株式会社イマオコーポレーションは、岐阜県に本社を構える機械部品メーカーです。「創信創機」を社是として掲げ、1935年の創業以来、常に新しい価値を創造し産業界の発展に努められてきました。
健康経営の取り組みとして、特定保健指導の奨励や食生活改善に取り組まれた結果、「健康経営優良法人2023」の認定を取得。また岐阜県の推進する、「清流の国ぎふ健康経営優良企業2023」の認定も受けるなど、精力的に健康経営に取り組まれています。
今回は同社で健康経営の推進を担当されている経営企画室 副室長の服部健治さんと、健康診断や福利厚生を担当されている総務部 主査の金重智子さんにお話を伺いました。
1935年に創業した株式会社イマオコーポレーション
ーー本日はよろしくお願いいたします。まず御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
服部さん(以下、服部):1935年に創業した当社は、岐阜県内に本社と工場を持つ機械部品メーカーです。産業機械や生産設備の一部として使われている製品を工場で生産して国内外に提供しており、社員として290名ほどが勤務しています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人の認定を受けていますが、健康経営に取り組むきっかけはどのようなことでしたか?
服部:当社は経営理念として「社員とその家族の幸せを追求する」を掲げています。それを具現化する活動として、以前より健康に関わる取り組みを行なってきました。
2020年頃から、「健康経営優良法人」や「清流の国ぎふ健康経営優良企業」に申請を行なったところ、無事に認定を取得することができ現在に至ります。
特定保健指導の受診率100%
ーー社員の皆さんの健康状態について、改善が必要だと思われたことはありますか?
金重さん(以下、金重):健康診断の結果から、メタボリックシンドロームに着目した項目で引っかかる人数が徐々に増えてきたことですね。40歳以上が対象となる特定保健指導の受診率を上昇させ、しっかりと改善に向けて取り組んでいく必要があると考えました。
改善に向けた取り組みとして、以前は任意での参加としていた特定保健指導を業務時間中に社内で受けられるように制度を変えたことで、現在は受診率が100%となっています。受診の可否を個人の判断に任せるのではなく、会社が受ける機会を提供できたことがこの結果につながったと考えています。
人間工学の視点を取り入れた作業台
ーー製造業ならではのお取り組みがありましたら教えてください。
服部:機械部品の生産を行なっている会社ですので、業務中は細かい作業を行なうことが多くあります。「一日中作業すると肩や腰が痛くなる」といった社員の声があったことから、人間工学の視点を取り入れた昇降式の作業台「エルゴノミック ワークベンチ」を作業現場で導入しました。
高さや作業範囲を自分の体格に合わせて自由に変えられるようになり、社員から「導入してくれたことで、勤務後も運動をするなどアクティブに過ごせるようになった」という声をいただいています。
また日本人間工学会から、「人間工学の視点から作業者の作業姿勢を改善し、無駄な動作を排除して、作業時間短縮、ミスの軽減、そして疲労とストレスも軽減する取り組み」と評価していただき、2020年度に人間工学グッドプラクティス賞において最優秀賞を受賞することができました。
栄養の摂れるお弁当を支給
ーー食生活に関して、何か取り組まれていることはありますか?
金重:当社には社食制度があり、市内の給食センターで作られたお弁当を配達していただいています。以前は揚げ物が多く味付けのしっかりしたメニューのお弁当だけでしたが、現在は管理栄養士の方が監修する栄養バランスのとれたお弁当も選択できるようになりました。
費用も会社が実質全額負担しているため、岐阜県内の拠点で働く希望者がこのお弁当を食べており、昼食でしっかりと栄養を摂れることが健康的な食生活の一助になっているとうれしいですね。
社員の声から歯科健診を実施
ーー健康経営を進めていくなかで苦労されたことはありますか?
金重:自身の健康について、なかなか意識を高くもってくれる人が増えていかなかったことが大変でした。健康診断の結果が悪くても、「自分は大丈夫」ととらえる方が多かったですね。
「会社全体で健康経営に取り組みます」と強く発信したことで、社員のなかでも「それなら自分も取り組んでみようか」と少しずつ意識が変わってきたように感じています。
ーーお取り組みに対する社員の方からの反響はありましたか?
服部:社員のエンゲージメントを高めていくため、定期的にアンケートを実施していますが、そこで「歯科健診を実施してほしい」という要望が上がりました。
社員の声に応えて就業時間中に歯科健診を実施したところ、提案してくれた方だけでなく、ほかの社員からも「歯医者に行くのは面倒なので、会社で開催してくれてありがたいです」という良い反響をいただけています。
健康経営の取り組みを通して社員のエンゲージメントを高められる取り組みを実施することができ、とてもうれしいです。
今後は運動習慣の定着を目指す
ーー健康経営の今後の計画を教えてください。
金重:徐々に自分の健康について意識を高めている社員が増えてきている状況ですので、次の段階として、運動を習慣化できるように促していきたいと考えています。
コロナ禍では社員が集まってイベントを行なうのは難しいですが、開催方法を工夫してウォーキングのイベントなどを実施していきたいです。
ーー健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
服部:今回取材を受けるにあたって、サントリーウエルネスオンラインで紹介されている、さまざまな企業の取り組みを拝見しました。参考になる取り組みを知れると同時に、健康経営を進めていく励みにもつながりましたね。
これから健康経営の取り組みを始められる方やすでに取り組まれている方にも見ていただき、他社の良いところを取り入れながら健康経営を進めていくと良いのではないでしょうか。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社イマオコーポレーション
インタビュアー:塩野実莉