
日本インシュレーション株式会社は、世界で初めて高耐熱素材「ゾノトライト系けい酸カルシウム材」の工業化に成功した会社です。建築分野とプラント分野で保温・断熱材の製造・販売・施工事業を展開し、多くの人命と財産を守っています。
「会社の基盤は社員の健康」と考え、社員が生き生きと働ける環境づくりにも尽力されている同社。今回は日本インシュレーション株式会社の人事部長・山井寛雅さんと、同じく人事部の三浦周子さんにお話を伺いました。
「ゾノトライト」工業化で、人命と財産の保護に貢献

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の事業内容について教えてください。
山井さん(以下、山井):弊社は1914年に「大阪パッキング製造所」というパッキングメーカーとして創業し、その後1949年に法人を設立いたしました。
「けい酸カルシウム」の一種である高耐熱素材「ゾノトライト」の工業化に世界で初めて成功し、独自技術によるけい酸カルシウムを基材とした耐火被覆材、保温材の製造を現在まで続けています。
社名の「インシュレーション」には「絶縁材、絶縁行為」という意味が含まれています。そのため、おもに耐火・保温・断熱など熱を対象とした絶縁材の製造と、絶縁工事を通じて、省エネルギーによる地球環境の保全、建築物の防・耐火化による人命・財産の保護を通じ、産業・建物の防災・強靭化に貢献することが当社の使命です。
ゾノトライトは1,000度の環境下で3時間の耐火性を有しますので、建設分野とプラント分野において基材とする耐火・断熱材料の製造・販売・施工を行なっています。
弊社商品がよく使われている身近な場所は、高い建物や百貨店などの商業施設、病院や公共交通機関、博物館などです。万が一火災が起こっても人々を建物の倒壊から守るために、ゾノトライトを使った耐火被覆材がビルの鉄骨を覆っています。
業界特有の課題改善に向けて健康増進

ーー御社は「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されています。健康経営を始められたきっかけは何だったのでしょうか。
山井:当社はゾノトライト系けい酸カルシウム製品の製造だけでなく、施工・取り付けまで行なっています。建築業界・プラント業界は、施主様のご都合に合わせて業務を行なうため、残業や休日出勤が非常に多い業界です。そのためどうしても従業員への負荷がかかってしまう点が課題でした。
もう一点、従業員の平均年齢が45歳と高めであることも取り組み開始の理由でした。現在、当社の定年は60歳ですが、今後は65歳、70歳と上げていく可能性があります。より長く勤務していただくことを考えると、やはり今から従業員の健康を重視する考え方へシフトしていく必要があると感じました。
週2日はノー残業デー。ワークライフバランスと疾病予防を重視

ーー実際の施策内容について教えてください。
三浦さん(以下、三浦):まず、毎週火曜日と木曜日を「ノー残業デー」とし、残業しないで退社する日に設定しました。勤怠システムを利用して残業時間の管理を徹底しています。
また、有給休暇の取得率80%という目標を掲げて促進したところ、2020~2021年度で取得率72~74%になりました。高い目標を設定することで、ワークライフバランスをきっちりとっていきたいと考えています。休暇で利用できる福利厚生施設の紹介とともに、無料で使えるチケットを配るなどもしています。
また、健康診断の受診やストレスチェックの受検だけでなく、メタボリックシンドロームのリスクがある人を対象にした協会けんぽの特定保健指導の受診も促進しています。
アプリを活用した事業部対抗のウォーキングイベント

ーーほかにはどのような取り組みをされていますか?
三浦:2021年8月から健康アプリを導入しました。このアプリを活用して歩数を競うウォーキングイベントを年に2回開催したり、毎日の食事や体重、禁煙・休肝日などの記録をすることで、買い物に使えるポイントを還元したりするなど、楽しみながら健康習慣を身につけてもらえるようにしています。
5,000歩で1ポイント、10,000歩でもう1ポイントと歩くだけでもポイントが貯まるんですよ。「以前は車や自転車で行った場所でも、今は歩いて行ってみようという気になる」といった声を聞けるようになりました。
ーーウォーキングイベントについて詳しく教えてください。
三浦:当初は個人対抗戦で、2週間のイベント期間中の平均歩数を競うものでした。最近では新たな競い方として、事業部対抗にしています。建築事業部、プラント事業部、本社管理本部、生産事業部・研究所の4つのグループに分けて、そのグループごとに平均歩数を競う団体戦にしました。
そして1位の事業部内の全員にポイントを付与して、個人歩数が上位の人だけでなく、歩数の少ない人にもポイントがもらえるチャンスがある仕組みにしています。
山井:普段の社員の一日の平均歩数は7,000歩くらいですが、イベント時は急に上がって10,000歩を超えることもありますし、「事業部対抗戦になると意識が高くなる」という声もあります。
三浦:ちなみに、今年の秋に実施したウォーキングイベントで個人1位を取ったのは山井なんです。
山井:私は日頃からウォーキングやジョギングを楽しんでいます。ほかの事業部の社員から「事務仕事が多い管理本部にも歩く人が結構いるんですね!」と声をかけられたりして、そうした仕事とは別のコミュニケーション機会が生まれるのもいいものだなと感じました。
三浦:このウォーキングイベントは健康意識が高い人だけでなく、あまり関心がない人にも参加してもらうことを重視しており、開催するごとにルールをブラッシュアップさせています。
上位の人に景品を用意するだけでなく、ワースト5位以下の人にも少し罰ゲーム要素をもたせて足ツボマットなどをプレゼントしています。ワースト5位じゃない人も「あの足ツボマット、欲しかった!」と反応してくれています(笑)。
「おもしろい企画」で楽しく気軽に健康増進

ーー健康経営について、今後の目標や展望がありましたらお聞かせください。
山井:当社は健康経営をまだ始めたばかりですので、さらに力を入れて取り組んでいきたいと考えています。例えば福利厚生のシステムをさらに充実させたり、女性活躍推進のサポート、健康リテラシーを高める教育体制の整備などをしたりしていきたいですね。
優良な取り組みをしている上位500社を指す「ホワイト500」への認定も目指していきたいです。目標を高く掲げることで、全社員が一丸となって取り組んでいけたらと思っています。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方へのメッセージをお願いします。
山井:健康経営を推進するうえでは、いかに定期的にわかりやすく情報を発信していくかが重要だと考えております。現在も三浦が毎月健康コラムを発信していますが、今後もより社員にとって興味深く、健康リテラシー向上につながる情報を発信していきたいです。
また、一人ひとりが楽しみながら気軽に健康になれることも大切だと思います。そのために、より多くの人に参加してもらえるおもしろい企画を実施して、一人でも多くの社員の健康意識を高めたいですね。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:日本インシュレーション株式会社
インタビュアー:青柳和香子