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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

健康経営は従業員のニーズと向き合いながら取り組む。トヨコンロジスティクス株式会社にインタビュー

輸送業務を行なう、トヨコンロジスティクス株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず、御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。

佐原さん(以下、佐原):当社は1970年6月に設立しました。愛知県額田郡に本社を置き、運送業を行なっています。具体的な事業としては、国内の工場や倉庫などお客さまの指示する場所へ輸送業務を行なう一般貨物自動車運搬事業や、拠点のある豊川市エリアを中心に、マイクロバスを使った企業送迎、各種イベント送迎サービスの提供、名古屋港を中心に輸出入の貨物を効率的に輸送する海上コンテナ輸送事業などを展開しています。

業界を牽引して健康経営に取り組む

ーーありがとうございます。健康経営を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

佐原:2019年10月に、現在代表取締役社長を務める久田が常務に就任し、新体制となったことを機に、職場環境の整備やDX推進、各種認証取得推進、地域社会貢献などによる会社のブランディング強化の方針を打ち出したことが、健康経営に取り組み始めるきっかけとなりました。社会的に重要性が高まる物流業界において、ドライバー不足や燃料費の高騰化などの課題が立ちはだかるなかで、業界を牽引して健康経営に取り組んでいます。

また、ここ数年の間に病気を患い亡くなられた従業員がおり、会社としても大変ショックな出来事でした。このことから従業員の健康維持についてより積極的に取り組む必要性を感じたことも健康経営に注力して取り組む理由の一つです。

定期健康診断後のアフターフォローに注力して取り組む

ーー従業員の皆さまの健康状態について、改善が必要だと感じていた点はありますか?

佐原:毎年実施している定期健康診断において、要再検査、要精密検査の結果が出る割合が高いことが健康推進に取り組むなかで課題だと感じていました。要再検査、要精密検査と診断された従業員が病院を受診してくれないと、従業員の健康状態は改善されません。

そこで、再検査や治療に行ってもらえるよう、手紙で通知するだけでなく該当者に直接声かけを行なったり、再検査の結果を提出してもらったりと、健康診断後のアフターフォローに注力して取り組むことにしました。その結果、現在は再検査の受診率が徐々にではありますが向上しています。

従業員が無料で使用できるスポーツジム

ーー実際の施策について詳しくお聞かせください。

佐原:まず従業員の運動不足を改善するために、運動機会を創出する目的で、本社エリアや豊川エリアにて「スポーツジム」の法人契約を行なっています。従業員は無料で使用することができますが現在は限られた従業員しか利用しておらず、利用していない人も多くいる状況です。今後はたくさんの従業員に活用してもらえるよう工夫をしながら運動意欲を醸成していきたいと考えています。

また、休憩室にドリンクサーバーを設置してお茶やコーヒーなどを無料提供し、社員のコミュニケーション促進を図っています。自動販売機の商品ラインナップには「特定保健用食品のマークがついた飲料」を拡充するなど、従業員の健康への意識を高めてもらえる環境の整備にも力を入れていますね。

従業員の健康に対する意識向上

ーー健康経営の取り組みを進めるなかで、大変だったことはありましたか?

佐原:健康経営の必要性を従業員に伝え、理解を得ることが大変だと感じました。健康経営の目的の一つは「従業員が自らの健康維持を意識するようになること」だと考えていますが、健康についての意思決定は個人によるものです。そのため、会社として取り組める内容に限界を感じることもあり、施策の企画や検討についても大変だと感じています。

ーー健康経営の取り組みによる効果や、従業員の皆さんの反響はいかがでしたか?

佐原:一部の従業員からは健康を意識するようになったという声もあり、健康経営の取り組みが少しずつ従業員の健康意識向上につながってきています。例えば、当社では健康診断の受診率は100%(特定業務につく従業員は年2回の受診)ですが、最近は特定健診や人間ドック等の各種ドック健診への受診希望者数や問い合わせも増えてきています。このことは健康経営推進の小さな効果だと感じました。今後は、全従業員が健康診断を2回受診できるように環境を整備していきたいですね。

ストレスを抱える前にできること

ーー健康経営の今後の目標や、今後予定している取り組みがありましたら教えてください。

佐原:名古屋大学のストレスチェック研究に協力することになりました。そのなかで従業員のストレスチェックの回答データを分析してもらえるため、今後はそのデータを企業におけるストレス対策に役立てることができます。分析後はアンガーマネジメント研修や、物の見方や考え方の研修、認知行動療法(コラム法)、メタ認知療法、コミュニケーション研修、アサーティブトレーニングなどを開催することで、ストレスを抱える前にできることについても情報を提供していきたいと考えています。

また、健康の基盤となる「睡眠」については、日本睡眠協会の提供する「睡眠力強化プログラム」の実施を検討しています。従業員の睡眠力を強化することでしっかりと体を休めることができ、SASの防止や業務中の事故リスク低減を目指す取り組みです。睡眠力強化プログラムでは、「睡眠中により体を休めるためには適度に運動したほうが良い」などの知識を習得することができます。

今後の目標としては、生命保険や傷害保険などを活用した傷病補償の拡充を行ない、安心して働ける職場環境づくりとして継続して取り組んでいきたいと考えています。また、トレーニングジムの利用拡大が課題のため、「運動機会をつくる」ための打開策を見出していきたいですね。

ーー最後に、読者の方や企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。

佐原:当社の取り組みは小さなものばかりですが、継続することが大切だと考え、従業員のニーズに耳を傾けることを意識しています。従業員のニーズには、当社に求められている健康経営・健康推進の形が映し出されると思いますので、真摯に向き合って、今後も健康経営を会社全体に浸透させていきたいと思います。

ーー本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:トヨコンロジスティクス株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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