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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

「ウェルビーイング」の視点で健康づくり。日本精機株式会社にインタビュー

交通事故のない未来を目指す日本精機株式会社

ーーまずは御社の事業内容について教えてください。

山際さん(以下、山際):当社は自動車やオートバイ、建設機械、船舶などに搭載されるメーターと車載EMSなどを開発・製造しています。

近年注目が高まっている製品としては、安全運転をサポートする「ヘッドアップディスプレイ」というシステムがあります。これはフロントウィンドウに車速やナビゲーション表示などのさまざまな情報が遠方虚像として映し出されるものです。これにより、ドライバーは前方に視線を向けたまま、運転に必要な情報をより早く確実に得られます。

当社は単なるメーターディスプレイづくりというよりも、少しでも交通事故の少ない未来の実現のために、自動車メーカーさんとともにものづくりをしております。

1970年代から続く健康づくりの進化を目指して

ーー健康経営を推進され始めたきっかけについて教えてください。

保坂保健師(以下、保坂): 当社は2021年に健康経営優良法人の認定を初申請し、2022年3月に認定を受けましたが、「健康経営」という言葉は使わずとも1970年代頃から健康づくりには取り組んできました。

1970年代には本社工場の敷地内に体育館を建設し、スポーツ大会や運動会、さまざまな部活動などで盛んに活用されていたそうです。

1980年代からは、社員のメンタルヘルスサポートを目的としてカウンセラーが常駐するようになりました。個人カウンセリング、ラインケア研修、セルフケア研修などさまざまな場面でカウンセラーが関わっています。

2000年代に入り、保健師である私が採用されました。ほぼ同じタイミングで産業医のほかに精神科医による「心の健康相談」という日も新たに設け、ケアに努めています。

そしてメンタルヘルスだけでなくフィジカル面も含めた全体的な健康づくりを始めました。最初は過重労働の改善などから取り組み始めましたが、最近はポピュレーションアプローチという、広く皆さんの健康づくりにつながる施策に重点をおいています。社内や出入口に階段利用や徒歩移動を促すような掲示物を貼り、少しでも運動意識を持ってもらうための工夫もしています。

2021年から2023年にかけての当社中期計画には、健康経営の推進が明文化されました。これまでの取り組みもPDCAサイクルをしっかりと回していくため、優良法人の申請も含め、さらに健康づくりに注力しています。

これまでは体の健康、心の健康という視点で活動を進めてきましたが、現在はより大きな「社員が幸せになること」というウェルビーイングの視点で取り組みを展開しています。

ーー御社には「健康経営推進サポートメンバー」の方々がいらっしゃるそうですが、どのような役割を持たれているのでしょうか?

山際:健康経営を進めるにあたって、「やらされ感」があるとなかなか積極的に受け入れられないのではないかと考えました。そこで、人事から社内公募で健康経営の推進に興味がある方を募ったところ、2021年度は6名の社員が集まってくれたんです。20代の若手社員からベテラン社員まで、性別も年代も多様なメンバーが集まりました。

もちろんそれぞれ本来の業務がありますので、月に一回集まり、従業員視点のアイデアを創出する活動をしてもらいました。各職場で感じる課題やそれらに対する意見が活発に出されたので、この体制を作れてよかったと感じています。

働き盛り世代の運動習慣率が課題

ーーフィジカル面では、どのような健康課題があったのでしょうか。

保坂:平均年齢が上がってきていることもあり、生活習慣病の懸念や肥満率がなかなか下がらないという課題があります。新潟県は全国と比較して運動習慣のある人の割合が少ないのですが、当社は県平均よりもさらに少ないということがわかりました。運動習慣をつけてもらうためのさまざまな取り組みを検討しています。

ちなみに、新潟県は共働き家庭や介護をしながら仕事をしている人の割合も高い県です。働き盛り世代の運動が少ないのは、こうした仕事と家庭との両立でなかなか時間がつくれないという事情も関係しているのではないかと思います。

食堂メニューを大幅改善。コラボメニューで食の楽しみも重視

ーー御社では社員食堂のメニューを工夫されているそうですね。

保坂:10年ほど前の当社社員食堂の定食メニューは、野菜が少なく、ご飯茶碗が丼サイズと、栄養バランスの面で課題がありました。そこで通常の定食メニューのほかに、栄養バランスの良いヘルシー定食を導入することにしました。通常の定食は一日300~400食。しかし、このヘルシー定食はわずか10食しかオーダーされなかったんです。

そのため、ほとんどの社員が食べる定食メニューを抜本的に改善する必要があると考えました。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を参考に、保健所の栄養士さんにも相談しながら、カロリー、脂質、タンパク質、炭水化物、野菜摂取量、品目数などの基準を決め、一食あたり塩分量3g未満という薄味の定食を実現しました。

そして、新しい定食のネーミングは社内公募をして「ウェルネスランチ」に決まりました。さまざまな野菜が使われてカラフルになり、タンパク質量も確保できるようになった定食メニューの抜本的な改善活動が評価され、厚生労働省・スポーツ庁が主催する「第8回 健康寿命をのばそう!アワード」で「厚生労働省健康局長優良賞」を受賞しました。

さらに食を一層楽しんでいただくため、最近はさまざまな地域の企業様や団体様とのコラボメニューを提供しています。

例えば地域の「食生活改善推進委員」というボランティア団体さんが考えたメニューを提供したときは、家庭でもその味を再現できるようレシピを公開しました。また、市内の農業高校の学生さんが育てたお米や卵、ジャム、おから味噌を使ったメニューを提供したときは、高校生が従業員に食べた感想をインタビューするという交流もありました。

発酵文化で知られる摂田屋という地域にある酒蔵「吉乃川」さんの吟醸酒を絞った酒粕の酒粕汁、酒粕に漬け込んだ鶏肉メニューを提供したときは、摂田屋地域の観光チラシも一緒に配布して、休日の楽しみにもつながるようにと工夫しました。単なる食育というよりも、食を通して地域と交流し、従業員のウェルビーイングにつなげていきたいと思っています。

社員食堂は日本精機グループの関係会社が運営しており、管理栄養士さんらとともにメニューを考えています。管理栄養士さんからのアンケートでは、コラボメニューに対する感想や食べてみたいメニューを募っており、これも来月への期待をふくらませてくれます。

社員食堂での出張コーヒー店も大好評

ーーさまざまな工夫をされている社員食堂のメニューについて、社員の皆さまからどのような反響がありますか?

保坂:コラボメニューは特に喜んでもらえますね。毎月のメニューはあらかじめお知らせしますので、いつもはお弁当持参でもコラボメニューは食べるという社員もいると思います。

以前、地元のコーヒー屋さんをお招きして社員食堂でドリップしてもらったこともあるのですが、大変好評でした。コーヒーを通して、ホッとできる時間や仲間との会話を楽しむ時間の提供、休日はコーヒーを飲んでゆっくり過ごすとか、カフェに行ってみようかなというきっかけ作りなど、従業員のリラクゼーションにつながればいいなという思いを込めて企画しました。

「辞めなくて本当によかった」の声につながったサポート

ーーメンタルヘルスケアについても詳しくご紹介ください。

保坂:産業医の先生には過重労働に関する面談や職場復帰に向けた面談、就業上の配慮に関する意見聴取などで年間100件ほど面談をしていただいています。精神科医の先生へのメンタルヘルス相談は年間30~40件ほどです。

保健師は保健指導や怪我など安全衛生に関するようなお問い合わせ、メンタルヘルス関連などさまざまなご相談に対応しています。電話やメール、Webでの相談もあり、県外の方や海外に駐在している方からもご相談を受けます。

ーー例えばどのようなご相談があるのでしょうか?

保坂:仕事のパフォーマンスに関する相談やキャリアに関する相談もあれば、育児や介護と仕事の両立に関する相談もあります。

また、ご自身の病気や障害と仕事の両立が難しくなってきたケースでは、行政と連携をして就労のほかにも生活面での社会的な負担を減らせるよう、きめ細やかにサポートをしています。

ーーそうした相談対応を実施されていることで、よかったと感じることはありますか?

保坂:「病気を抱えながらも無事に定年退職できました」「あのとき辞めなくて本当によかったです」といったお声を聞くと非常にうれしいですね。社員一人ひとりが「日本精機で働いてきてよかった」と思ってもらえるように関わりたいと考えています。

今後はより社員の声を取り入れた健康経営へ

ーー健康経営を推進されてきて、社内外の反響はいかがでしょうか。

山際:地域の学校や企業との食のコラボ、本格コーヒーによるリラクゼーションなどを通じ、日本精機が健康経営に取り組んでいるという社内周知が進んでいます。

健康に関するセミナーを実施した際は、アンケートで感想や今後実施してほしいセミナーをヒアリングしています。例えば昨年(2021年)実施した女性向け健康セミナーに関しては、「男性の管理職向けにも実施してほしい」という声がありました。今後も社員の反応や意見をできるだけ取り入れていきたいですね。

また、会社説明会で「ホワイト500」認定を受けた話をすると取り組み内容に興味を持ってくれる学生が多く、健康的に働くことへの意識が高まっているのは採用活動でも感じます。健康経営に注目されている株主様も多いです。

ーー今後の展望がありましたらお聞かせください。

保坂:やはり地域とのコラボレーションを大事にしていきたいなと考えています。大規模法人の健康経営優良法人にはトップランナーとしての役割が求められていますし、自社の取り組みがその地域やステークホルダーの皆さんに良い影響を与えられるようにしていきたいですね。

これまでもできるだけ費用のかからない、ほかの企業様も取り組めるような、真似してみたいと思うような取り組みを心がけてきました。社員だけではなく、ご家族も一緒に楽しんで取り組めるような内容を今後も企画していきたいです。

ーー最後に、健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いします。

保坂:人生100年時代。人は「幸せになる」ことを目的に人生を歩んでいます。健康を大切にするのも「楽しんで」取り組んでいただけるといいのではないかと思います。 

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:日本精機株式会社

インタビュアー:青柳和香子

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