
株式会社恵那金属製作所は岐阜県に本社を構え、機械加工や表面処理(めっき、塗装)などを手がける企業です。「社員が働きやすい環境を整えることは会社として必要なこと」だと考え、社内LINEを積極的に活用するなど、社員の皆さんが相談しやすく、意見の言いやすい環境づくりを行なっています。
今回は、同社の代表取締役社長を務める市岡さんと総務部の柘植さんにお話を伺いました。
創業76年の老舗金属メーカーである株式会社恵那金属製作所

ーーよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
市岡さん(以下、市岡):当社は、創業76年の老舗金属加工メーカーです。金属部品の切削加工と表面処理(めっき、塗装)を行なっています。
切削加工では自動車部品、産業機器部品を手がけ、表面処理では暖房機器部品、楽器部品などを手がけています。なかでも自動車エンジン部品のターボチャージャーに使用されるハウジング加工では、世界トップクラスの技術をもっています。
人間ドックの受診率向上に注力

ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人を取得されています。健康経営を始めたきっかけについて教えていただけますか?
市岡:企業理念として「社員(なかま)への貢献」を掲げています。そのため、「健康経営」を意識する前から、社員が働きやすい環境を整えることは会社として必要なことだと考え、取り組みを行なっていました。
また、当社は2代目社長、3代目社長が若くして病気により他界しています。病気を早期発見できていれば……と思っており、社員の健康状態に気を配ることは先代社長からのメッセージのようにも感じています。
柘植さん(以下、柘植):2021年頃に同じ地域の企業が健康経営優良法人2021を取得されているのを見て、健康経営の認定制度について知りました。これまでの取り組みにいくつか施策を追加すると認定基準に達することがわかり、本格的に健康経営の推進を始め、2022年に健康経営優良法人の認定を取得することができました。
ーー健康経営優良法人の認定取得に向けて、どのような施策に取り組まれたのでしょうか?
柘植:健康診断の結果に対する特定保健指導の奨励や、人間ドックの受診率向上に向けた取り組みを実施しました。もともと制度自体はありましたが、以前は対象者全員に向けて「受けたい方は連絡してください」と連絡していたので、個別に連絡を取ったり直接話したりと連絡方法を工夫することから始めました。受診しない人にはその理由を確認し、適切なアドバイスができるようにしています。
市岡:また、全社員が集まる全社朝礼で人間ドックの重要性について話しています。私自身、3年ほど前に受けた人間ドックで大腸ポリープを早期発見することができました。発見が遅れると良性が悪性に変わることもあるので、人間ドックを受けて良かったと感じる経験でした。このような実際の経験を話すことで、自分ごととして考えるきっかけを作りたいと考えています。その後、社内の雑談で人間ドックの話題を耳にしたことはうれしい成果です。
柘植:このような取り組みから、現在は人間ドックの受診率は60%ほどまで向上しています。
感染症対策の重要性を実感
ーー社員の方の健康状態について、改善が必要だと感じていた点はありますか?
市岡:インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症が社内で流行し、欠勤する社員が増えたことで、製造現場が回らない時期がありました。罹患した社員は体に負担があったでしょうし、出社している社員も業務上の負担が大きくなってしまったことから、会社として感染症対策に注力して取り組みました。
ーー具体的にはどのような施策をされたのでしょうか。
市岡:インフルエンザの予防接種は、会社からの補助を出しています。対象は社員とその家族です。健康保険組合からも補助が出るため、社員は自己負担をほとんどすることなく接種できる仕組みを作りました。感染症は、自分だけの対策だけでは防げない場合もあると思います。社員全員が予防接種を受けることや家族も予防接種を受けることで、より高いレベルで感染リスクの低下を目指しています。
社員の意見を取り入れる体制をつくる

ーー御社は健康情報の発信などにLINEを使用されているそうですね。詳しくお聞かせいただけますか?
市岡:健康情報や連絡事項を送るために開設した「会社の公式LINE」と、相談や要望を気軽に送ることができる「総務部直通LINE」を開設しています。社員が気軽に利用できるよう、連絡手段として多くの人が利用したことのあるプラットフォームを採用しました。
柘植:総務部直通LINEは、就業規則や福利厚生についての質問を受けたり、心身の健康に関わる相談を送ってもらったりなど、社員が気軽に相談できる場所を作ることを目的としています。また、当社の工場は24時間稼働しているため、以前は夜勤をしている社員が質問や相談する機会が少ないことが課題でした。総務部直通LINEを24時間受付可能としたことで、社員全員が質問しやすい体制を整えることができています。
ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありますか?
市岡:新たな施策を導入するには費用がかかります。当社は中小企業のため福利厚生への投資を積極的に行なえるわけではないので、無料のコンテンツを活用するなど、大きく費用をかけず社員にメリットがあるように施策を検討することが大変でした。
また、健康経営は会社から強制してはいけないと思います。そのため、「社員の意見をどのように取り入れていくか」検討することも重要です。当社では、先ほどお話しした社内LINEを使ってアンケートを行ない、社員の意見を反映することで体制を整えました。最近では、社員の意見から不妊治療に対する特別休暇制度を取り入れています。
健康を意識してより充実した私生活を送ってほしい

ーー健康経営の取り組みに対する、社員の皆さんからの反響はいかがですか?
市岡:社内アンケートで「会社の取り組みについて満足しているか?」などの質問を行なうと、82%の社員が現在の取り組みに満足していると回答してくれました。予想よりも高い数字をいただけたことは、これまでの健康経営への取り組みに対する良い反響ととらえています。
ーー今後の計画や展望がありましたら教えてください。
市岡:今後も人間ドックの受診率向上を目指して取り組みを進めていこうと考えています。そのために、人間ドックの重要性や費用負担なく受診できることを広く伝えていきたいです。また、社員の健康リテラシーを高めてもらうために、社内LINEを活用して積極的に情報発信をしていきます。
ーー健康に関心のある読者の方に向けてメッセージをお願いします。
市岡:より充実した私生活を送るために心身の健康は重要だと思います。健康を意識することは早ければ早いほど良いです。自身の生活を振り返り、予防することで、健康寿命を延ばしていきましょう。
ーー本日はお話いただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社恵那金属製作所
インタビュアー:塩野実莉
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