埼玉県にある株式会社モリタ東京製作所は、歯科医療機器の製造から販売まで行なう会社です。「Thinking ahead Focused on Life すこやかな未来へ」というブランドコンセプトのもとに、健康経営にも取り組み、「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」に認定されました。
今回は株式会社モリタ東京製作所の人事総務課で健康経営を推進する、飯髙泰明さんと小橋口くるみさんにお話を伺いました。
50年以上の歴史をもつ歯科医療機器メーカー
ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容を教えてください。
小橋口さん(以下、小橋口):当社は歯科医療機器の開発設計から製造販売までを一貫して行なうメーカーです。1969年に設立され、50年以上の歴史があります。
おもな製品の一つは、歯科医院が使う「チェアユニット」とよばれる診療台です。チェアユニットには歯を削るドリルや照明、うがい用の水が出る装置などが付いており、機械音やデザインにも配慮することで、より良い診療環境づくりへの貢献を目指しています。
ーーありがとうございます。健康経営を始められたきっかけについてもお聞かせください。
飯髙さん(以下、飯髙):定期健康診断で、当社は有所見者数が製造業の平均よりも少し多い状況でした。社員一人ひとりが大切な戦力ですから、健康が原因で戦力ダウンしてしまうと、経営にとっても大きなダメージです。「健康経営」はまさに企業として大切であると考え、取り組み始めました。
また、先ほど小橋口がお話したように、当社は医療機器に携わる会社です。その意味でも社員が健康であらねばならないという理念に基づいて推進しています。
小橋口:当社は「Thinking ahead Focused on Life すこやかな未来へ」というブランドコンセプトをもっています。そこへ向かって活動を進めているところです。
ーー健康上、改善したいと思われたポイントはありましたか?
飯髙:会社と自宅の往復になってしまい、運動習慣がない社員が多い印象です。それが健康診断結果にも表れているように思います。
小橋口:また、健康経営の申請時にも課題として挙げたのがメンタルヘルスです。ストレスチェックを活用し、課題分析をしていく必要があります。
毎月2回の定時退社日を制定
ーーどのような取り組みをされているのでしょうか。
小橋口:まずグループ各社と「健康会議」を開催し、健康経営の情報共有と協力体制を強化しています。
具体的な取り組みとしては、例えば毎月第1・第3金曜日を定時退社日としています。当日は社内案内メールの配信と「今日は定時退社日です」という社内放送の実施、定時後に社内巡回をして定時退社を促しています。
当社の場合は支社がなく、出向中の一部社員を除いてほとんどの社員が本社に勤務しているため、こうした呼びかけは他社よりもしやすいかもしれません。開発・設計部門や生産技術・製造ライン部門の社員も、私たちのような間接部門の社員も一カ所で勤務しています。
ーー定時退社日を設けられて、その効果はありましたか?
飯髙:2016年頃から定時退社日を定めたのですが、すぐにはなかなか定着しなかったです。定時後に社内を巡回するなどしていましたが、定時ですぐに退社する人がそこまで増えませんでしたので、しっかりと呼びかける放送を始めました。
社員の約半数が所属する製造部の現場作業所でも、だんだんと「今日は定時退社日だから帰らないと」という声が聞こえてくるようになりましたので、意識が変わってきているのではないかと思います。
小橋口:勤怠管理システムを使用していますので、以前と比較して何%の社員が定時で退社するようになったか、数値でも確認していきたいですね。
特定保健指導を就業時間内に実施
ーーほかにはどのような取り組みをされていますか?
飯髙:メンタルヘルスケアとして、ストレスチェックの結果を安全衛生委員会で毎月報告し、数値の高い職場では改善努力のために調査をしてもらっています。定期健康診断についても、同様に職場単位でデータ集計をしています。
幹部ミーティングに出席する際は「健康管理も管理者の業務のひとつ」であると伝えています。健診結果は個人情報ですが、D判定やE判定の社員がいた場合には管理者にも部分的に開示して、再検査の促しを依頼しています。
ーー特定保健指導の実施率向上も目指されているそうですね。
飯髙:特定保健指導は昨年(2022年)まで任意にしていたのですが、受ける社員がほとんどいませんでした。そのため、今年度は日時を決めて社内で実施したんです。就業時間内に、対象者一人ずつに特定保健指導を実施しました。生活習慣改善のきっかけとなることを目指し、次年度も続けていこうと考えています。
ゆったりと休憩できるリフレッシュエリア
ーーほかに社内で工夫されていることはありますか?
小橋口:各フロアに、野菜ジュースやジャスミン茶など健康に配慮した商品ラインナップの自販機を設置しています。また、昨年(2022年)の5月に新工場ができて、「リフレッシュエリア」という広めの休憩所が2部屋できました。私と同期社員で床の張替えやテーブルの組み立てなどのDIYをして、カフェ風の空間にしています。
地元の特A米や「食改善弁当」で食事サポート
ーー食事に関しては、何か取り組みをされていますか?
飯髙:当社は社員食堂があり、そこで埼玉県産の特A米「彩(さい)のきずな」を使用しています。特A米とは、一般財団法人日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」で最高ランクの「特A」評価を獲得したお米です。昨年、伊奈町からお声がけがあり、社員に栄養のあるおいしいご飯を味わってもらえればということで始まりました。
ーーおいしいお米が毎日食べられるのはうれしいですね。お二人も食堂をよく利用されますか?
飯髙:私は毎日利用しています。 小どんぶりにサラダをつけたり、「食改善弁当」という栄養バランスの良いメニューを選んだりすることが多いですね。食改善弁当はカロリーやレシピも掲示されています。
小橋口:社員食堂のランチはおいしくて食べ過ぎてしまうので、私は野菜とタンパク質中心のダイエット食を持参しています(笑)。食堂では、夏は冷たいうどん、冬はラーメンなどが人気のようです。
2023年は「健康経営優良法人」に初認定
ーー御社は埼玉県の健康宣言に参加するなど、健康経営の推進を社外にも発信されています。取り組みをされてきて、社内外から反響はありましたか?
小橋口:会社説明会で健康経営に関する紹介ができるようになりましたので、その点は採用活動においてプラスになっていると思います。
飯髙:昨年は健保連合会から「健康優良企業」として認定され、先日は経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」の認定も受けました。健康を重視する方針をもっているということを、より一層社外にご紹介しやすくなったと思います。
健康経営も重点目標のひとつに
ーー今後のご計画などありましたら、お聞かせください。
飯髙:今年、当社の重点目標のひとつに初めて健康経営の推進が掲げられました。経営目線でより一層、社員の健康増進に注力していくことになります。
予定している取り組みのひとつとしては、歯科医療機器メーカーということもあり、歯科検診の受診率を上げたいと考えています。今後は歯科検診の費用を一部補助する予定です。
小橋口:会社説明会では「口腔内の健康が全身の健康の土台になっている」ということをお伝えし、入社後の研修でも健康面についてレクチャーをしています。口腔内の健康の大切さについては「全く知らなかった」という声が多いため、実施していてよかったと感じています。
ーー健康に関心のある方や他企業の健康経営ご担当者にメッセージをお願いします。
飯髙:健康経営はすぐに結果が出るわけではないということをふまえ、ゆっくりと継続的に取り組む必要があると考えています。
ただ生活習慣の改善は少しでもサポートしていけたらと思いますので、毎年4月にある定期健康診断の一カ月前から「毎日1万歩歩きましょう」と呼びかけています。今年もちょうど呼びかけを始めるところです。
小橋口:健康に楽しく仕事をするうえで欠かせないのは、やはりほど良く食べ、ほど良く運動し、しっかり眠ることだと思います。元気に楽しく過ごし、仕事をするために健康は大切にしていきたいですね。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社モリタ東京製作所
インタビュアー:青柳和香子
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