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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

地域社会に貢献する企業の健康経営。遠州鉄道株式会社にインタビュー

運輸事業から総合生活産業として多方面に事業展開

ーーまず、御社のおもな事業内容や取り組みを教えてください。

遠州鉄道株式会社は、静岡県西部地域にある交通会社6社が統合し、1943年11月1日に誕生しました。2023年には創業80周年を迎えます。

遠鉄グループは鉄道やバスなど運輸事業を中心に展開しており、そこで培われてきた信頼をもとに、百貨店や食品スーパー、自動車販売、レジャーサービス、不動産、保険、介護など、地域の皆様の生活に密着した事業を展開する企業集団へと発展してまいりました。

「地域とともに歩む総合生活産業として社会に貢献する」を経営理念に掲げ、従業員全員が事業を通じて地域社会への貢献を実感し、誇りに思うことができる、そんな企業を目指しています。

運輸事業は従業員の健康確保が不可欠

ーー御社は「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されています。健康経営を始められたきっかけや申請の経緯について教えてください。

これまでも法令で定められた健康診断やストレスチェックの実施はもちろん、従業員意識調査の実施などにより従業員の心身の状況や職場環境の把握に努めてきました。

それに加えて近年はこうした認定を取得される企業が増えていること、また本社を置く浜松市の取組支援も後押しとなって、当社も認定取得の方針を固めて2022年の申請をいたしました。

全従業員が意欲・能力を最大限に発揮できる職場、一人ひとりの個性や人格、多様性を尊重し、従業員とその大切な家族の心身の健康・安全に配慮した働きがいのある職場の整備が経営理念の実現につながると考え、健康経営を推進しています。

ーー従業員の皆さまの健康状態について、課題や改善が必要と感じる点はありましたか?

法定の健康管理を会社側がきちんと行なうだけでなく、従業員一人ひとりの健康意識を高める必要があると感じています。

弊社はさまざまな事業を展開しているため、従業員は営業職や総務人事部門などの事務職だけではありません。バス・鉄道運行に関わる運転者・車掌・整備士、介護に携わる従業員など、現場でお客様に接する社員が多い会社です。

特にバス・鉄道の運輸事業は、従業員が意欲・能力を発揮するのはもちろん、各自の健康確保が「安心・安全の輸送」に直結する仕事です。これには会社側からの働きかけとともに、従業員自身の意識向上も重要であると考えています。

からだ・心・職場環境の3つの柱で施策を実行

ーー実際に取り組まれている施策について教えてください。

健康保険組合と産業医の協力により、「からだの健康づくり」「心の健康づくり」「働きやすい職場環境づくり」の、3つの柱で取り組んでいます。

「からだの健康づくり」では病気の予防・悪化防止のため、定期健康診断の受診を徹底したうえで、有所見者に対しては再検査受診100%を目指し受診勧奨を進めています。婦人科健診や人間ドックの受診補助と、従業員家族の受診補助もしています。また、パッチやアプリを活用した禁煙チャレンジの補助も行なっています。

「心の健康づくり」では、ストレスチェックとその結果を踏まえた職場環境の改善を実施しています。メンタルヘルスセミナーの定期的な開催、社外相談窓口の設置にも取り組んでいます。

「働きやすい職場環境づくり」としては、ワークライフバランスの実現を推進するべく制度の見直しや改定、従業員意識調査による状況把握と所属単位での改善対応を行なっています。

健康意識を高める健康セミナー

ーー従業員の健康意識を高めるために健康セミナーの実施にも注力されているそうですが、どのような内容なのでしょうか。

健康経営優良法人の取得要件にもヘルスリテラシー向上の取り組みが定められており、申請にあたってセミナー開催に力を入れました。

健康診断や従業員意識調査、ストレスチェックの実施などで健康への意識付けを促すには限界があります。そこで、テーマごとに対象者となる従業員へセミナーを実施し、意識醸成に取り組んできました。

2021年度は浜松市の支援を受け、女性従業員に向けた「女性の健康セミナー」や、管理職に向けた「肩こり・腰痛予防」「飲酒習慣」といったセミナーを開催しました。事務職をはじめとするパソコンを使って働く環境にいる全従業員には、eラーニングでのヘルスリテラシー研修を実施しました。

まだまだ参加者数は限られており、今後は従業員が主体的に参加しやすい仕組みが必要になるかと思います。

2022年度は、管理職に向けた女性特有の健康課題の理解をテーマとしたセミナーを実施しています。

講師は産婦人科を専門とする弊社産業医で、女性の健康課題に対する男性の理解をテーマとしながら「相手と自分の違い」を尊重し、多様な人材が相互に機能する状態「インクルージョン」を作り出す重要性について、従業員が働きやすい職場の実現・会社の成長といった視点で講演いただきました。

また、今年度は経営層に対する健康経営セミナーも実施しました。こちらも産業医の先生によるセミナーで、女性の健康課題・多様性の重要性・企業として健康経営に取り組む意義などをテーマに実施しました。

こうした幅広い層への展開により、会社全体で健康意識が向上し多様性への理解が広まれば、健康経営の推進にも一層のはずみがつくのではないかと思います。

柔軟な働き方を支援する制度づくりも

ーーワークライフバランスの推進としては、どのような取り組みをされていますか?

仕事と家庭を両立できるようにワークライフバランスを実現する環境整備に取り組んでいます。

具体的には、弊社グループ従業員を対象とした保育施設の運営やフレックスタイム制の導入、法定以上の育児休業制度・育児短時間勤務制度の整備など、ライフスタイルに合わせた働き方を後押しできる取り組みを行なってきました。

さらに、失効した年次有給休暇を無期限で積み立てられ、幅広い用途で活用できる「私傷病休暇制度(上限30日)」を設けています。従業員自身の病気やケガに使用するのがおもな目的の制度ですが、適用範囲の拡大を進め、予防接種による副反応や育児休業、学校の臨時休校、不妊治療や家族の看護・介護休暇などにも使用することができます。

バス運転手や介護職では定年を60歳から65歳に引き上げて、働く意欲のある従業員が長く活躍できる仕組みづくりにも取り組んでいます。

コロナ禍においてはバス、電車内の除菌・消毒の実施、職種により在宅勤務や時差出勤が可能な体制を整えるなど、従業員が安心して働ける環境整備にも努めてきました。

健康経営を社内に広げ自発的な参加を促したい

ーー健康経営に取り組むうえでの難しさや、大変だったことはありますか?

健康経営の推進により、経営上の課題解決や経営理念の実現へつながるのが理想ですが、成果はすぐに得られません。人材の定着や採用力の強化を目指して取り組んでいますが、効果が見えづらいのは難しい部分です。

健康診断の有所見者率や精密検査の受診率、病気やメンタル疾患による長期欠勤者数の推移、残業時間・年次有給休暇の取得率など、数値として見えやすい部分もあります。そういった指標を経時的にモニタリングし、問題点や各施策の効果を検証して、次の取り組みに活かせるようにするのが今後の課題です。

そして最終的には従業員それぞれが健康意識を持ち、生活習慣や働き方の改善ができるよう、今後もセミナーなどを通じて社内の意識向上につながる取り組みを実行したいと考えています。

ーー取り組みに対して、社内外からの反響はいかがでしょうか?

まだまだセミナーなどへの参加者数は少なく、従業員個々の反応は大きくないのが現状です。会社の取り組みを従業員全体に広く認識していただき、自発的な参加を促せる体制にしていきたいと思っています。

ただ、健康経営優良法人の取得によって社内外から健康経営の取り組みについて問い合わせをいただいたり、他社の取り組みについてお聞きしたりする機会が増えました。積極的に情報交換しながら、弊社の取り組み内容も継続的にアップデートしていきたいと思います。

従業員が主体的に取り組める健康経営を目指す

ーー今後の展望をお聞かせください。

まずは今年が健康経営優良法人の申請2年目となりますので、認定の継続により社内に「健康経営」を根づかせることが最優先課題であると認識しています。現在はセミナーを中心に会社全体の意識醸成に取り組んでいる段階ですが、次のステップとして、従業員一人ひとりが健康に関心を持ち、主体的に参加できる仕組み・きっかけづくりができればと考えています。

具体的な方法については検討段階ですが、経時的な数字の変化から従業員それぞれの健康課題・会社としての課題が検証できる環境づくりや、健康イベントの実施など気軽に健康経営に参加できる内容の施策も検討できると良いですね。

ーー健康に関心のある読者へのメッセージをお願いします。

遠州鉄道が展開する総合生活産業は、地域で利用してくださるお客様あってのものです。これからもずっと、なくてはならない企業として地域から愛され存在し続け、従業員がより良い商品・サービスを提供できるよう、健康経営の取り組みを続けていきます。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:遠州鉄道株式会社

インタビュアー:青柳和香子

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