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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

「人材こそが会社の最も貴重な財産」と考え、トップダウンの健康経営を実践。福神汽船株式会社にインタビュー

従業員の病をきっかけに、健康経営の見直しへ

ーー本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。

高須賀さん(以下、高須賀):当社は、日本最大の海事都市である愛媛県今治市に本社を置き、1875年(明治8年)の創業以来、140年の長きにわたり船舶管理業、船主業を展開してきました。

当社では、所有船舶および乗組員を自社で管理し、独自のソフトウェアを活用することで、船の状態から運航スケジュール、船員情報を把握・管理しています。

また海外拠点として、マニラ、釜山、上海に事務所を置き、造船所の手配、監督業務などに対応できる体制を構築しています。

ーー健康経営を始めたきっかけや目的について教えてください。

高須賀:「人材こそが最も貴重な財産」という当社の理念を社内外へ見える形で表現するため、2020年から本格的に健康経営に取り組み始めたのですが、その矢先、一人の従業員が大病を患ってしまいました。

どうして早期に発見して治療することができなかったのか、会社として何かできることはなかったのかと大変悔やまれ、二度とこのような経験を繰り返さず、すべての従業員に長く健康で働いてほしいという強い気持ちから、これまで以上に従業員の健康維持・増進に向き合うようになりました。

ーーより健康の大切さを感じた背景があったのですね。では、どのような体制で活動されているのでしょうか。

高須賀:役員会で決議された方針に則り、役員・従業員が一体となって健康経営推進に取り組んでおります。そして実務に関しては業務部が担当しております。

健康経営の基本的な取り組みである健診については、弊社長が自身の健康・従業員の健康に対して社内の誰よりも熱心であり、産業医とともに健診施設や健診内容の選定にも携わるほどです。

さらに、国際海事展のパネルディスカッションの場において、社長自ら当社の取り組みを積極的にPRするなど、トップダウンで取り組めている点が最大のポイントだと感じております。

産業医による受診後のフォローを充実させ、女性特有の健康課題にも柔軟に対応

ーー従業員の皆さんの健康状態について改善が必要だと感じていた点、課題はありましたか?

渡部さん(以下、渡部):健康経営の取り組み以前より健診については受診勧奨を続けており、受診率が低いわけではありませんでした。ただ、二次検査を従業員個人の判断に委ね、結果の報告も義務化していなかったため、従業員の健康状態を詳細に把握することができていませんでした。

さらに、当時まだ産業医の選任義務が課せられていない時期でしたので、二次検査が必要な従業員に対して会社が適切な対応を促すことができませんでした。

ーーでは、実際の取り組みについて詳しく教えてください。

渡部:本格的に健康経営に取り組むにあたり、まず着手したのが健診内容の見直しです。39歳以下の従業員には人間ドック相当の健診を、40歳以上では人間ドックをベースにMRIによる全身の検診と脳ドックを隔年で実施しております。

特に女性従業員数が全体の約半数に当たる当社では、女性特有の健康課題への対応として、全年齢で女性特有の疾患に対する検診を実施し、愛媛県ではまだ導入している施設が少ないMRIによる無痛健診も選択肢に含め、女性従業員から大変好評を得ております。

もちろん、これら健診費用については会社負担とし健診当日の出勤認定も行なっており、従業員が受診しやすい環境整備にも配慮しております。

二つ目に産業医の選任で、健診毎に異常の有無にかかわらず役員を含む全員が産業医面談をし、二次検査の受診勧奨も産業医が対面で行なうことにしました。また、その結果報告までを義務化し、産業医と健診データを共有することで従業員の健康状態を的確に把握し、その後の対応も適切に促せるようになりました。

特に海上職員は約6カ月間乗船、3カ月間下船・休暇を繰り返すので、下船中の健診や産業医面談は大変貴重な機会です。下船中それぞれのお住まいで過ごす海上職員にはオンライン面談を活用して、漏れなく全員の産業医面談を実現できております。

ーー健康経営を実践するうえで、苦労されたことや工夫されたことはありますか?

渡部:海上職員それぞれお住まいの地域から健診施設を手配しており、健診施設が違えば健診機器の導入有無もさまざまで、当社からリクエストする健診内容が提供できないという施設も多く存在します。

健診内容を手厚くカスタマイズしているため仕方ありませんが、すべての従業員にできる限り同等の健診内容を提供するため、代替可能なメニューが存在しないか、設備の整った別の施設を探すのか、健診担当者と産業医、健診施設それぞれと協議して対応することも多く、健診施設の選定には多くの時間を費やしています。

なかにはお住いの隣県の施設まで足を延ばしてもらうことや、本社への出張タイミングに合わせて指定病院で受診してもらうこともあります。

今後は従業員の家族も対象に、健康経営の拡充を目指して

ーー取り組みによる効果、健康経営優良法人認証に対する社内外からの反響はいかがでしょうか?

高須賀:採用面接の際、志望理由を健康経営の認証取得と言ってくださる声や、従業員のご家族から健診内容が充実していることに対して高い評価を頂戴することが非常にうれしいですね。

あと、当社が実施している業績評価シートの個人目標記入欄に、多くの従業員が自身の健康増進目標を設定しており、従業員個々の健康意識が高まっていることを肌で感じています。

また、同業他社様から取り組み内容に関するベンチマークを受けることもあり、意見交換するなかで、取り組み内容に関する新たなアイデアが生まれるなど、相互に磨きがかかる効果も生まれていると感じます。

そして、この度「えひめSDGsアワード2022」に於いて愛媛県内の5社に選出されるなど、健康経営を絡めた当社の取り組みが社内外から広く評価されはじめたことを実感しております。

ーー健康経営について今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。

高須賀:将来的には従業員の配偶者に対する健康増進にも取り組みたい考えで、現在も検討を重ねております。また、ワークライフバランスの取り組みも加速させたいと考えており、昨年には男性従業員で当社初となる育休取得を実現し、今後更に就業時間や休暇取得制度の拡充にも目を向ける考えです。

従業員に「この会社にきて働いて良かった」という気持ちが生まれるよう、ゴールを決めず継続して推進して参ります。

ーー健康に関心のある読者へのメッセージをお願いします。

高須賀:当社もそうだったのですが、取り組み当初は何から始めて良いのかわからず、まずは健康経営の認証取得を目標にできることから一歩ずつやってみることが大切と思います。そうして取り組む過程で自社のさまざまな課題が顕在化するようになり、自ずと健康経営の目的が明確になっていくと思います。

今後、よりいっそう社会全体で健康経営に取り組む気運が高まることを期待しています。

ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:福神汽船株式会社

インタビュアー:朝本麻衣子

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