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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

楽しく取り組める施策で従業員の行動変容をうながす。サトーホールディングス株式会社にインタビュー

情報の紐付け・可視化によってソリューションを提供

ーー本日はよろしくお願いいたします。最初に御社について教えてください。

谷田部さん:弊社は洋服に付いている値札、ご自宅に届く荷物につけられた配送ラベル、スーパーのお惣菜につけられた原材料が記載されたラベル、入院した時に着けるリストバンドといった皆さんの身近なところで使われているラベルを印刷するプリンタなどを製造しているメーカーです。

近年はラベルやプリンタなどのモノを売るだけではなく、ラベルなどの商品に加えて、サービス、技術を組み合わせて課題を解決するソリューションを提供しています。

経営戦略の一環として健康経営をスタート

ーー御社が健康経営を始められたきっかけを教えてください。

赤坂泰造さん(以下、赤坂):健康経営を始めたきっかけは、2015年に私が人事部門にいたときのことです。弊社の初代健康経営最高責任者となった役員と、経営層との懇談会があり、経営戦略について話すなかで「健康経営」の話題が出てきました。

そこで健康経営について知っている情報を話し、その後「サトーの企業風土に健康経営が合うのではないか」「サトーでもやってみないか」という流れになってスタートしました。

ーー健康経営を始めるにあたり従業員の方の健康状態や会社の体制など、課題を感じていたことはありますか?

赤坂:取り組み始めた頃、私の周りでも大きな病気をする人もいて会社としては従業員の健康をケアする産業医や保健師の産業保健体制を充実させるための土台作りがまず必要ではないかと考えました。

全員が参加できる施策を展開

ーーそうした課題に対し、具体的にどのような施策をされてきたのでしょうか?

赤坂:健康経営の取り組み方については、企業ごとにさまざまな考えがあると思いますが、取り組みに協力しない従業員へペナルティを与えるような厳しい施策では長くは続かないでしょう。そのため、楽しく継続参加できる施策が重要であると弊社では考えました。

まずは、2015年に社内外に対して健康経営を宣言。従業員全員が参画できる施策として「健康増進アクション手当」を実施しました。これはそれまでに出していた「非喫煙手当」を改定したものです。

「非喫煙手当」は全社施策として、「タバコを吸わずに仕事をしてくれてありがとう」という意味を込め、毎月2,000円を非喫煙者に支給していました。これを「健康増進アクション手当」と名称を変更し、タバコを吸う・吸わないに関わらず、健康管理・維持・増進に使ってもらえるよう、毎月2,000円を支給するようにしました。

ただ、やはりこの変更は非喫煙者からの反発が大きく、「どうしてタバコを吸う人にも手当があるのか」といった意見もありました。でも健康はタバコを吸う・吸わないに関係なく、すべての人に大切です。

それならばということで、「わたしの健康目標」の提出を手当支給の条件とするよう、運用方法を変更しました。「わたしの健康目標」では、具体的な数値入りの健康目標を従業員に提出してもらっています。

ここで従業員から提出される健康目標はアンケートも兼ねており、健康状態の分析はもちろん、中期KPIとしている喫煙率・メタボ率、運動習慣率などを定点観測できる有益なサーベイにもなっています。

メタボリックシンドロームを改善・予防し、適正体重となるには運動習慣も重要です。厚生労働省は運動習慣を週に2回、1回につき30分以上の運動を1年以上続けると定義していますが、弊社ではこれに加えて一日に歩く歩数を平均8,000歩以上、これも1年以上続けている状態の方も運動習慣者としています。2025年までの健康経営中期KPIでは、この運動習慣者の増加も目標を定め、施策を展開しています。

また、以前は健康診断や人間ドックの受診率が100%ではありませんでした。定期的に体の状態をチェックし、再検査や治療が必要ならば適切な対処をしてもらうことは、非常に重要です。そのため受診率を100%にできるよう、地道に声をかけ、上長からも働きかけてもらうようにしました。

コロナ禍以前は、弊社では従業員を集めての運動会を開催してきましたが、今は外出さえも難しい時期ということもあり、昨年はオンラインでグローバル運動会を実施。室内でできる運動を中心に競技を考え、動画投稿で競い合う形式にしました。

従業員の意識変化や行動変容が見られるようになる

ーー取り組みを推進されたことによる効果や、従業員の意識の変化などは見られますか?

赤坂:健康診断や人間ドックは、現在は上席執行役員である最高健康経営責任者も人事部門と協働して早期受診行動をフォローアップしており、そうした取り組みの甲斐あって、受診するのがあたり前という風潮も根付いてきたようです。

「わたしの健康目標」は毎年提出してもらっていますが、達成できなかったとしてもペナルティを与えるようなことはしていません。一部では、そういった方針に対して物足りなさを感じる人も出てきていますが、健康への意識が強くなった現れととらえています。

メタボ率や運動習慣についても徐々に改善が見られますし、意識の変化や行動変容が起きていると感じます。

ーー健康経営に取り組むなかで、課題に感じられた部分はありますか?

赤坂:特定保健指導への参加や禁煙外来補助なども実施していますが、なかなか参加者が集まらない難しさはあります。筋トレやスポーツに熱心な層だけにフォーカスしても、運動習慣の裾野は広がりません。参加のハードルを下げ、楽しく継続できる施策を考えることが重要です。

ここ数年、施策として取り組んでいるウォーキング大会もありますが、歩数が少ないと肩身の狭さや義務感、閉塞感などからつまらなく感じている人もいるようです。歩数を競うだけではない、コミュニケーションにつながるような新しい切り口を入れるなど、内容を都度工夫する必要があると思っています。

未病分野へもアプローチ

ーー健康経営について今、注力されている事柄はありますか?

赤坂:健康経営において今、一番取り組んでいるのは未病分野です。未病とは病気ではないけれど調子が悪い、不快な状態が続いているものを指します。

例えばテレワークが増えたことで、一日中パソコンの前に座って作業をするようになり、肩こりや腰痛、頭痛が起きやすくなっています。でも、こうした症状は病院に行くほどのものでもありません。

こうした、病気ではないけれど不調を抱えている人を健康な状態にし、仕事に打ち込めるようにしていくのも重要でしょう。

また、ここ数年はコロナ禍ということで、コミュニケーションの取りづらさがあります。今まで会えていた人に会えず、話す機会がなくなるとストレスになり、心の未病となります。こうした心の健康への対策も必要だと感じています。

ーー未病分野や心の健康について、具体的にどのような施策をされていますか?

赤坂:物流や工場の現場では毎朝ラジオ体操を実施しており、日常的に体を動かす機会になっています。それに飽きが来ないよう、いろいろな組織が体操ビデオをリレー形式で作成しており、ご当地色を盛り込むなど、工夫した仕上がりになっています。また、それ以外の部門でもWeb会議前や始業前後のストレッチとして活用してもらい、運動不足の解消を促進しています。

心の健康対策については、昨年から同じ趣味を持つ方々のオンライン座談会を始めました。バイクが好きな人、山登りが好きな人など、テーマごとに集まってZoomやTeamsでランチタイムに自由におしゃべりをしてもらっています。参加者の95%くらいは満足度が高いとの回答で、コミュニケーションの場として機能しているようです。

楽しく実践できる施策が健康経営を成功に導く

ーー最後に読者の方へのメッセージをお願いいたします。

赤坂:これから健康経営に取り組むならば、組織や会社の風土、方向性に合った目標設定をしたほうが良いと思います。「みんながやっているから」ではなく、「働く人が生き生きしてほしい」というような理想のゴールを思い描くのが重要です。その目標に対して現状を見直し、理想の実現に向けたKPIやKGIを設定していきましょう。

取り組みのベースとなるのは、やはり健康診断や人間ドックの受診です。定期的に検査し、問題が疑われたら早期に対処するのは健康の絶対条件です。

そして、やはり楽しくできる内容でなければ、みんなが継続できません。従業員が楽しみながら自分の健康状態を振り返り、何らかの行動変容を起こせれば成功です。楽しむことを忘れず、一つでも変化を生み出せるよう取り組んでみてください。

弊社も2017年には健康経営銘柄としても認定され、健康経営優良法人(大規模法人部門)の継続認定を受けています。採用面接の場でも健康経営は注目されており、学生から健康経営について質問を受ける機会も増えています。

B to B事業を展開する企業では、事業内容や会社の特徴をひと言で説明するのが難しい部分もあり、求職者の興味を引くのは簡単ではありません。しかし、経営戦略の一環として健康経営に取り組んでいるとなれば、それが興味を持たれるきっかけになり、会社PRや採用力強化にもなります。

健康経営がプラスに働く部分は多く、迷われている企業様はぜひ挑戦してください。取り組みにあたって他社の事例を参考にしたいという場合、弊社もお話しする機会を用意し、微力ながらご協力いたします。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:サトーホールディングス株式会社

インタビュアー:島田佳代子

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