康に関する情報を発信したりと、力を入れているところです。
ーー健康に関心のある読者に向けて、メッセージをお願いします。
宮城:健康経営について、まずは「経営」のほうから発信することが重要だと考えています。健康経営が会社経営の芯となっていないと、会社全体に広がっていきません。総務などの担当部署が、いかに社員を巻き込み、健康意識を醸成させることができるのかが大事だと思います。
また、健康になることを楽しめるよう、施策をどう見せていくかというアイデアも大事だと思いますので、チャレンジを重ねて進めていきましょう。
ーー本日はお話いただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社沖縄債権回収サービス
インタビュアー:塩野実莉