
京都府京都市に本社を構えるTOWA株式会社は、半導体モールディング装置のリーディングカンパニーです。モールディングとは、半導体製造工程の後工程に位置し、半導体チップを衝撃やさまざまな環境から守るために樹脂で覆い固める工程を指します。
同社は2019年に代表取締役社長による健康宣言を発表し、社員とその家族の健康サポートを進めてきました。2022年には「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定され、ますます活動に力を入れています。
今回はTOWA株式会社 総務部総務課の喜多朋子さん、新友里さんにお話を伺いました。
会社発展のためには、健康が不可欠

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の事業内容について教えてください。
喜多さん(以下、喜多):弊社は1979年に創業し、今年で44年目を迎えています。おもな事業内容は、半導体製造の後工程であるモールディング・シンギュレーションなどの装置及び超精密金型の製造に加え、レーザー加工機や医療機器用プラスチック成型品の製造など、金型技術をコア技術としてさまざまな事業を展開しております。
ーーありがとうございます。健康経営の推進には何かきっかけがあったのでしょうか。
喜多:もともと、社内には「会社の発展には社員とその家族の健康が不可欠」という考え方があります。そして健康経営が企業の発展につながっていくという考え方や「健康経営優良法人」認定制度がだんだん浸透してきましたので、より一層健康を増進することを目指して2019年に健康宣言を出したのが始まりです。
ーー当初、社員の皆さまについて健康上の課題はありましたか?
喜多:健康診断の結果を見ると、生活習慣病のリスクにつながるような項目の数値が高い傾向にありました。けんぽ協会さんによる分析からも、メタボの要因となる項目の数値を抑える必要があると考えました。
栄養バランスのとれた昼食で健康サポート

ーー2021年に食堂をリニューアルされたそうですね。
喜多:以前は一つの場所で調理を行なうセントラルキッチンという形式で、業者さんの厨房で調理されたものを温め直して提供していました。それを2021年から社内で調理するスタイルに変更し、バランスの取れた出来立ての温かい食事をとれるようにしたんです。「味が良くなった」と皆さんから好評をいただいています。
「エビカツ丼」などのランチセット、「肉山かけうどん・そば」などのヌードルセット、「黒酢照焼チキン」などのバラエティセットといった何種類かのメニューから自分で選べて、サイドディッシュも追加できます。それぞれの栄養素も書いて紹介しています。
ーー作り立てだと一層おいしくいただけますね。皆さんよく利用されていますか?
新さん(以下、新):社員の方も派遣社員などの方も利用できます。特に一人暮らしの方は、社員食堂のランチで野菜など栄養価のあるものをしっかり摂る、と決めているくらい重宝されているようです。会社から半額補助も出ますので、利用を促進しています。
まずは知ることから。女性の健康セミナーを実施

ーーほかにはどのような取り組みをされていますでしょうか?
喜多:「女性の健康」に精通した外部講師をお招きして、まず女性向けにセミナーを実施しました。おもに月経や更年期など女性の体にまつわる内容で、女性自身も知らなかったことや自分でできる健康管理方法などを学びました。
そして女性社員がどのようなことに困っているかを学べる管理職社員向けのセミナーも行ないました。
新:弊社は社員の約8割が男性で、特に製造現場と技術職には男性が多く在籍しています。管理職も男性が多い状態ですので、女性特有の健康課題や困りごとを知っていただけたらと思っています。
ーー社員の皆さんからはどのような反響がありましたか?
喜多:受講した管理職の方から「そういうことだったのか」「声をかけるタイミングを考慮するようにしようと思う」など、今後に向けた気づきの感想をいただいています。女性の体調不良を感じたとき、どのように接していいのかわからないものの、その根底には優しさがある男性が多いと感じました。
「自分の部署には女性社員がいない」という方もいましたが、女性と関わるのは会社内だけではないということをお伝えしたことで、そうした社員にとっても日常に活きる知識となったのではないかと思います。
新:月経など女性の体に関することは「触れてはいけない話題なのではないか」と思われがちですので、その壁を無くしていきたいですね。
今回はまず女性自身が知る必要があると感じたため女性向けに、その次に管理職向けに実施しましたが、最終的には全社員に向けて開催したいです。
喜多:まずは知識として女性の健康課題や困りごとについて知っていただき、どのように対応すればいいかを考えていきたいですね。そうすれば女性に対してだけでなく、全員がお互いに労わって助け合えるような関係性を作れるのではないでしょうか。
スポーツを通じた社員交流

ーー運動に関する取り組みについても教えてください。
新:今年(2022年)11月にスポーツフェスティバルという家族参加型のイベントを会社所有のグラウンドで実施し、約300人の方が参加されました。
部署別でチームに分かれてさまざまな競技をしたのですが、コロナ禍ですので、なるべく接触を少なくするために軍手装着での綱引きや、一度落ちたボールは使わない球入れなどの工夫をして開催しました。
喜多:お子さん向けのかけっこ競技や陣地取りゲームなど、さまざまな内容で楽しめましたね。
こうした場がきっかけで、普段交流がない人たちとの交流が生まれ、新しい刺激となって、日常での業務連携の促進、そして会社の発展につながるのではないかと考えています。
多様なクラブ活動で社内交流が活発化

ーー御社ではクラブ活動も盛んだそうですね。
喜多:ゴルフ、ソフトボール、ヨガなどのスポーツ・エクササイズ系もあれば、書道部やお料理クラブ、電子工作部など文化系のクラブもあり、現在は15団体のクラブが活動しています。私はお料理クラブと書道部に所属していて、お料理クラブでは毎年12月頃にゆずポン酢を作っています。
新:クラブ活動にも会社から補助が出ますので、最近はeスポーツ部などさまざまなクラブが立ち上がっていますね。
喜多:部署や事業所が違う社員とはなかなか顔を合わせる機会がないので、クラブ活動がよいコミュニケーションの場となっています。
「知識を得る」から「より良く生活する」フェーズへ

ーー御社では個人の健康だけでなく、社内のコミュニケーションも大切にされているのですね。今後の展望がありましたらお聞かせください。
新:これまでに提供したセミナーで得られた知識を活かし、よりよく生活できる環境を整えたいなと思っています。女性の健康に関する相談窓口や、健康診断結果とストレスチェック結果を組み合わせて総合的に健康状態を知ることができるシステム導入などを検討していきたいです。
喜多:外部の力もお借りしつつ、そのような環境を整えていくことで、誰もが働きやすい会社になるのではないかと考えています。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:TOWA株式会社
インタビュアー:青柳和香子