
株式会社板垣は群馬県伊勢崎市に本社を構える、メガネ・補聴器等の販売会社です。「メガネ着がえてみませんか」 というコーポレートスローガンを掲げ、群馬県を中心に37店舗を展開しています。
3年前から取り組み始めた健康経営では、「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定取得だけでなく、「えるぼし認定」(3段)と「くるみん認定」(星2)を取得されている同社。健康保険組合で勤務していた経験を活かして健康経営に取り組む、取締役管理本部長 兼 人事部長の大澤努さんにお話を伺いました。
メガネと補聴器の販売を行なう株式会社板垣

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革やおもな事業内容を教えてください。
大澤さん(以下、大澤):当社は群馬県伊勢崎市に本社を構え、おもにメガネと補聴器の販売を行なっている会社です。1924年に創業、1981年に法人化することでさらに事業を広げ、現在は群馬県を中心に37店舗を構えています。
「すべてのことが、お客様の為に成っているかを問いながら、それを実践し店も社員も永久に栄えねばならない。」という経営方針のもと、社員として214名ほどが勤務しています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人の認定を取得されていますが、健康経営に取り組み始めたきっかけはどのようなことでしたか?
大澤:健康経営を担当している私が、5年ほど前に入社したことを機に健康経営に取り組み始めました。というのも、前職では健康保険組合に勤務しており、健康経営に関する経験がありました。その経験を活かして、当社をより良くできればと着手したのが始まりです。
健康経営を進めていくなかで、健康面だけに着手するのではなく待遇面等にも気を配る必要があると考え、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定取得だけでなく、女性の活躍を推進している証である「えるぼし認定」や、子育てを支援している証である「くるみん認定」を同時に取得することを目指して、活動を始めました。
その結果、3年前に3つの認定を同時に取得することができています。
受診勧奨は命に関わる大事なこと
ーー社員の健康状態について改善が必要だと思われたことはありますか?
大澤:社員の健康診断の結果はすべて確認していますが、便染血や糖尿病など、手遅れになると命が危ない方については、二次健診の受診勧奨をきっちりと行なっています。
私自身も病気を患い、宣告を受けたことがあります。早期発見であれば、治る可能性も上がるということは身をもって感じているので、受診勧奨については積極的に取り組んでいますね。
ーーどのように受診勧奨をされていますか?
大澤:「かかりつけ医に必ず相談してください」「もう一度検査を受けてください」という旨のメールを個人宛にお送りしています。健康保険組合にいた頃、「命に関わることは言い合いになってしまったとしても受診させるべき」という経験もあったことから、現在も私のほうで積極的に勧奨している状況です。
また人事部ニュースとして、「血圧が高い人はこのようなことに気を付けましょう」「心の健康を守ることも大切なので、こういうことを意識しましょう」といった情報の発信も同時に行なっています。
実際に病気になってから健康の大事さに気が付く方も多くいるので、現在は健康に生活している人に向けて情報を発信してもなかなか興味をもってもらえないこともありますが、落ち込まずにできることを一生懸命進めているところです。
ーー特定保健指導についても受診勧奨をされているのでしょうか?
大澤:特定保健指導の実施率を上げるために、二次健診の受診勧奨と同じく40歳以上の該当者にはメールでの声かけを行なっています。
「本人の健康のために受診してほしい」というのは大前提にありますが、実施率の高い保険者は保険料が下がるため、加入者にも関わってくる項目です。特定保健指導の実施率を上げることは、健康と経営(保険料)につながりをもたせるうえでも大事なことだと考えています。
ワークライフバランスを整えて女性の活躍を推進する

ーーえるぼし認定やくるみん認定を取得されているなど、ワークライフバランスの推進にも力を入れられていますね。
大澤:そうですね。育児休暇の取得推進や女性の活躍の推進を行なっています。女性が管理職として活躍していくことを考えたときに、出産というライフステージが変わる際には育児休暇を取得することができ、その後も安心して管理職になれる環境が整っている必要があると考えています。そのため、当社の女性社員の育児休暇取得率は100%です。
「放置しなければ助かった」という人を0にするために

ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありますか?
大澤:二次健診の受診勧奨は命に関わってくることなので、担当者として必死に取り組んでいますが、二次健診を受診することの重要性がどれだけ社員に伝わっているかというと、そこまで伝わっていないのだろうと思います。
100人いるうちの10人に伝われば良いほうで、そのなかの1人・2人でも「二次健診を受けたことで助かった」という風に思ってくれる人がいればうれしいですね。健康な人に健康の話をしても伝わらないことが多いですが、「放置しなければ助かったのに」という人を0にしたいという思いで、今後も受診勧奨は積極的に行なっていきます。
ーー社員の方からの反響はいかがですか?
大澤:多くの場合は60歳で定年退職をして65歳までの5年間は再雇用が義務化、その後の5年間については努力義務とされています。当社では定年退職をしてから10年間再雇用契約を結ぶという再雇用制度をつくりました。
しかし、その10年間は基本的に肩書きがなくなる、責任が減る代わりに給料が下がるなど変化の多い時期です。戸惑うことも多いと思いますので、「キャリア研修」と称してどのような待遇になるのか、そのときの心の持ちよう、雇用継続基本給付金や年金制度についてなどを説明し、準備をしてもらうためのセミナーを開催しています。
健康管理をするのは当たり前のことですが、その10年間を「不平不満を持って過ごすのではなく、ハリのある日常生活が送れることを楽しんで過ごしてほしい」という思いで、この取り組みを始めました。
セミナーで二次健診の受診勧奨に対する思いもお話したところ、受診勧奨をするときの反応も良くなり、顔を合わせるときには「検査に行ってきました!」と声かけてくれることも増えてきました。それが励みになっていますね。
ーー健康に関心のある読者の方や、企業で健康経営を担当されている方に向けてメッセージをお願いします。
大澤:これだけ取り組んでも社員からの反応はあまりないです。しかし、1,000人のうち1人くらいの割合で大病を患う方はいますので、「その予兆を察知したおかげで生きられている」という方も出てくるわけです。その人の役に立てれば良いという気持ちで、めげずにやっていくことが必要だと考えています。中小企業の方々は人手も少なく、とても大変だと思いますので、担当者の方が疲れてしまわないように進めてほしいですね。
人生100年時代と言われていますが、寝たきりで過ごすのではなく、健康で生活できる健康寿命を長く伸ばすということが大切です。その一助になれるように今後も活動を進めていきます。
ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社板垣
インタビュアー:塩野実莉
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