
埼玉県所沢市に本社を構える西武バス株式会社は、路線バス事業や高速バス事業、募集型バスツアーをはじめとする旅行事業などを展開しています。
同社はグループビジョンに基づき取り組んでいる「サステナビリティアクション」の一環で、社員と家族の健康増進に注力しています。取り組みの結果、経済産業省と日本健康会議による顕彰制度で「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」にも初認定されました。
今回は西武バス株式会社の人事部厚生ご担当、篠誠司さんに、西武バスの健康経営についてお話を伺いました。
個人も組織も最大限力を発揮するための健康経営

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社のおもな事業内容について教えてください。
当社は東京都西部・埼玉県南部を事業エリアとし、西武鉄道各路線やJR線、東武鉄道東上本線の各路線の駅から発着する路線バス事業、池袋駅東口から上信越方面へ向かう高速バス事業、西武沿線エリアから羽田空港や成田空港への空港連絡バス事業、募集型バスツアーの「西武グリーンツアー」などの旅行事業などを展開しております。2022年にはおかげさまで設立90周年を迎えました。
ーーありがとうございます。健康経営を始めたきっかけや推進体制についても教えてください。
当社グループを含む西武グループでは、グループの経営理念である「グループビジョン」に基づき、持続可能な社会の実現に向け「サステナビリティアクション」に取り組んでいます。
その一環として働きやすく、働きがいのある環境を整備し、個人そして組織の力を最大限発揮するために、社員およびその家族の健康増進を推進しておりました。
推進体制は代表取締役社長をトップとし、人事部長、人事部内の専任の部署員、契約病院にて産業医2名、弊社所属保健師2名で統轄をしています。また本社にて中央安全衛生委員会、各営業所にて職場安全衛生委員会を配し、活動しています。
ーー社員の皆さまの健康状態について改善が必要だと感じていた点はありましたか?
弊社の全社員のうち大多数を占める乗務員について、平均年齢の高齢化が進んでおり、健康起因による事故防止が必須となっています。
運転中に重篤な病気が発生する事態を避けるためには、その背景にある乗務員の心臓・脳の血管に関する病気、生活習慣病(高血圧、肥質異常症、糖尿病、肥満など)を適切に管理しなければいけません。発症の可能性をゼロにして、お客さまに「安全・安心なバス」を提供する必要があります。
イベント参加者が1.5倍以上に。コロナ禍でもウォーキング促進

ーー実際のお取り組みについて詳しく教えてください。
健康診断のほかに、SASスクリーニング検査(指先につけたセンサーから血液中の酸素状態と脈拍数を測定することで、睡眠中の無呼吸を予測する検査)および重症者精密検査を実施しています。
先ほどお話したように心臓や脳の血管に異常がないかを調べるため、脳MRIやスクリーニング検査も実施したり、眼底検査や各種検診も実施したりと、疾病予防には特に力を入れてきました。一部取り組みについては、西武健康保険組合と連携して推進しています。さらに、感染症予防対策やワークライフバランス推進にも取り組んでいます。
ーー健康経営を実践するうえで、苦労されたことや工夫されたことはありますか?
コロナ禍で、それまで毎年開催してきたウォーキングイベントの集合開催が困難になりました。そのため、各社員が所有しているスマートフォンの万歩計機能を利用し、自社ウォーキングイベントアプリをダウンロードすることで、自身のペースで手軽に歩くきっかけづくりを行ないました。
ーーこれまでのお取組みによる効果、健康経営優良法人認定に対する社内外からの反響はいかがでしょうか?
ウォーキングに関しては、一堂に集合する開催とは異なり、各社員のスケジュール・ペースで歩けることがやはり良かったようです。今年(2022年)4~5月に開催した春イベントの参加人数は217名でしたが、10月~11月に開催した秋イベントでは353名が参加しました。着実に参加者が増えており、社員が健康意識をもつ入口となっています。
現在はもちろん、退職後も健やかに過ごせるように

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。
全社員に対して健康診断と各種検査・健診を継続実施し、数値異常者へのフォローアップを行なってまいります。また健康の大切さを継続して発信し、手軽に参加できる健康行事の実施を続けます。
さらに食事面からも、社員の健康増進につながるような社員食堂メニューの開発をするなど、あらゆる面から社員の健康増進をバックアップしていきます。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いします。
いまや人生100年時代といわれ、不健康がカッコイイ時代ではありません。西武バスとしも、働いている社員が健康であることによってお客さまに「安心・安全のバス」を提供するのはもちろんのこと、西武バスを退職したOB・OGも、ご本人が健やかな人生を過ごせるよう、お手伝いをするのが企業の責任だと考えています。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:西武バス株式会社
インタビュアー:青柳和香子