
愛知県蒲郡市と名古屋市に事業所を構える「山八商事株式会社」は、ホームファッション事業と不動産関連事業、再生可能エネルギー事業を展開する企業です。
同社は2020年から3年連続で「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定され、2021年からは上位500社の「ブライト500」に2年連続で選出されています。
今回は山八商事株式会社代表取締役の鈴木俊介さん、経営企画室の杉浦さん、神﨑さんにお話を伺いました。
物心両面で豊かに年を重ねることを目指して

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容について教えてください。
鈴木社長(以下、鈴木):当社は流通店舗と呼ばれる車のディーラーや飲食店、家電量販店の店舗開発・賃貸事業と、寝具やインテリアを企画・製造して販売するホームファッション事業などを展開しています。
「人生を豊かにする会社」という経営理念を掲げ、経済的な豊かさだけでなく、心の豊かさや生活の豊かさを重要なファクターと考えてきました。
豊かな人生を考えるうえで当社が営む不動産事業は切っても切り離せないものですし、人生の3分の1を占める睡眠の質を上げるために、ホームファッション事業を通じてどのような商品が提供できるかを日々考えています。
そのため当社商品を提案する社員自身が不健康であってはいけません。健康経営に取り組むことは、そのまま商品開発にも活用できるだろうと考えて2020年から推進を始めました。
同年から「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定され、2021年と2022年は上位500社として「ブライト500」を取得しています。
ーーありがとうございます。健康経営を推進するうえで、課題に感じたことはありましたか?
鈴木:私は親の健康問題が理由で、大学を卒業した翌年、23歳のときから社長業を継がなくてはいけませんでした。その経験が健康経営について考えるようになったきっかけです。突然の社員の入れ替えは会社に対して負荷がかかりますので、そうしたアクシデントは減らしたいと考えていました。
また、出勤していても心身の不調を抱えていると生産性が落ちてしまいます。労働効率を上げるためには健康な状態で働いて、早く帰宅できることが重要だと考えています。
毎月の「サラダランチDay」で野菜嫌いの解消へ

ーー実際の施策についてお聞かせください。
鈴木:まずは基本的な疾病予防策として、定期健康診断の受診を100%にし、オプション検査も会社負担にしました。再検査についても受診してもらえるまで対象者に勧奨し続けています。インフルエンザ予防接種も医師に会社へ来ていただき、接種希望者にまとめて実施しています。
杉浦さん(以下、杉浦):経営企画室ではホームページで施策内容を紹介したり、社員への告知をしたりするなど、おもに社内外の広報的な役割を担っています。
ーー「サラダランチDay」という日があるそうですが、これはどのような施策でしょうか。
神﨑さん(以下、神﨑):社員の食生活改善を会社が支援するため、山八商事の「八」と毎月8日の「8」をかけて、毎月8日をサラダランチDayとしています。提携しているお店があり、通常のメニューに加えて当社専用にサラダを作っていただいています。希望する社員に配るのですが、利用率はほぼ毎月100%近くとなっています。
鈴木:野菜が苦手な人でも、「これだったら食べられる」というようなおいしいサラダで、チキンや卵などさまざまな食材がバランスよく入っています。味のバリエーションもあり、野菜嫌いを無くすことにつながる施策だと思っています。
プロに身を任せられる「ストレッチ・マッサージ制度」

ーーストレッチとマッサージに関する施策もあるそうですね。
神﨑:運動機会の増進に向けた施策として、ストレッチ・マッサージ制度があります。まずは外部からトレーナーを事務所へ招いてストレッチ体験会を実施し、自身の体の状態への理解を深める機会を設けました。社員から好評だったため、月に一度利用できるストレッチ・マッサージ店での利用補助制度を導入しました。
運動機会の少ない人がいきなりジムに行くのはハードルが高いのではないか、自分一人でストレッチするよりもトレーナーに身を任せるほうが効果的で運動を始める第一歩になりやすいのではないかと考えて実施しています。
鈴木:体の硬さは人それぞれで、運動不足や加齢、業務上どうしてもデスクワークで目を酷使するなど、原因もさまざまです。
でも体が硬い原因が自分ではわからないこともありますから、プロによる「内転筋が硬くなっていますよ」「これは加齢によるものなので体幹を鍛えるといいですよ」といった具体的なアドバイスをいただくと、日常生活で体のケアを意識するきっかけになると思います。
アプリで運動の習慣化とコミュニケーション活性化を目指す

ーー運動指導アプリの導入についても教えてください。
鈴木:「WEBGYM(ウェブジム)」という有料アプリを会社で導入し、社員が無料で使えるようにしました。個人に合わせた運動プログラムを提案してもらえたり、運動の習慣化を目指すチャレンジメニューに取り組めたりします。
また、別のスマホアプリを用いて、1カ月間の歩数を競う企業対抗型のウォーキングイベントに当社も10名ほどでチームを組んで参加しました。一日平均15,000歩も歩いている社員が話題になるなど、運動習慣の定着だけでなくコミュニケーションの活性化にもつながっています。ゲーム感覚で気軽に参加できるのが良いですね。
神﨑:新入社員に対する健康経営関連の情報発信に含めるなど、アプリの活用方法については定期的に社内に案内しています。
「自分の課題」と「改善目標」が重要

ーー健康経営を推進されるにあたって、難しいと感じたことはありますか?
杉浦:取り組みへの参加率アップにつながるような働きかけの仕方は常に考えています。ただ押し付けるように実施するのではなく、社員が「自分のためだ」と感じてもらえるようにするにはどうアプローチするか、考えていく必要があります。
神﨑:健康に気を遣っている社員もいればあまり関心がない社員もいますので、その関心がない社員にどのようにして関心をもってもらうか、取り組みに参加してもらうかが特に難しいポイントですね。
ーー今後の展望がありましたらお聞かせください。
杉浦:今後は、社員各自が健康課題の改善目標を設定することが重要だと考えています。最近は医療機器メーカーとタイアップした「大人の体力測定」というイベントの結果が戻ってきましたので、個人が実感している健康課題が見えてきたのではないでしょうか。
測定結果を踏まえてアンケート調査をし、それぞれの課題を洗い出していますので、その内容から次の健康経営上の課題を見つけていきたいですね。
ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
鈴木:ジム利用の例のように、当社では社員の反応を見てトライアンドエラーを繰り返し、より効果的な施策を実施するようにしています。「スポーツが苦手」と言うのは簡単ですが、「それならストレッチから」と視点を変えてみるのも大切です。まずは社員に自分の健康状態と課題を自覚してもらうことが重要だと考えています。
経営者層の方のなかには、健康経営はコストがかかると思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際はプレゼンティーイズムやアブセンティーイズムによるロスを減らす前向きな投資であり、心身ともに健康な状態は社員やその家族にとっての喜びにもつながります。
コスト以上にメリットがある活動ですので、福利厚生よりも一段高いレベルの投資と考えて、取り組まれることをおすすめしたいです。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:山八商事株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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