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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

企業の活動を支えているのは人であり、人の健康がベースとなる。カシオ計算機株式会社にインタビュー

主要施策の一つに健康経営を掲げて取り組みをリスタート

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは御社の事業内容や沿革について教えてください。

風間さん(以下、風間):弊社は1957年の創立以来、時計や電卓、楽器といった個人向け製品から法人向けのシステム機器などの製造・販売を行なっています。新しいものを生みだし製品を通じて社会に貢献していこうと、「創造 貢献」を経営理念に掲げ、事業を拡大してまいりました。現在、従業員はグループ連結で1万人程度となっています。

主幹事業としては、個人のお客様にお使いいただくコンシューマー商品をメインに扱っていますが、健康経営にまつわるような事業も展開しています。

岡野さん(以下、岡野):皮膚科、婦人科用のカメラ販売や、薬剤師用、栄養士用、看護師用と3点の電卓を発売しています。看護師用の電卓は、看護師と共同開発しました。看護師さんは入職すると必ず電卓を一つ持つのですが、キー操作が少なく簡単に操作できるような工夫がされています。

ーー健康経営を始められたきっかけをお聞かせください。

風間:企業の活動を支えているのは人であり、人の健康がベースとなります。健康に関する事業展開もあったため、こういった分野は身近なものでした。2017年から健康経営優良法人の認定を受けていることもあり、従業員の健康に関する社内制度も比較的充実していたと思いますが、人事部門のトップが掲げた三つの主要施策の一つとして「健康経営にあらためて取り組もう」と全社に発表し、リスタートを切る形で健康経営に取り組んでいます。

ーー主要の施策として掲げられる前から、健康に関する取り組みは充実していたのですね。

千葉さん(以下、千葉):そうですね。さまざまな施策を数多く打ってきました。経営層の指針として健康経営が掲げられたことで、これらの施策を集約して、ホームページをリニューアルしました。一気通貫で取り組みがよりわかりやすくなり、従業員の方からの理解も高まると考えています。

女性従業員の増加にともない、女性の健康へより一層の対策が必要に

ーー御社の健康課題となっていた点はありますか?

風間:健康経営の取り組みをあらためて見直したときに、女性従業員の健康に対する部分において少し立ち遅れていることが浮き彫りになってきました。弊社はメーカーということもあり、比率的には男性従業員が多い状況でした。しかし、昨今は女性の従業員も増えてきていて、女性特有の健康課題への対応が急務だと思うようになりました。

岡野:女性の健康に対する施策を、まったくやっていなかったわけではありません。ただ、どうしてもメタボリックシンドロームや生活習慣病などの対策ばかりに、力を入れ過ぎていたところはあります。あらためて振り返ったとき、女性の従業員の健康などについてもしっかりやっていかなければと感じました。

ーーでは、具体的な施策について教えてください。

岡野:生活習慣病対策に関しては、かなり手厚くやっています。健康診断の実施はもちろん、受診報告率についてもきちんと追っていて、再検査になったときには病院に行ってもらうようにしています。あとは、健康診断へ行きやすいように就業時間内に業務の一環として行ける制度もありますし、交通費の支給もしています。今は本人だけではなく、上司や職場の皆さんの協力も得て、職場全体で健康診断に行きやすいような環境づくりに取り組んでいます。

女性の健康課題についても、もともと婦人科検診など健康診断の制度はありましたし、健康保険組合から補助金なども出ていました。一方で、実際にどれくらいの人が悩んでいるのか、病気があるのかなど具体的なところまでは把握できていなかったので、今取り組んでいるところです。

あとは、外部企業にご協力をいただいて、女性の健康に関するセミナーを開催しました。セミナーの参加は女性だけではなくて男性も含め全従業員に向けて、女性の健康に関する理解を高めることを目的としています。

かなりの反響があり、300人ほどの方に申し込みをいただき参加者の4割ほどは男性従業員でした。20代から60代まで幅広い年代の方にご参加いただき、開催して良かったなと感じています。

ーーセミナーでは、具体的にどのようなことが学べるのでしょうか?

岡野:女性特有の病気ですね。あとは、女性自身もきちんと知識を得ることが大事なので性教育や、ホルモンによる影響を提供していきたいです。また、働きやすいように女性が世代ごとに抱えている問題を男性従業員にも理解していただける内容を今後も展開していきたいと思っています。

ーー男性の方も多く参加されたとのことですが、どのような理由で参加されたのでしょうか?

岡野:参加の目的としては、部下の業務に配慮できるようにとか、どういうふうな声かけをしたらいいのかとか、自分の娘さんや家族に、どのように対応すればいいのかといったお声が多く聞かれました。

千葉:アーカイブ配信などを行なって、ご家族の方も一緒にみていただけるような準備もしています。

「つながりカフェ」で従業員のつながりをつくり、悩みを解決

ーーその他、注力している施策はありますか?

風間:「つながりカフェ」という社内の枠組みを使い、健康課題への取り組みを始めました。働くうえで、いろいろな課題を抱えた従業員同士を集めて座談会みたいな形で、課題を経験してきた人と今課題に悩んでいる、もしくは今後悩みそうな相談したい人を募り、情報交換やつながりをつくる機会を設けました。

座談会後に匿名で社内のポータルサイトにレポート記事を掲載して、関心のある方にご覧いただけるようにしています。このつながりカフェの仕組みを活かして、まず今年の秋に病気と仕事の両立支援を課題として取り上げました。

岡野:病気と仕事の両立支援に関しては重い病気がテーマだったこともあり、関心はあるけれど、自分自身の闘病のことを話すのは少し辛いという感情もあって直接的な参加者の申し込みは少ない状況でした。ただ、社内ポータルに座談会の記事を掲載させていただくと、かなりの反響があって勇気付けられた方も多かったのではないかと思います。

会社として一体感が生まれ、大変ななかでもやりがいを感じた

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありますか?

風間:やはり印象に残っているのはコロナワクチンの職域接種ですね。昨年の夏に1回目と2回目、今年の春に3回目のワクチンを会社で接種できるようにしました。

特に最初に実施した昨年の夏頃は社会全体が混乱しているような状況でしたが、社員と家族の安全と安心のために、絶対に実現するべきだという強い使命感で取り組みました。そのなかでも早くワクチンを打とうと決めたものの、やり方もわからないですしワクチンもなかなか届かなくて試行錯誤を重ねました。

千葉:ワクチンの接種は、スタートするまで2週間しかない状態でした。そのなかで5,000人の接種を行なうためにどのようにスケジュールを組んで医療スタッフを配置するかなど、やらなければいけないことがたくさんありました。大規模会場がどのように運営されているのか、視察にも行きました。当時のスケジュールを見ると、今だったらできないかなと思うくらいの勢いで進めていましたね。従業員の方からも評価いただきましたし、「手伝えるところがあればお手伝いします」との声も数多くいただきました。会社として一体感があったように感じます。

岡野:本当に一体感をもって取り組めたことが、私たちの担当者のパワーにもなりました。人事部長を含めて上層部からも「きちんとやろう」と声がけをいただきましたし、従業員の皆さんからも「ありがとう」という声をいただいて、会社としての一体感がやりがいにつながったように思います。

風間:弊社にはサンクスカードという、感謝を伝えたい方にメッセージを送れるカードがあります。新型コロナワクチンの職域接種について、サンクスカードが届いて非常にうれしかったですね。

9つの重点項目に沿って取り組みを進め、ホワイト500の認定を目指す

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。

風間:ホワイト500の認定を受けたこともありますが、直近は取れていないので、あらためて認定を目指して取り組みを進めています。重点的に推進を目指す9つの項目において成果をだして、ホワイト500の認定につなげていきたいです。

ーー9つの項目とは、具体的にどのような内容になっているのですか?

岡野: 1つ目は健康意識の向上で、従業員の皆さんの健康意識が高まるような施策に取り組んでいこうと考えています。2つ目は、ワークライフバランスの推進で、時差通勤や在宅勤務の取り組みを進めています。3つ目は職場活性化ということで、つながりカフェなどを使って皆さんが元気よく働いていただけるようにしています。

その他、病気と仕事の両立に対する支援の充実、女性の健康保持増進、長時間労働対策、メンタル不調者のサポート、感染症対策、生活習慣病対策などです。

従業員がイキイキ働ける環境づくりを目指して

ーー健康に関心のある読者や、健康経営に取り組む企業の担当者へメッセージをお願いします。

風間:従業員の皆さんからの反響は担当者としてもやりがいになりますし、施策をやればやっただけの反響や効果はあると思います。企業を支えるのは、人の力がベースになります。社内に良い循環を起こして人材の力を高めるという意味でも健康経営は素晴らしい取り組みだと思うので、 ぜひ多くの企業に取り組んでほしいと思います。

千葉:従業員の皆さんに、元気にイキイキと勤務いただけるようになるといいと思います。毎日楽しい気持ちで会社に行き、「今日も頑張ろう」と思えるような環境がつくれるように考えながら取り組みを進めています。

岡野:従業員の皆さんがイキイキと働くことによって会社の発展にもつながると思いますし、健康経営はぜひ取り組むべきだと思います。女性向けのセミナーに男性の方も多く参加してくれて、弊社は性別の区別なく受け入れ態勢がすごくある会社だと感じました。みんなで同じ方向性で働けるような会社になったらと思います。

ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:カシオ計算機株式会社

インタビュアー:朝本麻衣子

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