
小原歯車工業株式会社は、全国の製造業者が使用する歯車を製造している企業です。もともとホワイト企業・コンプライアンス経営を軸に企業活動を行なってきた同社は、4年連続で健康経営優良法人の認定を取得しています。今回は、同社の代表取締役社長の小原さんにお話を伺いました。
ホワイト企業・コンプライアンス経営をする一環としての健康経営
ーー本日はよろしくお願いします。まずは、御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
小原さん(以下、小原):当社は1935年に創業した歯車製造業の会社です。自社で設計開発したKHK標準歯車という歯車の仕様をカタログやWebで公開し、お客様に選択していただいています。この標準歯車のビジネスが全体の6割から7割を占めています。その他3割くらいは、お客様からのオーダーによって作るオーダー歯車の製造販売をしています。商社を通して全国の数千ある製造業のお客様へ当社の歯車が届けられています。
ーー健康経営を始めたきっかけについてお聞かせください。
小原:当社は、もともとホワイト企業やコンプライアンス経営を目指している企業でした。そのときに保険会社さんから健康経営というものを教えていただき、必要項目を見たところ、すでに私たちが実践している内容と非常に近いものがあったのを覚えています。
その頃、話題になっていた働き方改革法についても当社はほとんど満たしておりましたが、健康経営に取り組むことでさらなる雇用環境の良化や採用促進につながると思いました。
保険会社さんから「比較的すぐに取れそうです」と言っていただいたこともあり、採用促進や従業員の働く環境を良くできるのであればぜひ取り組もうと思ったのが健康経営を始めたきっかけです。
人間ドックの受診率が低かった
ーー従業員の健康状態で改善が必要と感じていた点はありますか?
小原:健康経営優良法人の認証を取る以前も、従業員が人間ドックを受ける際に補助を出していました。しかし、当初は受診率が低かったです。
若い従業員が病気になってしまって、あとからわかったということもあり「45歳以上は人間ドックを必ず受診しよう」という活動を会社全体で行なって、今ではかなり受診率が高くなりました。40歳以上では76%が受診しています。
ウォーキングイベントやトレーナーを招いての運動指導

ーー実際の施策について詳しくお聞かせください。
小原:社内でウォーキングイベントを実施しています。1カ月間で歩いたトータルの距離で、私の前後にランクインすれば「社長賞」がもらえます。専務の前後にランクインすれば「専務賞」ですね。11月は118名が参加しました。1日8000歩のノルマがあるのですが、実際に達成して1カ月に24万歩以上歩いた人が57名もいました。
あとは社内にジムがあり、朝・昼・晩いつでも使えるような環境になっています。常に2~5人くらいは利用しています。運動についていえば、補助金が出たときには有名スポーツジムからトレーナーの方を招いて、社内で健康管理セミナーを実施しました。事前に従業員へアンケートをとったところ、肩こりや腰痛を抱えている人が多かったので、ストレッチやツボ押しなどを教えてもらいました。
そのときに食事の指導もしてもらいました。カロリーを制限するのではなく、炭水化物を控えて低脂質高タンパクのものを食べることや、食べる時間や順番も大事なのだそうです。
自分だけで健康への取り組みを習慣化するのは難しいからこそみんなでやる
ーー健康経営を実践するうえで大変だったことはありますか?
小原:あまりないですね。ただ、わかっているのに習慣化できないことは多いと思います。運動しなければいけないとか、食事を改善しないといけないとか、頭ではわかっているけれど、習慣にして継続していくのは難しいことだと思います。特に自分だけで習慣にするというのは簡単ではないですね。
ーー取り組みによる効果や従業員のみなさまからの反響はいかがでしょうか?
小原:もともとホワイト企業を目指していたこともあり、そこまで大きく何かが変わったということはないと思います。採用についても、健康経営優良法人だから何かが良くなったというのは今のところありません。
ただ、年に数回は従業員の前で健康経営のことを話していますので、当社が健康経営に取り組んでいるということや、会社の事業が健康経営に関連づいていることもわかってもらえているのではないかと思います。
また、健康への取り組みを自分一人で習慣化するのは難しいというところにも関連するかもしれませんが、ウォーキングイベントも最初はみんな参加登録すらしませんでした。でも、周りが登録しだすと「やっぱり私も」ということで次々と登録してくれました。
登録すると次は社長賞を狙いたいということで、みんなでやることによって楽しく運動する習慣づくりに貢献できていると思います。
毎年の取得と世の中の情勢にあった健康経営をしていきたい
ーー健康経営について今後の計画、展望がありましたらお聞かせください。
小原:健康経営優良法人認定のいいところは毎年、毎年、更新していかなくてはいけないところです。面倒くさいと思ってしまいますが、一度だけ取得してそれで終わりになってしまうと、どうしても甘くなってしまったり、忘れてしまったりすると思います。だから、継続的にやっていけるよう来年、また再来年……と認定を毎年とれるようにしていきたいと思っています。また、新型コロナウイルスが発生してから、健康経営の項目に感染症対策が追加されました。世の中の情勢に応じた健康経営をしていきたいですね。
ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小原:「環境を変えれば習慣が変わる」とよくいいますが、健康は習慣が大事です。なので「健康的な一日を過ごす」ということを習慣化していったほうがいいかと思います。「健康は一日にして成り立たず」ということをお伝えしたいですね。
ーー本日は貴重なお話をありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:小原歯車工業株式会社
インタビュアー:朝本麻衣子