
株式会社平山組は長崎県に本社を構える、総合建設業を営む企業です。今年5月に新設した社屋にはボルダリングの壁を設置するなど、従業員のみなさんが楽しみながら取り組める工夫を行なっています。
今回は同社で健康経営を担当されている中村さんに、健康経営の施策や今後の展望をお伺いしました。
保険会社からの強い勧めで始めた健康経営

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
中村さん(以下、中村):当社は、今年創立93年目を迎える総合建設会社です。当初は鉄道の請負工事から始まりました。現在は、道路の舗装工事、建物や土木工事などの公共工事をメインで行なっています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人を取得されています。健康経営を始めたきっかけについてお聞かせください。
中村:保険会社で働いている友人から、健康経営についての話を聞いたことがきっかけとなりました。正直なところ、初めの頃は関心を持ちませんでしたが、「採算を調べてみたから見てほしい」「健康経営優良法人の申し込みが始まったよ」と熱心に話してくれました。「そんなに言うならやってみよう」と思い、健康経営の取り組みを始めるに至りました。
ーー最初はどのようなことから健康経営の取り組み始めたのでしょうか?
中村:まず、健康経営優良法人認定の資料を取り寄せ、チェック項目を確認したところ、「健康診断の受診率100%」「相談窓口をつくる」「禁煙や分煙を徹底して社内でタバコを吸えないようにする」など、すでに取り組んでいる内容も多くありました。そこで、健康経営優良法人の申請をしてみたところ、1年目から認定をいただくことができました。その後は、メンタルヘルスチェックや健康セミナー・研修を開催するなど、少しずつ活動の幅を広げていきました。
健康セミナーでは、従業員が話を聞くだけではなく、みんなでディスカッションする形式をとっています。例えば、「どうしたら禁煙できるか?」というテーマに対して、従業員の実体験を発表したり、「こういう取り組みができるんじゃないか?」と意見を言い合ったりしていますね。
また、「ヨガやマインドフルネスが流行っているけど何から始めたら良いかわからない」という従業員がいたので、私が簡単な資格を取って、みんなの前で実践することもありました。
ーーほかにも取得を検討している資格はありますか?
中村:最近は「どのような食生活をすれば良いかわからない」という従業員が多くいたので、ケトジェネリックアドバイザーという資格を取ろうと考えています。「これは、どのような食べ物が結果的に体に害を及ぼすのか?」「健康的に痩せるにはどのようにしたら良いのか?」ということを勉強するものです。従業員にも勉強した知識を共有していきたいと思います。
健康に向けた行動の効果がわかる、健康サポートアプリ
ーー御社では、健康意識の向上のため、健康サポートアプリを導入していると伺いました。詳しく教えていただけますか?
中村:このアプリは保険会社が提供している無料のアプリです。個人ごとに健康診断の結果を入れられるようになっているので、「このままだと○年後にこういう病気になる可能性が高いです」といった内容をアプリが教えてくれます。アプリで気付きを得て運動をするようにしたり、健康的な食生活を意識したりすると、アプリに表示される病気の発生時期が遅くなるなど、効果を目で見て実感することができますよね。効果が出て喜んでいたり、従業員同士で見せ合ったりしている姿を見るとうれしく思います。
楽しんで運動ができる新社屋

ーー働きやすい職場環境を整えるために、取り組んでいることはありますか?
中村:創立93年の歴史のなかで、今年初めて社屋を建て直しました。2年ほど前から健康経営に取り組んできたことで健康への意識や関心は高まってきたので、次は設備を整える時期だと思い取り組みました。
建物内に壁でボルダリングができる設備を整えたので、仕事中に体を動かしたり、従業員同士で楽しんで運動したりすることができます。また、従業員が使う椅子にはゲーミングチェアーを採用して、しっかりリクライニングができたり、バイブレーション機能で体に振動を送ることができたりと、長時間座っていても体への負担がなるべく少なくなるようにしています。

ーー細かいところまでこだわって作られていますね。
中村:仕事をしながらもコミュニケーションが取れ、健康を考えるきっかけになったら良いなと思い作りました。最近は、「働き方改革」や「DX」などが話題ですが、当社ではそこに「従業員の健康を考える」という軸をプラスしたことで具体的なアイデアが出てくるようになり、進めやすくなりましたね。
「働くこと」と「健康」の結びつきができた
ーー健康経営を進めていくなかで、改善が必要だと感じていた点はありますか?
中村:当社では、忙しい時期はあまり休まず働くこともあり「働くこと」と「健康」の結びつきが少なかったので、改善が必要だと思っていました。健康経営の取り組みを進めたことで、従業員のみなさんが自分の健康を大切にすることは、会社としてプラスの要素があると示せるようになり、休憩や休暇の取り方が良い方向に変わるなど改善が進んでいます。
健康を通じて地域の方と距離を縮めたい
ーー健康経営の今後の計画や目標を教えてください。
中村:来年から、会社と地域の距離を縮めていきたいと考えています。当社は歴史ある会社のため認知してくれている方は多いですが、今後は地域の方を巻き込んだ健康や環境への取り組みを行ない、もっと身近に感じてもらえる活動をしていきたいですね。具体的には、地域のヨガ教室とコラボレーションしてイベントを開催するなど、健康に関するイベントを月に1度開催できればと考えています。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方へメッセージをお願いします。
中村:健康は、みんなが共通して話せるテーマなので一つのコミュニケーション材料になると思います。従業員や地域の方と何かを一緒に始めるときや、何かの目標を達成しようとする際の軸となり、良い効果をもたらしてくれるのでやらない理由はないと思います。
始める前は「面倒くさいのではないか?」と思ったこともありましたが、取り組んでみるとすでに実施していることもあったり、身近なことから始められたりしたので、「とりあえずやってみる」ことが大切です。
ーー本日はお話いただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社平山組
インタビュアー:塩野実莉
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