
富士木材株式会社は、静岡県富士市に本社を構える会社です。製造業・建築業・倉庫業を市内5拠点で展開し、地域のナンバーワン企業を目指しています。
従業員の多くがインフルエンザに感染したことで、製造が止まってしまうという危機をきっかけに健康経営に取り組み始めた同社。健康課題を改善するために行なった二次健診の奨励活動では、取り組みが身を結び、現在の受診率はほぼ100%まで上昇しました。
その結果、2022年には健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を取得しています。今回は富士木材株式会社で健康経営に取り組む、山下さんと太田さんにお話を伺いました。
静岡県に5つの拠点を構える富士木材株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容を教えてください。
山下さん(以下、山下):当社は静岡県富士市に本社を構え、製造事業・建築事業・倉庫事業を行なっている会社です。具体的には、包装資材の製造・販売、木造の新築住宅の建設やリフォーム工事、お客様の荷物の保管等を請け負っております。
富士市内に5つの拠点があり、経営理念である「人や物をやさしくつつむ商品とサービスを提供する」をもとに、地域のナンバーワンを目指して事業を展開しています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人を取得されていますが、健康経営に取り組み始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか?
太田さん(以下、太田):4年ほど前に、従業員の多くがインフルエンザに感染したことがありました。製造業のため、働く人がいないと業務が止まってしまい、商品を生産できなくなってしまいますよね。
従業員の健康について会社で取り組んでいく必要があると考えていた頃、お付き合いのある商工会議所の方から「健康経営」の話を伺ったことをきっかけに、従業員の健康について会社全体で取り組み始めました。
その結果、2022年には「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定を取得しています。
二次健診の受診率がほぼ100%まで上昇
ーー従業員の皆さんの健康状態について、改善が必要だと感じられたことはありますか?
太田:健康診断の受診率だけでなく、要再検査・要精密検査と診断された方の二次健診の受診率についても上昇させて、健康課題を改善していく必要があると感じていました。
そこで、毎月行なっている安全衛生委員会で該当者を確認し、受診を奨励するために従業員に直接声をかける活動を始めました。従業員が「受診する」と決めるまでは積極的に声をかけるので、社内全体で「要再検査・要精密検査になったら受診しないといけない」という認識が徐々に広がっていき、受診率をほぼ100%まで上昇させることができています。
毎朝の体操や社内報での情報発信で健康維持に取り組む
ーーほかにはどのような取り組みをされているのでしょうか?
太田:健康経営に取り組み始めるきっかけとなったインフルエンザの対策としては、ワクチン接種にかかる費用の半額を会社が負担する制度に改定しました。ワクチン接種は受けたくない方も一定数いるので任意としていますが、インフルエンザに罹る人数は減っており、効果を感じています。
また製造業なので、創業時から安全を目的とした体操を就業時間前に行なっていましたが、健康経営に取り組み始めてからは就業時間内に全員で行なうようになりました。「誰でもできる体操」と称しています。
夏と冬の時期以外は外で実施しているため、気分転換になると同時に従業員同士がコミュニケーションを取る時間にもなっているようですね。今後も継続して取り組んでいく予定です。
ーー社内報で健康情報の発信をされているそうですね。
太田:そうですね。季節に合わせたテーマで社内報を作っています。夏場には食中毒について、冬場は風邪対策、今の時期だと花粉症について取り上げており、紙だけでなく社内の共有システムでも見ることができるので、気軽に読んでもらえるようにしています。
禁煙の取り組みには反発の声も多かった

ーー健康経営に取り組むなかで苦労されたことはありますか?
太田:社内で分煙化を進めるために、喫煙場所を出入り口から遠い場所に変更したり、タバコが吸える時間帯を制限したりしたときに、反対の声が多くあったことです。しかし、出入り口付近でタバコを吸ってしまうと受動喫煙につながってしまうため、反対の声があったとしても取り組む意義があると考えています。
今後は敷地内全面禁煙についても取り組みたいと考えていますが、また反対の声も多くいただくと思うので、相談しながら少しずつ進めていけたらと思います。
ーーお取り組みによる効果や従業員の皆さまからの反響はいかがでしたか?
太田:まず大きな効果としては、インフルエンザに罹る社員が大幅に減少したことです。コロナ禍によってマスクを付けたり、手洗いうがいに気を付けたりした影響もあるかと思いますが、当社の課題を解決することができてうれしく思っています。
ーー健康経営の今後の計画や注力していくことなどを教えてください。
太田:当社では、食生活の改善に向けて取り組めていません。そのため、今後は何かしらの形で従業員の健康的な食生活のサポートをしていきたいですね。
また女性特有の健康課題についての理解を社内で浸透させていく必要性も感じているので、さまざまな施策を検討し、実施していこうと考えています。
健康は人生のベースとなるもの
ーー健康に関心のある読者の方や企業で健康経営を担当されている方に向けて、メッセージをお願いします。
太田:健康は人生のベースであり、働くうえでなくてはならないものです。中小企業は限られた人数で業務を行なっているので、健康経営に取り組むことは従業員一人ひとりの生産性にもつながっていくと思います。
従業員の健康と会社の発展が結びつくように、当社では今後もエンゲージメントを向上させるためのサポートをしていきます。
また就職活動の際に、「健康経営の取り組みをしている企業か」を確認する方も多いと聞きますので、健康経営は企業の魅力の一つとして採用活動にもつながってくるはずです。ワークライフバランスの取れた働き方を望む方が多い社会ですので、まだ取り組んでいない企業は取り入れてみてはいかがでしょうか。
ーー本日はお時間いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:富士木材株式会社
インタビュアー:塩野実莉
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