
大島電気株式会社は、新潟県十日町市に会社を構える電気工事会社です。健康経営の取り組みとして定期健康診断後の有所見者のフォローに力を入れており、健康経営優良法人の認定を4年連続、ブライト500を2年連続で取得しています。
残念ながら、大島社長(写真)は新潟電設業協会役員会議のためご欠席ですが、同社で健康経営を行なっている富井さんと小杉さんに、具体的な施策内容やこれまでの取り組みについてお話を伺いました。
幅広い電気工事を請け負う大島電気株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
富井さん(以下、富井):当社は昭和21年に設立し、今年で創業76周年を迎えることができました。おもな事業としては、県内にある発電所の電気工事や、通信工事を行なっています。また、発電所から変電所までの電気工事や住宅にあるコンセントの取り替えなど、電気に関する業務を幅広く行なっている会社です。
有所見者に対するフォローに力を入れる
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人を取得していますが、健康経営を始めたきっかけについて教えていただけますか?
富井:以前、当社の有所見率が79%と高かったことから、先代の社長から「なぜ、こんなにも有所見者率が高いのか?」と指摘を受けました。その原因を考えたところ、「定期健康診断後の有所見者に対するフォローが足りていないのではないか?」と考え、今後はどのように取り組んでいくべきかを話し合ったことが健康経営に取り組むきっかけとなりました。
個人の健康状態は個人情報でもあるので、会社から要再検査・要精密検査の通知を送ることはあっても、実際に受診するかどうかは個人に託していました。その結果、毎年同じ方が有所見の判定を受けていたことから、産業医と話し合い、会社として指導を行なう必要があると判断しました。
ーー有所見者に対して、どのような取り組みをされましたか?
富井:まず、通知を出すだけでなく各所属長に有所見者の情報を共有し、病院に行くように直接伝えてもらうことから始めました。しかし、それでも行かない人が多く、安全衛生委員会で「未受診の人が何人います」という報告をもらう状況でした。
そこで課題だと感じたのは休暇が取りにくい風潮です。今では考えられないですが、有給休暇が取得しにくいこともあったようで、社員が要再検査・要精密検査のときに休暇を取得しやすいよう管理者に率先して動いてもらいました。業務の流れを把握しているのは管理者なのでどのような工程を組むかを調整したり、「このときに休みを取って行ってきたらどうか?」と提案したりするなど、責任をもって対応してもらいました。その結果、みんなが前向きに考えてくれるようになり受診する人も増えていきましたね。
健康意識の向上を目指して

ーー健康経営の取り組みを進めていくなかで、社員のみなさんの健康状態について改善が必要なことはありましたか?
富井:1つ目は、新入社員や中途社員として新しく入社してくれた方の健康意識の低さです。新しい方が10人ほど入社してくれたタイミングで有所見率が上昇したことがきっかけとなり、健康に関する教育は繰り返し行なっていかないといけないと気付きました。新しく入社してくれた人たちにも健康に関する知識を学んでもらうために、医療の専門家をお招きして病気の原因や食生活について講演していただくなどの取り組みを行ないました。
2つ目は、ここ3年ほど同じ人たちが特定保健指導の対象になっていることです。健康状態の改善、意識向上を目的として健康保険協会の「健康事業」や新潟県の「歩け歩け大会」、十日町市の「健康ポイント」などに積極的に参加してもらいました。その結果、「健康チャレンジ」という自分で掲げた目標に向かって3カ月間取り組む企画では、特定保健指導の対象者10名中8名が目標を達成することができました。以前は10人中1人が達成する程度だったので成果があったと感じています。
ーー健康経営の取り組みを進めるなかで大変だったことはありましたか?
小杉さん(以下、小杉):健診後、該当者には要再検査・要精密検査の通知を行なっていますが、その結果報告の提出が期限内に全員分そろわないことです。健康経営の取り組みを前向きにとらえてくれる社員も増えましたが、受診する意思があっても後回しにしてしまう方はまだいらっしゃいます。会社としては、今後も休みが取りやすい体制や風土づくりを浸透させていきますが、早めに病院に行ってもらえるよう直接の指導も進めているところです。
ーー健康経営の取り組み進めていくなかで社員のみなさんからの反響はいかがですか?
小杉:健康経営の取り組みを進めたことで、健康に関心を持ってくださる方が増えたと感じています。特に20代の社員は、健診結果がC判定であっても「この間、病院に行ってきて正常値に戻ったんですよ」とうれしそうに声をかけてくれる方もいらっしゃいます。また、特定保健指導に該当する社員も気にしていないわけではなく「どうやって改善すれば良いのか」と悩んでいるようで、自分から話かけてくれることもありますね。
健康は積み重ねが大事だと考えているので、毎年同じことの繰り返しになるかもしれませんが今後も継続して進めていきます。
社員の健康を第一に考える

ーー健康経営の今後の目標や計画について教えていただけますか?
富井:我々はとにかく社員の健康を第一に考えて活動しています。その信念に基づけば、どのような意見や批判を言われても苦痛ではありません。今後も社員の健康を考えて定期健康診断後のフォローを確実に行ない、その日々の積み重ねが最終的に社員の健康につながると信じて活動していきます。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方や企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
富井:「健康は一日にして成らず」という言葉があるように、毎日の積み重ねが必要です。日々の食生活や睡眠、余暇を楽しく過ごすことが大切だと思います。
また、健康経営を進めている方は一喜一憂することなく、社員の健康を喜び、健康意識の向上を図っていきましょう。大変だと思いますが、地道にコツコツと進めることで社員の方もいずれ理解してくれると思います。
ーー本日は、お話を聞かせていただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:大島電気株式会社
インタビュアー:塩野実莉
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