
オーエム機器株式会社は岡山県に本社を置き、建材や福祉機器の製造、金属や樹脂の3Dプリンターを活用したものづくりを行なっている会社です。健康経営の取り組みとして、心身の健康だけでなく、それに付随する働きやすい環境づくりやハラスメント対策など、あらゆる角度から健康経営の取り組みを進めています。
今回は、同社の代表取締役社長の難波さんと健康経営を担当している清迫さんにお話を伺いました。
お客様の想いを形にする。オーエム機器株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず、御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
難波さん(以下、難波):当社は1943年に創業し、岡山県総社市に本社を構える建材や福祉機器の製造や販売を行なっている会社です。具体的には、OAフロアやフリーアクセスフロアと呼ばれる床材の製造・販売、企業向けの福祉機器商品の製造・開発などです。ここ数年で、3Dプリンター事業も開始し、金属や樹脂などの3Dプリンターを活用した新しいものづくりにも挑戦しています。
健康な会社にしていくために取り組みを始める
ーーありがとうございます。健康経営を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか?
難波:十数年前から、メンタルの不調や肥満など、健康を害する従業員が数名出るようになりました。「この会社で働いていると健康になれる会社にしたい」という思いがあるので、従業員の健康状態に問題意識を持ち、清迫さんに相談したところ、彼女が中心となって「健康な会社にするにはどうしたら良いか」を考えてくれるようになり、当社の健康経営活動が始まりました。
ーー最初はどのような取り組みから始められたのでしょうか?
難波:健康経営という言葉もまだ広がっていない頃は、挨拶をしたり、掃除をしたりといった取り組みから始めました。その後、ウォーキングイベントの開催や部下の健康を上司の評価項目に入れるなど、ほかの企業がいろいろな取り組みをしていることを知りました。
そのなかで、健康経営の指標となるような認定制度があると聞く機会があり、健康優良企業として認定される会社に成長していきたいと考えました。そこで、職場環境についても健康経営活動の一環としてとらえて活動していく方針が決まり、現在まで進めています。
自分の体の状態を知る機会の提供
ーー健康経営を進めていくなかで、従業員の皆さんの健康状態について改善が必要だと感じたことはありましたか?
難波:健康に無頓着な従業員が多く、いまの自分の体の健康状態を知らない人が多くいたことです。その改善に向けて、毎月自分の健康チェックをする仕組みを作るために「ドクターセルフチェック」というシステムを取り入れることから始めました。これは、簡単な質問項目に回答することで体年齢を教えてくれたり、今後はどのようなことに気をつけたら良いかアドバイスをくれたりするもので、毎月全社員が行なっています。
ーーほかにはどのような取り組みを行なっていますか?
清迫さん(以下、清迫):健康診断の受診後、結果が良くなかった人については産業医との面談を必ず受けてもらうようにしています。面談では、健康状態を改善するためのアドバイスを受けたり、労働時間の確認をしたり、業務改善につながる時間の確保を目指しています。
難波:健康は体の健康状態だけでなく、いろいろな要素が重なっているので、子育てがしやすい環境づくり、ハラスメント予防として弁護士の先生をお招きして全社員に講演してもらうなどの取り組みも行なっています。
あらゆる従業員が働きやすい環境づくり
ーー子育てしやすい環境づくりのためにどのような取り組みをされているのでしょうか?
難波:幼稚園や保育園の送り迎えを考慮して、始業と終業の時刻を早めたり遅くしたりできる時短勤務を取り入れています。当社では子供が小学生になってもその制度を活用することができます。
清迫:また、有給休暇を1時間単位で取得できるので、子どもを病院へ連れて行かないといけないときなどは、以前は半日休暇を取得しなければいけなかったのですが、休みが取りやすくなりました。これは子育てしている方だけでなく全従業員が活用できる制度のため、介護をしている従業員からも良い反響をいただいています。
継続することで健康経営の取り組みに関心を持つ人が増えた

ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありましたか?
清迫:健康経営という考え方を従業員の皆さんに説明し、理解してもらうことが大変でした。「健康と経営はどうつながっているの?」という疑問の声をいただくことも多かったですね。健康増進によって組織の活性化を起こす取り組みを続けたおかげで、「今度は何をしているの?」と今では私たちの取り組みに関心を持ってくれる声を聞くことが増えました。
最近、体力増進を目的とした「健康促進エリア」を設置して、ここでは、閉眼片足立ちや椅子に30秒間の立ち座りなど7種類の運動を行なうことができます。また、筋力や瞬発力を意識するきっかけになればと思い、握力や棒つかみなどの体力測定ができる器具も置いています。このエリアの設置を進めているときも、「何をやっているの?やってみたい!」と興味を持って声をかけてくれる人も多く、皆さんの意識が少しずつ変わってきていることを感じています。
ーー健康経営の取り組みを進めるなかで、従業員の皆さんからの反響はいかがですか?
清迫:最近では健康エリアの反響が大きかったですね。自分の体を動かしながら、みんなで楽しく取り組んでいる様子を目にしています。社内の人がたくさん通る場所に設置しているので、いろいろな部門の人たちが自然とコミュニケーションを取り、社員の輪も広がってきていると感じました。最近はその様子をSNSに上げて楽しんでいます。
また、事務所をフリーアドレスにしました。毎朝、抽選システムで席を決めることで同じ席にならない状況となり、毎日違う人が隣に座るなど他部門の方との交流ができるようになりました。ホッと一息できる「やぐらカフェ」も設置したことで従業員同士のコミュニケーションの場が広がってきています。
ーー健康経営の今後の目標や計画を教えてください。
清迫:健康診断の結果を確認すると高血圧の人が多くいるので、注力していく必要があると感じています。また、健康経営のセミナーに参加した際に全国の喫煙率について報告を受けました。弊社も禁煙治療や喫煙率を下げる取り組みを検討していこうと考えています。
不安を相談できるなど安心して働ける体制を整える
ーー最後に、健康に関心のある読者の方や企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
難波:会社は人生の多くの時間を過ごす場所です。「単に仕事をする場所というつながりだけでなく、家族のような関係を築けたら良いな」と思っているので、体の健康や人間関係について不安があれば相談できるなど、安心して働けることが良い仕事につながっていく職場環境づくりに、今後も取り組んでいきます。そのような視点から考えると、どの企業にとっても健康経営は大切なことではないでしょうか。
ーー本日はお話いただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:オーエム機器株式会社
インタビュアー:塩野実莉
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