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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

少しずつ形を変えながら、未来へつながる取り組みを。株式会社神崎高級工機製作所にインタビュー

データで鮮明になった健康状態に危機感を抱き健康経営を開始

ーーよろしくお願いします。まずは御社の事業内容や沿革について教えてください。

山岡さん(以下、山岡):弊社はヤンマーホールディングスのグループ会社で、1947年にヤンマーディーゼル(現ヤンマーホールディングス)の創始者山岡孫吉により設立されました。当初は、工作機械の修理工場として始まった会社です。

1948年から歯車とマリンギヤの生産を開始し、1955年頃からは工作機械自体の製造も始めてギヤシェービングマシンを開発しました。1960年に現在の所在地である尼崎市猪名寺に工場を設立し、1967年頃からヤンマー向けのトラクターのトランスミッションの生産も始めています。1977年から北アメリカで大きな農業機械メーカー向けのトランスミッションの生産も開始し、1989年にはアメリカのテネシー州に子会社のTUFF TORQ CORPORATIONを設立しました。

2001年にはインドネシアに子会社のP.T.YKT GEAR INDONESIAを設立し、アメリカのサウスカロライナ州にも子会社としてTRANSAXLE MANUFACTURING OF AMERICA CORPORATIONを設立しています。2017年に創立70周年を迎えて現在に至ります。

事業内容としては、ヤンマーグループやOEM向けの、油圧機器、歯車、トランスミッション、マリンギヤや、自動車業界向けの工作機械の開発・製造・販売をしています。

健康経営については、従業員の健康増進のみならず弊社の生産性向上へも大きく起因しており、益々深化していきます。

ーー健康経営をはじめたきっかけについてお聞かせください。

杉本さん(以下、杉本):これまで、弊社は協会けんぽからいただくデータで、社内の健康に関する状況を把握していました。弊社の従業員が抱える生活習慣病のリスクをグラフでだしていただいたのですが、喫煙率をはじめすべての項目において兵庫県の平均より高い状況でした。

その結果を受けて危機感を抱き、早急に対策する必要があると思い健康経営に取り組みはじめました。当時は健康経営という言葉もあまり広まっていなくて、従業員のみなさんに健康経営を理解していただくのは非常に苦労しましたね。

ーー生活習慣病のリスクが高い状態にあったとのことですが、具体的に従業員の皆さまの健康状態について改善が必要だと感じていた点はありますか?

杉本:弊社はヤンマーのグループ会社ということもあって、サッカーや野球をはじめ運動習慣のある従業員も多くおります。一方で、運動しない人は徹底的に運動をしないため、そういった方に運動してもらうためにはどうするべきか考えていましたね。

食事面に関しては、社食サービス会社に委託していますが、揚げ物など油っぽいものを好んで食べる方が多く、何か改善策が必要だと思っていました。

川田さん(以下、川田):製造現場で働く従業員向けの食事として、しっかり食べられる、ボリュームのある食事が中心でした。

恒例のウォーキングイベントは毎年内容をアップデート

ーーでは、そういった課題に対する具体的な施策について教えてください。

杉本:運動機会を提供するため、社内でウォーキングイベントを開催しています。当初は2カ月で80万歩を目標として取り組み始めたところ、約150名の方が参加してくれました。より多くの方に参加していただくために、景品も用意しています。

ウォーキングイベントは長年続けていて、年ごとに目標の歩数を増やしたり、参加者を増やすために逆に目標値を減らしてみたり、家族と一緒に参加できるようにしたり、部門間のコミュニケーションを深めるため部門対抗にしてみたりと内容を少しずつ変えています。

ウォーキングイベントに参加していただき、普段歩かない人に歩くことを意識づける取り組みとしています。

ーーウォーキングイベントは毎年内容を変えて実施されているとのことですが、どの回が特に盛り上がったと感じますか?

杉本:歩数の順位によって与えられる景品とは別に、歩数は関係なくランダムにもらえる特賞を用意したときは、参加人数が一気に増えましたね。

川田:歩数が上位の人はどうしても固定化されてきてしまい「自分は景品がもらえないだろう」と思って参加しない人もいます。そういった方に対して、ランダムで誰でも景品がもらえるチャンスをつくり、いろんな方に参加してもらえるように工夫しています。

ーー景品は、どのようなものを用意されているのでしょうか?

杉本:決められた歩数を達成したときは低周波治療器や腰痛用のクッションなどの健康グッズ、特賞はあえて健康から意識を逸らしたアイスクリームなどを景品として用意しています。

栄養バランスの取れたスマートミールは社員から大好評

ーー食事面においては、どのような取り組みをしていますか?

杉本:食事に関しては栄養バランスの取れたスマートミール定食を、3〜4年前から提供しています。週に3回魚を出すことをルールとして、魚料理とサラダとお味噌汁は必ずセットでつけています。

ーーメニューは社員の方が自由に選べるのですか?

杉本:A定食、B定食、スマートミール、麵、カレーの5つから選べるようになっています。

ーースマートミールを選ばれる方は多いのでしょうか?

杉本:非常に多いですね。食数としては毎食50食ほど販売していますが、すぐに完売してしまいます。食事に行くのが少し遅れたら、なくなってしまっているような状況ですね。

2025年の全面禁煙へ向け段階的に禁煙を実施

ーーその他、何か取り組まれていることはありますか?

杉本:ウォーキングのセミナーや、外部企業の協力を得て、運動の取り入れ方を教えてもらっています。あとは、禁煙デーを最近ようやく設けました。禁煙デーは昨年から始めましたが、2025年の全面禁煙を目標にしています。昨年は月に1回、今年は月に2回、来年は毎週、再来年には週2回のペースで禁煙に取り組んでいきます。

ーー喫煙も大きな課題となっていたのですか?

杉本:取り組み前の喫煙率は35%と、非常に高い状態でした。現在は喫煙率が30%を切ってきていて、禁煙デーをきっかけにタバコをやめたという声も聞いています。

社員はもちろん自分の健康に対する意識も変化してきた

ーー取り組みによって得られた効果や反響、変化は何かありましたか?

川田:私も肥満気味でウォーキングに参加して痩せないといけないなと思っていて、自分の意識改革にもつながったと感じています。

杉本:従業員のみなさんをつなぐ、ツールになったのかなと感じています。イベントを通して普段話さない人と話すこともあり、コミュニケーションの機会を設けることができたと思います。

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありますか?

杉本:どこの会社さんも、取り組みを始めるときが一番大変だと思います。ウォーキングイベントなど新しいことをするには、費用がかかります。費用をかけることで、どのような効果があるのか経営陣をはじめ全従業員に説明していくのが大変でしたね。特に健康に興味がない方だと、具体的な効果を説明しても伝わりづらいこともあって大変でした。

ーー簡単には健康経営への理解が得られない状況のなかで、どのように説得していったのですか?

杉本:従業員への投資がゆくゆくは生産性の向上になることを、しっかりと伝えていきました。あとは、ヤンマーグループで健康経営に取り組んでいる会社はなく、グループ内で一番早い取り組みになると伝えたことで、弊社の行動指針である「受け身になるな。自らが活動の起点となれ。」に合致し経営陣の心を大きく動かせたように思います。

以降は経営陣が先導に立ち健康を経営方針に掲げていただくなど、会社として健康に力が入るようになりました。

社員のためにも会社のためにも健康経営が活きる

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。

杉本:従業員のみなさんにある程度、健康経営について知っていただいたと思うので、これからは従業員自ら健康になるために動いていってほしいです。もちろん会社としても継続して取り組みを進めていきますが、それ以外にも従業員が自発的に健康に対して取り組んでいってもらえるような形をつくっていこうと考えています。

川田:予算の確保も必要になりますが、従業員が気楽に使えるようなマッサージや整体師との契約などを現在企画しています。トレーニング施設が社内にあるのですが、コロナ禍で現在利用を休止している状態です。withコロナでトレーニング施設を活用していくことを考えながら、開放していこうと計画をしています。

ーー健康に関心のある読者や、健康経営に取り組む企業の担当者へメッセージをお願いします。

杉本:健康経営はすぐ結果がでるものではなく、10年後20年後に元気で暮らしていただくための投資だと考えています。少しずつ継続して活動していけば必ず未来で差がついてきますので、できることから少しずつ実施していくことをおすすめします。

川田:健康経営は、安定した人材の確保に向けてはいい取り組みだと思っています。弊社のような製造業は人材を集めるのが難しいところもあり、これから定年の年齢も上がってくると思います。ベテランの方に健康で長く働き続けてもらうためにも、健康経営はいい機会になるのではないかなと思っています。

ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社神崎高級工機製作所

インタビュアー:朝本麻衣子

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