
宇都宮文化センター株式会社は、栃木県宇都宮市で生活環境保全業を営む会社です。市民生活を支えるサービスを通して、宇都宮の「生活文化」向上を担ってきました。
社員の「食事」「運動」「心」を健康に保つことを重視し、健康経営も進めてきた同社。今回は宇都宮文化センター株式会社の代表取締役社長、阿部欣文さんにお話を伺いました。
街の生活文化向上を担ってきた宇都宮文化センター株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の事業内容について教えてください。
阿部社長(以下、阿部):当社は昭和39年に創業してから59年間、一般のご家庭や企業、市の施設における生活環境を保全する事業を営んできました。従業員数は正社員が120名~130名、パート社員の方を含めると180名ほどです。
具体的な業務内容としては、廃棄物の適切な処理と収集・運搬、生活排水や工場排水などの処理・メンテナンス、ビルメンテナンス、道路や側溝の清掃、下水道管メンテナンスが挙げられます。これらは「静脈物流」とよばれます。
なぜ「宇都宮文化センターという社名なのか」とよく尋ねられるのですが、この社名には創業当時の想いが込められています。
59年前は今ほど便利な環境ではありませんでしたので、浄化槽や下水道の整備などを推進することでトイレを水洗化し、生活文化を向上させていく必要がありました。そこで「当社が宇都宮の生活文化を高める推進役になろう」という意味を込めて、59年間「宇都宮文化センター株式会社」として事業活動をしています。
最近では、高齢者向けに新たなビジネスもフランチャイズで始めました。片付けや不用品・粗大ごみの回収を承る「片付け堂」というサービスです。
一人暮らしで住まわれている高齢者の方は多くいらっしゃいますし、施設に入居される際に元のご自宅の荷物をご家族が片付けなくてはいけない場合もあります。そのため、高齢の方だけではなく、さまざまな方にご利用いただいています。
良いサービスを提供するには、一人ひとりの健康が不可欠

ーー健康経営に着目されたきっかけについて教えてください。
阿部:当社は労働集約型のサービスを提供していますので、とにかく体が資本です。まず社員が健康でなければ、良いサービスが提供できません。
特に、当社のサービスである生活環境保全業は市民生活に密着しています。前もって休暇を取るのはもちろん問題ありませんが、生活習慣などによる体調不良で突然休まざるを得ない場合、これまではほかの誰かがフォローに入ったり、代わりに出勤したりしてきました。
そのため、社員が日頃からできるだけ健康でいること、生活習慣病を抱えている場合には生活習慣を変えていき、健康的に仕事ができるようにすることを目指して健康経営を始めました。
また、突然大きな病気を患うと、本人だけでなくご家族にも心配と負担がかかります。それを防ぐという意味でも、健康増進の取り組みが重要だと考えました。
保健指導や研修会で生活習慣改善を促進

ーー健康増進のために、どのような取り組みをされているのでしょうか。
阿部:まず、健康診断の結果で特定保健指導が必要と判断された方には、必ず指導を受けていただいています。
また、どの社員にも特定の病気の保険に会社負担で加入してもらっています。誰がいつ大きな病気になるかわかりませんから、日頃から考えていただき、病気の早期発見時もすぐに手術などの対応をしていただきたいからです。
年に一度の社員研修会で「健康セミナー」も開催してきました。病気になりにくい食生活をテーマとした講義を開催したり、実際に体に良い食べ物のイメージをもってもらうために食育の先生をお招きして、皆でおにぎりを握ったりと、知識が実生活につながるような工夫をしています。
ーーただ聞くだけではなく、健康的な食事を作ってみる機会を設けられたのですね。
阿部:講師の先生は管理栄養士の方で、「日本人に合った食事」をしっかりと教えていただきました。ただ聞くだけだと印象に残りにくいので、料理教室のような形にしたんです。生活習慣病を防ぐための具体的な方法がイメージできたのではないかと思います。
この食育の研修会は、5回に分けて部署ごとに少人数で実施しました。健康セミナーはコロナ禍で開催できていなかった時期もありますが、今年から再開する予定です。
日々の自己管理と熱中症予防もサポート
ーーほかにはどのような取り組みをされていますか?
阿部:喫煙率の低下を目指して、まずは分煙から進め、建物内は禁煙としています。また、喫煙は高血圧とも連動しているかと思いますので、全事業所に血圧計を設置しました。定期的に自分で血圧を確認し、自己管理していただくことがねらいです。
健診結果などの数値が悪くなると喫煙をやめる社員もいるのですが、まだあまり健康が気になっていない若い世代だと、喫煙率がなかなか下がらない印象です。まずは分煙、自己管理の促しを続け、会社全体の喫煙率低下につながればと思います。
先ほど食育のお話をしましたが、体内に入れるものとして水も大切だと考えています。ウォーターサーバーを各事業所に導入し、昨年(2022年)からは電解水素水が出るようにもしました。社員がいつでも吸収しやすい水分を摂れて、熱中症対策にもなればと思います。
市のイベントやサービスも活用
ーー運動面での取り組みはありますか?
阿部:宇都宮市が開催しているウォーキングイベントへの参加や、市が提供する健康アプリの活用を促しています。
健康アプリに登録すると歩いた分だけポイントが貯まり、宇都宮市内の特典を受けられます。また、よく運動をしていると「今週はよく運動していますね!」といったフィードバックのスタンプが送られてきますので、意識づけにも良いのではないかと思っています。
歩いた分だけポイントが貯まるというシステムなら誰にでも公平にメリットがあるので、今後も活用を促していきたいですね。
心の健康をサポートする「リフレッシュ休暇」
ーー御社では「心の健康」も大切にされているそうですね。
阿部:仕事のことを考える時間だけでなく、しっかり休んだり、何かにトライしてみたりする時間も大切にしてほしいと考えています。そのために設けているのが「リフレッシュ休暇制度」です。
これは一年に一回は必ず「まるまる一週間」休んでいただく制度で、仕事のことを忘れ、健康づくりや家族サービスなど、心のリフレッシュをする時間にしていただいています。有給休暇を所有している全社員が対象です。
ーー皆さん全員が取得するのであれば、気兼ねなく休みやすいですね。
阿部:社長が取らないと取りづらいでしょうから、私も家族旅行に合わせてリフレッシュ休暇を取っています。コロナ禍でこの数年、海外旅行はできませんでしたが、昨年は国内旅行に活用しました。
健康経営による変化
ーー御社では以前から、そして最近も「健康経営優良法人2023」の認証を取得されています。取り組みやこうした認証によって、社内外の変化はありましたでしょうか。
阿部:持続可能な社会づくりが求められているなか、持続可能な体づくり、健康を意識している方もたくさんいるのではないでしょうか。当社には毎年新卒で入社する方がいますので、健康経営の取り組みについても伝えるようにしています。今後は中途採用の方も含めて、広く活動内容をお知らせしていきたいです。
また協会けんぽによるデータによると、全国平均や同業他社と比較してメタボリックシンドロームの割合が低くなりました。喫煙率という課題はまだありますが、取り組みが生活習慣の改善につながっていると考えるとうれしいですね。
今後はベテラン社員と若手社員の交流機会も検討

ーー今後のご予定や注力されていくことなどがありましたら、お聞かせください。
阿部:健康セミナーで喫煙者向けのリスクをお伝えすることを考えています。強制的な禁煙ではなく、健康への影響を理解したうえで自らやめる社員が増えるようにしたいですね。
また、高齢の社員と若手社員の全社的な交流がもっとできたらいいなと考えています。当社には60代や70代、さらに80代近い年齢の社員も勤務されていますので、そうした高齢の社員が良いお手本となり、いつまでも健康で働く姿や生きがいを若い世代も感じられるような、そういった交流の場を設けたいです。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いします。
阿部:当社でよく話をするのは、「食」「動」「心」の大切さです。この3つに基づいて、健康づくりを推進してきました。
普段から食べるものに気を付け、ウォーキングなどで体を動かし、心を明るくもっていくために、会社でもみんなで気持ちのいい挨拶をする。そのような取り組みを今後も続けていきたいと思います。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:宇都宮文化センター株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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