
新潟県新潟市に本社を構える株式会社タカヨシは、企業や地域のプロモーションを支援する総合ブランディング会社です。「顧客の価値を向上させて地域社会に活力を与えられる唯一無二の存在になる」という経営ビジョンのもと、大正9年より事業を展開されてきました。
「従業員は会社の財産である」という考えから、健康経営に取り組む以前より従業員の健康を大切にされてきた同社。ワークライフバランスの推進や、ウォーキングイベント等の健康増進施策が認められ、健康経営優良法人認定を5年連続で取得されています。
今回は株式会社タカヨシの管理部総務人事課 田邉昌之さんと、社長室兼人事広報戦略室 小倉あかりさんにお話を伺いました。
新潟県に本社を構える総合ブランディング会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
小倉さん:当社は大正9年に創業した総合印刷会社です。新潟県新潟市に本社を構えるほか、東京、上越、仙台、名古屋にも拠点があり、約145名の従業員が勤務しております。
イベント事業やWeb制作事業、映像制作事業を行なうグループ会社があるため、企業や地域のプロモーションをトータルで支援することができ、総合ブランディング会社として幅広く展開しています。
ーーありがとうございます。御社は健康経営優良法人の認定を取得していますが、健康経営に取り組み始めたきっかけはどのようなことでしたか?
田邉さん(以下、田邉):「従業員は会社の財産である」という考えを前社長がもっており、従業員のパフォーマンス向上のために健康づくりが重要であると認識していました。そのため、ラジオ体操や定期健康診断時のオプション検査の推奨等、以前から「健康経営」に取り組んでいます。
従業員の健康に対する意識や社会的要請が高まるなか、2016年に就任した現社長がワークライフバランス推進の方針を示し、「完全週休二日制」の実施や「時間外労働の削減」、「有給休暇の取得促進」など、本格的に健康経営に取り組むことになりました。
また当社では、全社でSDGsを推進しています。そのなかで、健康経営の取り組み自体がSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成につながることから、働き方改革や健康経営認定制度の創設など社会的な注目度の高まりも踏まえ、経営戦略の一つとして活動を進めているところです。
働きやすい環境づくりを目指して

ーー従業員の皆さんの健康状態を考えるにあたり、どのような課題がありましたか?
田邉:現社長からワークライフバランスの取り組みが明確に示されるまでは、「遅くまで働くことや休暇を取らないことが、一生懸命に働く従業員である」というような、旧態依然とした社風がありました。その考え方を払拭するには時間を要しましたね。
時間をかけて新しい働き方を浸透させたことで、現在は残業を始めとした労務管理や有休の取得率は改善されていますが、「働きやすい職場づくり」を目指して今後も継続して取り組んでいきたいです。
ーーどのようにして、新しい働き方を浸透させたのでしょうか?
田邉:残業時間を最小限とする適切な労務管理を行なうために、残業をする際には「勤務表兼残業表」での事前申請と上長からの承認を必要とする制度を導入しました。残業実施後の確認まで行ない、月の累計時間も記載することで残業に対する意識改革につながったと考えています。
また毎週3回(月曜日・水曜日・金曜日)は遅くとも19時までの退社を推奨しており、就業時間外となる17時30分以降は留守番電話へ切り替わるように設定しました。業務効率化のためのRPAやSFAといった営業支援システム等のDX導入についても積極的に行ない、従業員が意識すれば残業を減らせる環境づくりを行なっています。
有給休暇については入社2カ月後より10日間を付与し、各自で「有給休暇の取得計画」を策定してもらいます。これを四半期ごとに見直して取り忘れを防げるようにし、さらに夏休みには「取得運動」で促進することで、年6日以上の取得を目指しています。
その結果、月間平均の所定外労働時間は令和2年度26時間に対して令和3年度は25時間と減少傾向にあります。有給休暇の取得日数については、平成27年度には平均取得日数が3.5日だったのに対して令和3年度は9.7日と大幅に増やすことができました。
取り組みにより「要精密検査・要治療」の該当者が減少

ーー従業員の方の健康増進、疾病予防に向けてはどのような取り組みをされていますか?
田邉:ラジオ体操の実施やインフルエンザ予防接種の費用を一部補助する施策については、健康経営に取り組み始める前から実施していましたが、2017年より、社員食堂のメニューについて栄養素やカロリーの表示をしたり、ヘルシーメニューの提供を行なったりしています。
また2018年からは、行政主催の健康イベント(ウォーキングチャレンジ等)へ参加、2020年には喫煙所を設置し、喫煙所以外での喫煙を禁止としました。新しい施策を取り入れることで、健康増進の一助となればうれしいです。
ーーこれらのお取り組みによる効果や社内外からの反響はいかがでしょうか?
田邉:健康経営に取り組んだ効果として、定期健康診断において「要精密検査・要治療」の判定を受けた従業員が前年度比で4名減少しました(令和2年度39名→令和3年度35名)。
また、ある女性従業員が定期健診のオプション検査で病気を早期に発見し、治療につながったこともありました。担当としてもさまざまな取り組みが従業員の健康増進につながっていることが大変うれしく、やりがいにもつながっています。
さらには、健康経営優良法人認定の取得(2019年より5年連続)、新潟市健康経営認定事業所ゴールドクラス認定(平成30年度、令和3年度)、新潟市働きやすい職場づくり推進企業市長賞受賞(2021年)等、さまざまな健康経営の認定を受けることができました。
健康経営優良法人の認定を5年連続で取得できたことで、社外の方からお褒めの言葉をいただくことがあり、とてもうれしく感じています。社内の関心は社外に比べると薄いため、今後は社内の広報活動について積極的に取り組んでいきたいです。
従業員のヘルスリテラシー向上が成功の鍵

ーー今後の計画を教えてください。
田邉:これまで行なってきた健康経営に関する取り組みは一定の成果を上げていますが、時間外労働の減少や有給休暇の取得促進をはじめとするワークライフバランスの推進にゴールはなく、一層の取り組みが必要だと考えています。
また健康管理として、定期健康診断による病気の早期発見や早期治療に向けて、健診結果を踏まえた二次健診の受診勧奨や必要な検査・治療の指導に努めていきたいです。
ーー健康に関心のある読者の方や企業で健康経営を担当されている方に向けて、メッセージをお願いします。
田邉:健康経営を進めるうえで、「従業員のヘルスリテラシー向上」が成功の鍵を握っているでしょう。ヘルスリテラシーが低いと、個人の健康だけでなく職場の生産性や会社の業績にも影響してきます。
一朝一夕にはいきませんが、経営者や保険者、医療機関との連携を深めながら一歩一歩進むことで、従業員のヘルスリテラシー向上についても実現していきたいです。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社タカヨシ
インタビュアー:塩野実莉