
株式会社菅澤建設は1971年に福島県二本松市に創業以来、線路や駅ホーム・トンネルなど鉄道設備の新設、メンテナンス事業で地域に寄り添い、人々の暮らしを支えてきました。
社会のインフラを担う交通網の維持には、従業員の健康が欠かせない要素になると考え、健康経営に取り組んでいます。従業員の「成長」「健康」「幸せ」をテーマに掲げて取り組む施策について、同社の健康経営推進を担当する山本さんと紺頼さんにお話を伺いました。
地域の交通インフラを支える「株式会社菅澤建設」

ーー本日はよろしくお願いします。まずは、御社の沿革や事業内容について教えてください。
紺頼さん(以下、紺頼):私どもの会社は1971年、今から50年ほど前に鉄道の線路工事を主幹事業として創業しました。創業以来、50年にわたり福島県内の東北新幹線や在来線の鉄道工事を行なう会社として実績を重ねてきました。
鉄道工事のほかにも、地域の道路や河川などの整備も行なっており、地域の人々の生活に欠かせないインフラ整備に携わっています。
新規事業参入を機に取り組み始めた健康経営
ーー2022年には健康経営優良法人のうち上位500社が認められる「ブライト500」を取得されていますが、健康経営を始められたきっかけや認定の経緯を教えてください。
山本さん(以下、山本):当社では、2016年から健康経営に取り組み始めました。新規事業参入にともない、従業員を多く採用した時期があり、従業員の業務に対する意識や一体感をつくる一つの取り組みとして「従業員の健康」に着目した背景があります。
いろいろなキャリアを持つ従業員が入社してきましたので、健康課題も多様になりました。その一つひとつに取り組んでいったことで健康経営優良法人の認定をいただくことができました。
ーー多様な健康課題があるとのことですが、具体的にはどのような点でしょうか?
具体的な健康課題としては、血圧の高い人や肥満気味の人の割合が高く全体の47%ほどです。喫煙者も非常に多く、従業員の65%が喫煙者です。喫煙がコミュニケーションのきっかけになっているところもあり、社内全体で喫煙者が多いように感じます。
このほか、肝機能の異常を指摘される人が多かったため、今集中的に取り組んでいるところです。当社は夜間作業がある業態なので、昼夜逆転生活になってしまう、食事の時間が不規則になってしまうなどの課題もあります。
数値を見える化し、健康に関心を持つきっかけをつくる

ーー社内の康課題を踏まえて、どのような施策を実施したのでしょうか?
山本:まずは血圧計や体重計を設置し、自身の健康状態を気にしてもらうところから始めました。体重計と活動量計のデータをアプリで一元管理し、データを「見える化」しています。
また、運動・食事・睡眠・メンタルヘルスなどのさまざまなテーマを扱った健康セミナーを毎月の安全会議に合わせて、全従業員に向けて実施しています。
体を動かすセミナーが人気です。腰痛や肩こりを防ぐためのストレッチや、肥満に対してより効果的なウォーキング方法などを学ぶ場になっています。特に今年度は、スポーツジムと提携をして4カ月にわたる運動セミナーを行ない、セミナー開始時と終了時に体成分測定をしてデータを「見える化」しています。
そのほか、私が看護師と保健師の資格を持っているので「健康相談の窓口」として従業員の健康相談を受けられる体制を整えました。
紺頼:私が担当する食事に関する取り組みとしてミニ社員食堂(健康的なお惣菜の自動販売機)を活用しています。野菜を摂る機会が増えるように、サラダなど野菜中心のメニューを補充しています。
社員にとって「手軽に食べられる」「好きなタイミングで購入できる」など使いやすさも大事だと感じました。福利厚生の取り組みの一つで、社員は全商品100円で買うことができます。

地道な取り組みが従業員の行動変容につながる
ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありますか?
山本:自覚を持つきっかけをつくることが一番大変でした。当社は比較的若い従業員が多いです。平均年齢が38歳ほどで、少し血圧が高め、血中脂肪の値が高いなど自覚症状がない程度なので、あまり健康に意識が向かず健康問題を自分のことと、とらえてもらえないところがありました。
紺頼:病気になってからでないと、健康の大事さに気付けないところはあると思います。健康について考える時間、機会をもってもらうことが大切だと考えています。
ーー健康経営に取り組んでみて、効果や変化を感じるところはありますか?
山本:意識的に食事に野菜を取り入れること、毎日少しの運動を習慣付けることなどの行動変容がみられるようになりました。また、健康診断や社内アンケートを定期的に実施していますが、健康診断の有所見者が減少するなど数値的な変化もみられます。「この会社にいれば、健康でいられる」と思ってくれる人の割合が少しずつ増えてきた実感があります。
社外からの反響としては、福島県が実施している「ふくしま健康経営優良事業所」の認定を取得した際、地元の新聞で取り上げていただき、新卒採用にも良い影響がありました。社会全体として健康経営が注目されていることを感じます。
取り組みの維持と目標数値達成を目指して

ーー健康経営について、今後の計画や目標、注力されていくことがあればお聞かせください。
山本:数値的な目標として、肥満者の割合を47%から40%にするというのがここ数年の目標です。それ以外にも喫煙者の割合や肝機能の異常を指摘される人が多い点も改善したいと考えています。
社内アンケートを含めて、半年に1回のペースで社内からのフィードバックももらっているので、要望や課題を取り入れながら肥満対策、禁煙対策を進めていきたいです。
紺頼:ここ数年、健康経営に取り組んできて、社内にも健康意識が浸透している実感があります。新しい取り組みよりも今の施策をしっかり継続していけたらと考えています。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社菅澤建設
インタビュアー:朝本麻衣子
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