
株式会社三恵シーアンドシーは愛知県大府市に本社を構える、治具・専用機のメーカーです。「生産活動を通して働く人の成長および社会の発展・繁栄に貢献する」という企業理念のもと、新技術を積極的に取り入れてきました。
2018年から取り組まれている健康経営では、食生活の改善と運動促進を中心に取り組まれており、健康経営優良法人(中小規模法人部門)でブライト500の認定を受けられました。
今回は、同社で健康経営に取り組まれている管理部部長の山崎裕史さんと、管理部総務課の岩井幸子さんにお話を伺いました。
治具・専用機の製作を行なう株式会社三恵シーアンドシー

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
山崎さん(以下、山崎):当社は、1967年に愛知県大府市で創業しました。おもに大手自動車部品メーカーの生産ラインで使用される専用機や、大手工作機械メーカーの治具を設計・製作している会社です。従業員として90名ほどが勤務しています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人の認定を取得されていますが、健康経営に取り組み始めたきっかけはどのようなことでしたか?
岩井さん(以下、岩井):2016年頃、取引先の企業さんから「健康経営」の言葉を聞くようになり、「当社でも取り組みたい」と思い社長と検討していました。その後、2018年に健康保険協会へ相談したところ「健康経営優良法人の認定を取得しませんか?」とお声がけいただき、会社として健康経営を本格的に取り組むことを決め、現在も継続して取り組んでいるところです。
「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定では、上位500社に与えられる「ブライト500」にも認定されています。
ーー従業員の健康状態について改善が必要だと感じられたことはありますか?
岩井:健康経営を始めた2018年の定期健康診断において、要再検査・要精密検査と診断された35歳以下の若い従業員が多くいたことから、すぐに改善に向けて取り組まなければならないと判断しました。
肥満と診断される方が多く、血糖値や血圧、コレステロール値の数値も悪かったですね。そこで当社では食生活の改善や、運動を促進する施策を展開しています。
野菜の摂取量を増やす「ベジアップ月間」
ーー食生活の改善に向けてどのような取り組みをされましたか?
岩井:まず社内で、健康的な食生活についての講座を開催し、食事についての基本的な知識を習得してもらうことから始めました。
また野菜の摂取量を計測できる機器を利用し、「ベジアップ月間」という野菜の摂取量を増やすためのイベントを開催しました。開催期間の最初と最後には野菜摂取量を計測します。まずは現在の数値を把握してもらい、そのうえで350g以上の野菜を摂取することを目指してこの期間を生活してもらうことがこのイベントの目的です。
計測器は数値で表示されるので、350gの野菜を摂取すると7.5〜8.0ポイントと表示されます。昨年度開催したときの平均値は最初の計測が4.9ポイント、最後の計測が5.2ポイントと、期間中に野菜の摂取量を増やすことができました。今年度は、最初の計測から5.0ポイントが平均値となっており、わずかですが取り組みの効果が出てきていると思われます。
当社の自動販売機にある野菜ジュースは会社で一部の費用を負担しており、少し安く購入することができますが、よく売り切れになっているので野菜を摂る意識が社内に広がっているのではないでしょうか。
大府市が開催しているウォーキングイベントに参加
ーー運動促進に関してはどのような取り組みを実施されましたか?
山崎:愛知県大府市で、毎年10月から1月までの期間に開催しているウォーキングイベントに当社も参加しています。
1年目は5割程度だった参加者も、声かけを徹底したことで2年目の参加者は9割ほどまで増え、従業員のほとんどが参加してくれました。1年目には個人の部とチームの部でトップの順位を獲得して大府市から表彰していただいたり、2年目には参加者が多かったことから「ワンチーム賞」をいただいたりと、良い結果を残しています。
最終月には愛媛県新居浜市との対抗イベントが開催されるなど、さまざまな工夫を施して開催されているため従業員も楽しんで運動してくれているようです。
再検査の奨励活動によって病気を早期発見
ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありましたか?
岩井:健康経営優良法人の認定に初めて申請するときは、右も左もわからない状態だったので、質問の意図を理解することや、これまでの取り組みをまとめることが大変でしたね。
現在は申請方法も簡略化されており、自治体からのサポートも手厚くなっているので、これから始める方は簡単に申請できると思います。
山崎:ウォーキングイベントですが、3・4回目の開催では参加人数が少し減ってしまいました。従業員から興味を持ち続けてもらうことは大変ですね。今後は自分たちでも企画を検討し、さまざまな施策を展開していきたいと思います。
ーーお取り組みによる効果や従業員の皆さまからの反響はありましたか?
岩井:3年ほど前から、要再検査・要精密検査となった方の再受診率を100%にすることを目標としていましたが、昨年度から2年連続で達成することができました。昨年度は3月ギリギリ、今年度は12月に達成することができ、「再検査に行かなくてはいけない」と考える従業員が増えたことをうれしく感じています。
また去年、再検査に行ったことで病気が見つかった従業員がいました。早期に発見できたので、手術をして治すことができて本当に良かったです。受診の奨励活動では、従業員から「面倒くさい」と感じられることもありますが、取り組んできて良かったと心から感じる出来事でした。
よりワークライフバランスの整った会社にしていきたい

ーー健康経営の今後の目標や計画を教えてください。
山崎:まずは健康経営会優良法人の認定において、ブライト500を継続的に受けられるようにしていきたいです。形だけでなく、「従業員にとって働きやすい環境かどうか」をよく考え、社長と相談しながら取り組みを進めていきます。
特にワークライフバランスについての取り組みを強化することで、仕事とプライベートの気持ちの切り替えがうまくできる会社にしていきたいですね。
ーー健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
岩井:まず自分自身の健康状態を知ることが大切です。そのうえで良くないところは放置せずに対処し、自身の健康を守っていってほしいと思います。
また健康経営を推進していくためには、何より経営者の健康経営に対する思いの強さが大切です。
山崎:そうですね。健康経営の担当者がしっかりしていても、経営者の方が思いを持っていないと進めにくいところはあると思います。経営者の方が従業員に思いを伝えることで、健康経営の取り組みは円滑に進んでいくはずです。
ーー今回はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社三恵シーアンドシー
インタビュアー:塩野実莉
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