
ミカワリコピー販売株式会社は、愛知県豊橋市に本社を構え、OA機器や情報機器、事務用品の販売など、働きやすいオフィスをつくるためのあらゆる商品を販売しています。
健康経営の取り組みが認められ、2022年には健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)の認定を取得されました。今回は同社で健康経営に取り組む、森下さんと逸見さんにお話を伺いました。
オフィスの困りごとを解決する、ミカワリコピー販売株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
森下さん(以下、森下):当社は1943年に創業し、愛知県豊橋市に本社、愛知県岡崎市に支店を構えています。最初は紙屋から始まりましたが、世の中が進歩していくなかで複写機、複合機などを扱うようになり、中心商材となりました。さらに時が流れて技術が進歩すると、パソコンや携帯電話などの通信機器にも取扱分野を拡大し、オフィスの困りごとを解決する商品を提案し続けてきた会社です。
データ収集から見えてきた健康課題
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人の認定を受けていますが、健康経営を始めたきっかけはどのようなことでしたか?
森下:健康経営優良法人の認定制度が始まってすぐの頃、新卒採用を行なうための合同説明会で、「健康経営優良法人」ののぼり旗を掲げた企業を見かけました。当社では2012年ごろからメンタル不調を訴える従業員が数名いたこともあり、「あれはなんだ?」と興味を持って調べたことが、健康経営に注力して取り組むきっかけとなりました。
ーー最初はどのような取り組みから始められましたか?
森下:最初は「自分たちの健康への取り組みは、世間と比較してどの位置にいるか」を知る必要があったので、新しい取り組みを検討する前に今やっている取り組みをまとめて、健康経営優良法人に応募しました。もし、認定を受けることができれば現在の取り組みが優れていると判断することができます。
また、当社の従業員の健康状態について改善が必要な箇所を把握できていなかったので、並行してデータ収集を行ない、3つの改善箇所を発見しました。それは、血糖値が高いこと、血圧が高いこと、腹囲が大きいことです。その3つの要素を改善していくために施策を検討し、翌年から取り組み始めました。
ゲーム性のある歩数アプリで運動促進を目指す
ーー具体的にどのような施策を行なわれましたか?
森下:高血糖・高血圧・腹囲の大きい方のすべてに対して有効な、有酸素運動を取り入れるために歩くことに着目しました。そこで「あるくと」というゲーム性のある歩数アプリを発見し、「楽しく取り組めるのではないか?」「気軽に取り入れられるのではないか?」と考え、法人契約を結び、社内全体で取り組んでいます。このアプリは位置情報を使用して、アプリに表示されているマップを実際に歩いた歩数で進めていくものです。
2年前からは全従業員への浸透を目指して、社内でイベントを行ないました。このイベントは、2週間の期間中に参加者で歩数を競い合い、順位が高かった人には賞品をプレゼントするというものです。従業員93名中88名が実際にアプリをダウンロードし、そのうち85名の従業員が参加してくださいました。
ーー高い参加率ですね。周知活動にも力を入れられたのでしょうか?
逸見:最初のイベントを開催するときに、オンラインで開会式を行ない、その様子を全従業員に見てもらいました。開会式では、社長からも一言いただいたり、順位の高い方にお渡しする賞品には「社長賞」を用意していただいたりと、トップダウンによる効果も相まってうまく呼びかけられたことが高い参加率につながったと考えています。
また、このウォーキングイベントには管理職の方も参加しており、管理職の前後の順位だった方にも賞品が渡されるなど、社内で一丸となって開催しています。その雰囲気を見て、「自分も参加しよう」と考えてくれた従業員もいるのではないでしょうか。
健康に取り組むなかでコミュニケーションが生まれる

ーーほかにはどのような施策に取り組まれていますか?
森下:地元のスポーツクラブと法人契約を結んでいるので、従業員の方は無料でジムを使用することができます。また、スポーツクラブの方に会社に来てもらい、肩こり・腰痛に効く15分ほどのストレッチを、リアルタイムで動画配信する施策も行ないました。また、この動画をあとで視聴できるよう、録画して配信もしています。
ストレッチを行なうだけでなく、従業員同士で雑談などのコミュニケーションが生まれており、体だけでなく心の健康にもつながっていく取り組みだと感じています。
ーー健康経営に取り組まれるなかで大変だったことはありますか?
森下:健康経営のプロジェクトチームの人数が限られているなかで、イベントなどの設営を行なう必要があるときは、準備するのが大変でした。動画配信を行なったときは、詳しい方にお願いしてビデオなどの機材を用意してもらいましたが、皆さんに見ていただける体制を整えるのは大変でしたね。
ーー健康経営の取り組みによる効果や反響はありましたか?
森下:当社は健康経営の取り組みを始めて2年目です。「高血糖・高血圧・腹囲の数値を下げる」という目標は、長期的に目指すものなので、短期的な結果はまだわかっていないのが現状です。
社内の反響としては、ウォーキングイベントに参加してくれたことで、従業員同士のコミュニケーションが増え、雑談のなかでウォーキングイベントが話題になっていました。例えば、アプリ内に表示される名前は全員ニックネームなので、「このニックネームはあなた?」という会話や、歩数を競争しているので、「抜いたぞ!」という会話も耳にしましたね。
健康課題の改善だけでなく、コミュニケーションの促進による心の健康への良い効果が、今後も期待できそうです。
長期的に取り組むことが大事
ーー健康経営の今後の目標や計画について教えてください。
森下:今後も、高血糖・高血圧・腹囲の数値を下げるために有効な手段を探していきたいと考えています。また近年、新型コロナウイルスの影響もあり、心の健康を崩して休む社員も増えたので、並行してコミュニケーションの促進による心の健康への取り組みも注力して取り組んでいきたいです。
ーー健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
森下:健康経営は長期的に取り組んでいく必要があるので、途中で燃え尽きないようにすることが大事だと思います。また、年代や性別によって必要な施策は変わってくると思うので、それぞれの年代に合うものが一つ以上あるような体制を今後は整えていけるよう、施策を検討していきます。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:ミカワリコピー販売株式会社
インタビュアー:塩野実莉