
岡山県にある株式会社タックは、シールドトンネル工事における特殊資機材の開発・製造販売・リース・施工に関するコンサルティングを行なっている会社です。
「社員に幸福を」を経営理念として掲げ、社員の健康のためにコミュニケーションの促進や運動促進に取り組んでいます。今回は、同社の総務部 高橋千亜紀さんにお話を伺いました。
シールド工事など地下空間の整備に携わる企業

ーー御社の沿革や事業内容について教えてください。
高橋さん(以下、高橋):当社は岡山県に本社を構え、シールドトンネル工事における裏込め注入設備などの開発・製造販売・リース・各種材料販売および設計・施工に関するコンサルティング業務を行なっています。
シールドトンネルとは、戦後のインフラ整備の切り札として、地下鉄や高速道路、水道や電気ガスなどの地下空間工事に活用されています。地中を掘り進めた部分には、セグメント(コンクリートの壁面)を組んでいきますが、そこにできる隙間を埋めるなど地盤沈下を防止するための技術提供、各種材料や薬剤の販売、隙間充填技術に関するコンサルティングがおもな事業です。
ーー健康経営を始めたきっかけについて教えてください。
高橋:健康経営優良法人の申請については、健康保険協会からの案内がきっかけとなりました。健康経営を意識する前から取り組んでいた施策が、評価基準に該当するものも多くあり、「申請してみようか」という話になり、取得することができました。
全社員に歩数計を配布することから始まった
ーーどのように取り組みを進めたのでしょうか。
高橋:6年ほど前から、運動が習慣となるきっかけを作るために、社員全員に歩数計を配布し、毎日の歩数を計測する取り組みを始めました。日本縦断という目標を立て、「〇〇まで行った!」と途中経過を発表し、楽しみながら取り組んでもらえるように工夫しています。
1年間の歩数を集計して、「最も歩いた上位3名」には安全衛生委員協議会で表彰を行ない、クオカードなどの景品をお渡ししていました。しかし、表彰に該当する項目が1つだと、毎年同じ人だけが表彰されてしまいます。ランクインできない人も楽しめるようにしたいと考え、「去年より歩数が増えた人」など内容を変え表彰を行なうようにしました。
スポーツを通して自然とコミュニケーションが増えていく

ーー御社はコミュニケーションの促進に力を入れていると伺いました。どのような施策を行なっているのでしょうか。
高橋:当社の社長は、みんなで一緒に過ごすことを大切にしています。そのため、社員旅行や忘年会、ボーリング大会などの社内行事は会社負担で開催するのが決まりです。
ボーリング大会は毎年9月に委員会が主催しているイベントです。チーム分けをして結果の順位によって表彰を行ないます。当社は80歳の社員も在籍していますが、ボーリングは年齢を問わず楽しめるスポーツで、ハイタッチなどのコミュニケーションも自然と増えますよね。仕事をするだけでは知り得ない意外な一面を見られることも、普段のコミュニケーション促進につながっていると思います。
また、社員旅行だけでなく、社内研修会(合宿)も行なっています。研修中はいろいろな企画を行ないますが、そのなかでも「社員2035年物語」はおもしろい企画です。過去・現在・10年後、2035年などの自分を想像して「夢物語」を発表するものですが、自分の歴史についても発表するので、あらためて今まで知らなかった社員の人生を知ることができます。
80歳の社員が元気に働いている職場環境
ーー定年後の働き方については、どのような取り組みをされているのでしょうか。
高橋:当社の定年は60歳ですが、そのあとも本人が希望した場合は嘱託として働くことができます。フルタイムで毎日出社することもできますし、月14日・月10日勤務など、体調と相談しながら出勤日数を選ぶことができます。最高齢の社員は80歳ですが、会社で1番元気なくらいパワフルに働いてくれていますね。
禁煙率向上のために、健康への意識づけから始めた
ーー健康経営を進めていくなかで大変だったことはありましたか?
高橋:禁煙率を向上させることは難しかったですね。当社は上長の喫煙率が高いため、若い社員もタバコが吸いやすい環境となっているようで、禁煙率がなかなか向上しないという問題に直面しました。
対策として、まず受動喫煙が気になっていたので紙タバコから電子タバコへの移行を試みましたが、社員から「それは、本当に禁煙につながる取り組みなのか?」という疑問の声が返ってきました。
そこで、社長と話し合ったところ、「タバコがもたらす健康への害を理解してもらうことから始めてみては」ということになり、健康に関する冊子を取り寄せました。今後、社員全員で読む機会を設ける予定です。社員の意識づけを目的としたものですが、それによって、少しずつでも「禁煙が自分のためだけでなく、周りのためにもなる」と伝われば良いなと思います。
社員から反響が大きかった施策は調理実習
ーー健康経営の取り組みを進めるなかで、社員の方からの反響はいかがですか?
高橋:毎日行なっている歩数測定をきっかけに、岡山県内で開催された「晴れの国おかやま24時間・100km歩行」というウォーキングの大会に出場した社員がいたようです。このことから、健康に取り組むきっかけを作れていると感じました。
また、3年前に実施した食育セミナー「調理実習」は社員から反響が大きかった施策です。これは、備前市保健課の栄養士さんに指導してもらい、健康について勉強したあと、実際に低カロリーの料理を作る施策です。社員も楽しんで参加してくれたようで、「写真を撮っておいてね」とお願いしていたのですが、調理実習に夢中になりそれを忘れていたほどでした。
「この会社で働いてよかった」と思える職場環境を目指して

ーー健康経営の今後の計画や注力していく取り組みについて教えてください。
高橋:ワークライフバランスのさらなる充実を目指して、3日連続で有給休暇が取れる仕組みを定着させることが目標です。ワークライフバランスが整うことで、業務の生産性も向上していくだろうと考えています。一人ひとりが自分を大切にして、会社でも精一杯働き、「この会社で働いて良かった」と思える職場環境を整えていきたいですね。
3日連続で有給を取得するには勇気がいると思います。これは社員にリフレッシュしてもらうことを目的としていますが、その人が休んでもほかの社員がフォローすることで、仕事がまわる環境作りが重要です。
ーー健康に関心のある読者に向けてメッセージをお願いします。
高橋:社員の皆さんはご縁があって入社してくれた方々です。そのため、私たちの健康経営の最終目標は「みんなで幸せになること」だと考えています。この目標に向かって、心身ともに健康で在れるように、今後とも取り組んでいきます。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社タック
インタビュアー:塩野実莉
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