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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

従業員が取り組みやすい健康経営施策を。BEENOS株式会社にインタビュー

国内外でEコマース事業を行なうBEENOS株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず、御社のおもな事業内容について教えてください。

中野さん(以下、中野):国内外におけるEコマース事業を展開し、そのなかでも越境EC支援事業が主力となります。具体的には、国内のECサイトを海外対応にしたり、海外のマーケットプレイスに出店する際の支援をしたりしていますね。

ほかにも、「ブランディア」というブランド品リユース事業や「JOYLAB」というお酒のリユース事業、エンターテインメントのDX事業などを展開している会社です。

食生活の改善から取り組み始めた健康経営

ーーありがとうございます。健康経営を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

村岡さん(以下、村岡):昼食に従業員たちがコンビニ弁当を食べている姿を、当社の代表である直井が見たときに、「もっと健康に気を使った食事が取れるようにできないか」と考えたことが、健康経営に取り組むきっかけとなりました。

最初は、社食サービスの導入やデトックス習慣の実施、栄養価の高い野菜ジュースの販売を実施し、その費用の一部を会社が負担する取り組みを行ないました。

社食サービスでは、栄養価の高いおかずを購入することができます。鯖の味噌煮やきんぴらごぼう、切干大根など和食を中心としたメニューも多くありますね。

また、デトックス習慣の取り組みでは、1日〜3日間の食事を栄養価の高いコールドプレスジュースに置き換えて、体内の老廃物を出すことでデトックスするというものです。コースがいくつかあるので、従業員の方は2,000円〜4,000円ほどで参加することができます。

労働時間を60%削減

ーー従業員の皆さんの健康状態について、改善が必要だと思われたことはありましたか?

村岡:食事のほかには、長時間労働の改善や運動習慣が少ない従業員が多いことですね。

労働時間については、私が入社した2019年の数字と比較すると、現在では約60%の労働時間を削減できている状態です。具体的な取り組みとして、自己判断での残業をなくすことや、月中に全従業員の労働時間をチェックし、長時間労働になっている従業員に関しては私の所属しているHR室からアナウンスをしています。

ほかにも、労働時間が一定時間以上の従業員には、翌月初め頃に「疲労蓄積度チェックシート」を送付して健康状態を把握したり、産業医と協力して従業員の健康状態をケアしたり、場合によっては所属部署と連携して仕事の進め方や業務量の調整を行なったりと、さまざまな対策をとってきたことがこの数字につながっていると思います。

働く女性が相談できる環境を整える

ーーその他にはどのような取り組みをされていますか?

村岡:グローバル企業として、女性のビジネスパーソンの働き方をサポートするために、当社では女性の産業医を起用しております。女性従業員が仕事と家庭の両立で悩んでいる傾向が高いので、子育てや介護について、過去の経験を活かしたアドバイスができる先生を起用していることは非常に有効な取り組みでした。

月に2回産業医の先生と面談する機会を設けていますが、毎月予約枠がいっぱいになるほどの反響があり、従業員からも「気さくな先生で話しやすかった」「女性の先生だから相談できた」という声をいただいています。

従業員が主体となって取り組むサークル活動

ーー運動の促進についてはどのような取り組みをされましたか?

村岡:コロナ禍以前は、ヨガの講師の方に会社に来ていただいてセミナーを開催したり、世界チャンピオンの方を招いてキックボクシングをしたりと、楽しんで運動できるイベントを行なっていました。しかし、コロナ禍になったことで中止となってしまいましたね。

オンラインの開催も検討しましたがなかなか難しく、現在はサークル活動の補助によって運動を促進しています。

サークル活動では、従業員同士が積極的に声をかけ合って仲間を集め、フットサルやヨガなどが月に1〜2回開催されています。運動習慣だけでなくコミュニケーションを取る機会になり、心の健康にもつながっているのではないでしょうか。

ーー健康経営に取り組むなかで苦労されたことはありましたか?

村岡:従業員の皆さんに健康経営の理念を理解してもらい、主体的に取り組んでもらうことがとても難しいですね。

昨年から実施したサークル活動に関しては、従業員が主体となって楽しんで取り組み、結果的に健康経営につながりました。今後も従業員が自主的にやりたいと思うことをどう汲み取っていくか、また、より多くのメンバーが参加できるような施策を作っていきたいと思っています。

ーー健康経営の取り組みに対して、社内外の反響はいかがですか?

村岡:栄養素の高い野菜ジュースの販売やデトックス習慣については、継続のしやすさや会社が費用の半分を負担することについて、従業員から好評をいただいています。コミュニケーション能力の高い従業員が多いので、「一緒にやってみよう」という従業員同士の声かけをきっかけに、取り組みを始めてくれる従業員も増えている状況です。

また、女性産業医の起用については、外国籍の従業員も多いため「うまく伝えられるか不安だったけど相談しやすかったです」「産業医のやわらかな対応で相談することへのハードルが下がりました」という声をいただいています。

従業員が取り組みやすい健康経営施策を検討する

ーー今後の目標や注力していきたいことなどはありますか?

村岡:日々、社員一人ひとりがスピーディーな業務を求められているなかで、従業員の健康管理を行なっていくためには、取り組みやすい施策を展開していく必要があると考えています。そのような施策を検討し、実施していきたいです。

また、健康増進以外のコミュニケーション強化にも注力して取り組み、より当社の従業員に刺さる施策を展開していきます。

ーー最後に、健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。

村岡:健康維持の必要性は誰もがわかっていることだと思います。環境的な要因で健康に取り組むことが難しい人がいるなど、行動に移すことのハードルが高いことを理解したうえで、「どうしたらメンバーが主体的に取り組んでくれるのかを考えること」や「自発的に取り組みやすい環境を整えること」が健康維持への最短ルートではないかと思っています。

これらの活動は、結果的に会社の成長にもつながっていくと思うので、健康経営に興味のある企業の方は取り組んでみてほしいです。

中野さん:当社は2021年に健康経営優良法人を取得し、2022年は取得していません。認定制度は一つの指標ですので、一度取得したことで、健康経営の平均的な取り組みのレベルはクリアすることができたと考えています。

次のステップとしてホワイト500の認定取得といった、既存の基準の達成を目指すのではなく、当社で働いている従業員に対して深く刺さる施策を検討し、今後も取り組み続けていきます。

ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:BEENOS株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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