
愛知県大府市に本社を構える株式会社富士プレスは、「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」に認定されています。同社は保健指導や社員食堂のサービス向上、疾病予防などに力を入れて健康増進に取り組んでいるとのこと。
今回は、株式会社富士プレスの総務部総務室で健康経営を推進されている川口孝司さんと窪田賢人さんに、同社の健康増進施策や社内の声についてお話を伺いました。
長く健康に働ける職場を目指して

ーー本日はよろしくお願いします。まずは事業内容からお伺いしてよろしいでしょうか。
窪田さん(以下、窪田):当社は自動車用のプレス加工部品、例えば電磁バルブの部品、中小ブラケット、クランプなどを製造している会社です。3次元複雑形状や、10μの加工精度を持った非常に高精度なプレス加工を得意としています。国内の従業員数は約290名で、メキシコにも拠点を持ち、グローバルに生産を行なっています。
ーーありがとうございます。健康経営に着目したきっかけについても教えてください。
川口さん(以下、川口):私たちは総務部総務室に所属しており、採用活動も担当していますが、今後、製造業では少子高齢化によって人手不足となることが想定されており、何らかの対策を考えなければと漠然と思っていました。
直接的なきっかけは、従来加入していた協会けんぽから愛鉄連健康保険組合への加入に切り替えた際に、健康経営への取り組みを勧める案内をいただいたことです。
長く健康に働いていただくことが人材難に対する直接的な解決方法につながるのではないか、またそのような企業が今後求められ採用力強化につながるのではないかと考え、活動を始めました。もちろんそれまでも健康増進の取り組みはしていましたが、「健康経営優良法人」という認定制度があると知ったのは活動に力を入れるきっかけになりました。
保健指導を徹底し、健康意識を改善

ーー課題とされていたことや具体的な取り組みについて教えてください。
窪田:まずは社員一人ひとりの健康意識を高める必要があると感じました。若い世代は特にそうですが、現在の健康状態が良好であればあまり細かく気を遣わない傾向があります。
そのため、健康診断結果にD判定以下があった社員に対し、会社から全員にアナウンスをして保健指導を受けられるように環境を整えました。また、特定項目について基準値以下だった場合は、再検査が無料で実施されるようになっています。
数年前までは残業時間も課題だったのですが、健康経営を推進する前から改善に取り組み始めていたので、現在の残業平均時間は月20時間程度となり、以前と比べて4~5時間減らせています。
セカンドオピニオンとしての産業医カウンセリング
ーーメンタルヘルスケアもサポートされているそうですね。
川口:4年ほど前から、肉体的な病気だけでなくメンタルヘルス上の理由で休む社員が増えてきた印象がありました。休まざるを得ない状況になる前に食い止められるよう、希望者は産業医によるカウンセリングが受けられるように体制を構築しました。
ハラスメントに関する研修はこれまでも全社員を対象に実施していますので、同様にメンタルヘルスについても保健師さんによる全員対象のセミナーを実施予定です。
ーーカウンセリングはどのような目的で実施されているのですか?
川口:メンタルヘルスやご自身の健康不安について相談できる環境を用意するということです。ご自身で通院されている方も、産業医の先生から客観的なお話を聞くことで、セカンドオピニオンになればいいなとも考えています。
リニューアルした社員食堂で健康的な食事をサポート

ーー社員食堂についても教えてください。
川口:2年ほど前に、社員食堂の運営をお願いしていた業者さんから、ご高齢のために廃業を考えているとのお話を受けました。とてもおいしくボリューム満点の食事を提供していただいておりましたが、運営業者さんの変更を機会に、より社員に受け入れられる内容にしていくにはどのようにすべきかを考えました。
リニューアルにあたっては複数の運営業者さんにサンプルを作っていただき、社員を集めて意見を聞きました。現在はより栄養バランスの良いメニューになり、カロリー表示がされている2種類のメニューから選べるようになりました。メニューの評判も良く、食堂自体も衛生的な空間になるようリフォームを行なった結果、社食利用率が向上しました。
ーーお2人がお好きなメニューは何でしょうか?
川口:私は油淋鶏が好きです。人気があるのか、月に1度は必ずメニューに登場していますね。
窪田:私はちょっと辛口のマーボー豆腐がおいしいなと思っています。
鯖の塩焼き定食、白身魚のポテサラ焼などの魚料理からガパオライス、ロコモコ丼といったものまでバラエティ豊かです。
半年に一回程度「食堂委員会」を設け、社員から集めた意見を運営業者さんとともに検討しています。
ーーより利用される食堂になるよう、定期的なブラッシュアップもされているのですね。例えばどのようなお声がありましたか?
窪田:例えば冬場に食事が冷めてしまうのを何とかできないだろうかという声があったため、保温庫を購入しました。作り置きされているおかずを、食堂の方が保温庫から出して盛り付けできるようになったので、温かい食事が提供できています。
運動促進や受診料補助で疾病予防も
ーーその他の取り組みについても教えてください。
窪田:当社は健康推進の一環として、野球同好会とフットサル同好会の活動補助をしています。それぞれ15名程度の部員がいて、地域のリーグにも出場するなど、活発に活動中です。また、健康増進と労災防止を目的として、朝一番のラジオ体操も実施しています。
あと医療面に関しては、インフルエンザの予防接種を希望者に全額会社負担、就業時間内に社内で実施しています。また、40歳以上は5年ごとに人間ドックの受診料も全額補助しています。
ーー疾病予防にも力を入れていらっしゃるんですね。
窪田:健康保険組合から毎年一回、ポイントが付与されて、そのポイントに応じて市販薬を無償で提供してもらえるという制度も好評です。健康保険組合加入者は健康相談窓口も利用できます。
社員の健康意識に変化があった一年。感謝の声も多数

ーー今後の計画がありましたらお聞かせください。
川口:まず社員食堂については、フードロスの削減に対する貢献と社員の利便性を両立できる方法を検討中です。
当社ではSDGsにも注力しており、小さな取り組みかもしれませんが、フードロスをできる限りなくしたいと思っています。
食堂業者さんが食材を仕入れる都合上、一週間ほど前までには何食必要なのかを決定しなければならないため、社員は日付と名前が書かれた表にあらかじめ記入をしておくという予約制になっていますが、申し込みをしていないと、当日になって気軽に社員食堂を利用するということができません。そのあたりは、社員の利便性も向上させられたらと考えています。
ーー健康経営の取り組みについて、社員の方からの反響はいかがですか?
川口:当社は2022年に初めて健康経営優良法人の認定が取得できました。毎年実施している社員満足度調査に「健康経営であなた自身やご家族の方の健康意識が高まったと感じますか」という項目を加えたところ、「そう思う」「ややそう思う」が40%という結果が出ています。
この一年で多数の社員が健康意識の変化を感じていることから、取り組みの効果が表れていると感じています。健康増進について、コメントや要望が多数挙がっていますので、今後さらに検討していく予定です。
ーー最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。
窪田:働くうえでは体が資本ですから、安心して働くことのできる会社になるよう、継続してサポートを続けていきたいと思います。
川口:縁あって同じ会社で働く仲間として、ご本人のためにも周囲のためにも、健康上の理由による退職をできる限りなくす環境をつくっていきたいと考えています。
社員から「いろいろな福利厚生があるけれど、私にとって健康経営が一番の福利厚生です」と言われたときにはとてもうれしく思いました。徹底して実施している保健指導に関しても、健康を考えるきっかけになったという反響の多い施策です。
健康経営は社員からの反応がダイレクトに伝わる施策ですから、これから取り組まれる皆さんも手ごたえを感じながら活動できるのではないでしょうか。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社富士プレス
インタビュアー:青柳和香子
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