福島県須賀川市に本社事業所を構える林精器製造株式会社は、創業以来続くウォッチケースの製造や精密金属部品加工など、幅広く事業を展開する企業です。
同社は2016年から健康経営に取り組み、2021年・2022年と2年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。各事業所にある社員食堂ではサラダやフルーツなども無料で提供しているほか、外部インストラクターを招いた体幹トレーニング教室などを実施しています。
今回は林精器製造株式会社の健康経営について、企画管理部 経営企画グループの関根美代子さん、安積邦夫さんにお話を伺いました。
民生品から先端技術製品まで。100年続く林精器製造株式会社
ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
関根さん(以下、関根):弊社は1921年に創業した会社で、2021年に100周年を迎えました。3つの事業所と本社で構成されています。
まず須賀川本社事業所では、おもに腕時計ケースの製造や、時計製造で培った技術を活かして精密金属部品の製造を行なっています。玉川事業所では、省力機械の設計から製造・組立、産業用ロボットのシステムインテグレーションおよび医療機器の製造が行なわれています。
そして郡山事業所では、樹脂や金属への各種メッキ処理を行なっています。本社では弊社で働く従業員をさまざまな形でサポートしており、健康経営においても企画から立案、実施までを担っています。
ーーありがとうございます。健康経営を始められたきっかけについてもお聞かせください。
関根:毎年の健康診断結果を見ると、血中脂質検査や血圧の有所見率が全国平均を上回っていました。そのあとも横ばい傾向が続いたのが健康経営に取り組み始めたきっかけです。
2016年より経営方針に「心と体の健康増進」を重点施策として組み込み、健康経営に取り組んできました。
野菜が充実した昼食や定期イベントで栄養サポート
ーー実際の施策について詳しくお聞かせください。
関根:弊社では各事業所に食堂があり、曜日ごとにサラダや健康ドリンク、フルーツなども無料で提供されています。また、健康ランチやスペシャルメニュー、季節のイベントメニューも月に数回提供しています。
こうした施策は、前社長の「おいしいものを食べよう」「従業員にもっと野菜を食べてもらおう」という声から始まり、食材の冷凍野菜を生野菜に切り替えてもらうなど、経営者からの働きかけでどんどん取り組みが進んでいきました。
安積さん(以下、安積):野菜は厨房内でスチームコンベクションを使って調理していただいています。ただ煮るよりも食感がいい状態で提供されるので、従業員も喜んでいます。
関根:さらに、お昼休憩に食堂で健康度の測定やクイズなどに参加できる「ウェルネスフェア」というイベントを年4回実施しています。こちらは開始から5年ほど経っており、今年も11月に3回目を実施しました。4回目も2023年2月に行なう予定です。
体幹トレーニング教室はオリジナルメニューも
ーー運動面での施策はいかがでしょうか?
安積:2年ほど前から外部トレーナーの方を月1回お招きしています。須賀川本社事業所の食堂で、テーブルを移動してスペースを作り、終業後に希望者を募り実施しています。
職種によって座ったままや立ちっぱなしなど、従業員の働く環境はさまざまです。人によって腰や肩など気になる部位が違うため、それをトレーナーさんに伝えて弊社オリジナルのメニューでトレーニングをしていただいています。
関根:参加したくても都合により参加できない従業員もいますから、動画を撮影・編集して社内のホームページや社内専用You Tubeにアップし、自宅で見ながらトレーニングできるように工夫しました。
若手従業員の食堂利用を増やしたい
ーー健康経営を実践するうえで大変なことはありますか?
関根:食堂利用率はもっと上げたいと考えています。昔から利用している方はほとんど毎日のように食堂メニューを食べている一方で、若い方は食事を抜いてしまう場合もあるようです。イベントメニューとして「甲州ほうとう」や「バターチキンカレー」を出したり、クリスマスにはミニケーキをつけたりして、利用を働きかけています。
以前は3つの事業所にある食堂運営を別々の会社に委託していましたが、全従業員に同じ食事を提供するため、一つの委託会社さんに全事業所の食堂をお任せすることにしました。ウェルネスフェアや講演会は全事業所で実施するため、外部の方に多々協力いただいているからこそできることだと感じています。
健康診断の追加項目で早期発見・早期治療を実現
ーー健康経営への取り組みによる効果はいかがでしょうか?
関根:毎年の健康診断で、35歳以上の方には生活習慣病予防検診の追加項目があります。そのなかに腫瘍検査があり、男性はPSA(前立腺の病気についての項目)、女性はCA125(卵巣の病気についての項目)を追加しました。この腫瘍検査を行なったことで早めに治療を受けることができたという報告があったので、追加は効果的だったと思います。
また、健康ランチやウェルネスフェアについても、継続を希望する声が従業員から寄せられています。「スパゲッティが食べたい」という声もいただき、食堂に相談して今年は3回ほど提供いただきました。従業員の声からメニューが追加できたのは良かったと思います。
体幹トレーニング教室については私自身、当初はきついと感じたことが徐々にできるようになってきて驚いています。体幹を鍛える動きはスピードこそ遅いものの、動かし方によってはとても負荷がかかるんです。月に1回でも継続してきたからかなと思います。
安積:ほかの従業員も毎月のトレーニングテーマに興味をもって参加していますし、「体が楽になってきた」という声を聞いています。
歯科健診を追加して「お口の健康」にも注力していきたい
ーー今後の計画や展望がありましたらお聞かせください。
関根:今年6月に「お口の健康週間」ということで、従業員にリーフレットと歯ブラシを配布しました。その次のステップとして来年度は健康診断に歯科検診を追加し、全従業員に歯周病や歯槽膿漏などの口腔内の健康に目を向けていただきたいと考えています。
ーー最後に読者の方へメッセージをお願いします。
関根:疾病を予防する意識には、普段なかなか目が向かないと思います。でも健康状態は自分だけでなく、家庭や仕事の充実度にも影響します。心身ともに健康で毎日過ごせるように、まずは自分の健康状態に目を向けて、改善していくための行動を継続するのが大事ではないでしょうか。
ーー本日はお話をお聞かせいただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:林精器製造株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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