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血圧の基本について正しく理解しよう|血圧を上げない生活習慣やおすすめレシピを紹介

健康診断や簡易的な健康チェックにおいて、必ずといってもいいほど測定されるのが血圧です。そのため、身近な検査のように感じられるかもしれませんが、血圧によってどのような健康状態がわかるのか、詳しくご存知ではない方も多いでしょう。

なんとなく血圧の状況によって体調が変化することはイメージできますが、具体的には体にどのような変化が起きているのでしょうか。

今回は血圧の基礎知識や血圧を上げない生活習慣、おすすめレシピを紹介します。

1. 血圧とは

血圧とは、心臓から流れた血液が血管を押し進むときの力(圧力)を表し、mmHg(ミリメートル水銀柱)という専用の単位が使われます。この単位が用いられているのは、昔ながらの血圧計に水銀が使用されていたためで、電子血圧計が主流となった現在でも同じ単位が使用されています。

血圧には、心臓が収縮したときの一番高い血圧「上の血圧(収縮期血圧)」と、心臓が拡張して血圧が一番低い血圧「下の血圧(拡張期血圧)」の2種類があります。

1-1. 血圧の「低い」「高い」による体への影響とは?

上の血圧、下の血圧ともに数値が「低い」場合は体質的な要因が考えられますが、日常生活に支障をきたさない限り、心配する必要はありません。

一方、上の血圧、下の血圧ともに健康的な数値よりも「高い」場合は注意が必要です。成人の場合、健康的な上の血圧は120mmHg未満、下の血圧は80mmHg未満となります。上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上を繰り返している場合は、体に不調をきたす可能性があります。

一般的に女性よりも男性のほうが上の血圧や下の血圧の数値が高く、30代男性では約20%、女性は約5%未満、50代男性では約55%、女性は約35%です。ただし、70歳以上になると、男性は約80%、女性は約70%に上ります。

また、厚生労働省が3年ごとに行なっている2017年の「患者調査」によると、血圧が高く何らかの疾患がある総患者数は約1000万人という統計が出ています。

1-2. 血圧が高いことを表す体の不調

健康的な数値よりも血圧が高いおもな要因としては、遺伝をはじめ、生活習慣や加齢、甲状腺や副腎の病気、薬による影響などが考えられます。すべての要因が当てはまるわけではありませんが、上の血圧、下の血圧ともに高い状態が続くと、体に不調をきたすリスクが高まるため、注意が必要です。

1-3. 血圧が上がる仕組み

上の血圧や下の血圧が上がるおもな原因は、「交感神経の活性化」「食塩の過剰摂取」「腎臓での食塩由来のナトリウムの排泄障害」「腎臓の糸球体(尿のろ過装置)の機能低下」です。

血液量が多くなれば、心拍数や心筋収縮力が上がっていきます。加えて、血管に中性脂肪が溜まり、血管が狭くなったり血管のしなやかさが損なわれたりすることで血管自体の抵抗が増えると、顕著な血圧上昇が認められるのです。

1-4. 家庭で血圧を測定するときの注意点

血圧を測定するための家庭用(自宅用)の血圧計は、上腕部で測定するタイプと、手首で測定するタイプの2種類に分けられます。血圧計にはたくさんの製品がありますが、医療機関などではより正確に測定できるとして、上腕部で測定するタイプの血圧計で測定することを推奨しています。

なお、現在は電子血圧計が主流となり、水銀が使用されていないため、その点は安心してください。しかし、測定するときは以下のことに注意しましょう。

・測定前は毎回5~10分ほど安静にしてから測定する(※食事、運動、入浴などによって血圧が変わります)
・測定をする腕は左右のどちらかに決める(※左右で10mmHg以上の差がある場合は、数値が高いほうの腕で測定します)
・座った姿勢で測定する(※座ったあとも1~2分ほど安静にしてから測定します)
・毎回同じ時間に測定する(※朝は起床から1時間以内の食事前、夜は就寝前などに測定します)
・血圧計は腕と同じ高さに置き、腕はシャツなどで腕の上部を締め付けないようにする

2. 日常生活における血圧の動き

血圧の高さは、精神活動・身体活動などの影響を受けています。
日常生活のどのような場面や要因で、血圧が上がるのかを知っておきましょう。

2-1. 血圧は常に一定ではない

血圧は、時間帯や季節によって変動します。

一般的に、一日のなかでは朝起きたときに血圧が上がり、昼間は比較的高い状態が続きます。そして、夜になると血圧が下がりはじめ、睡眠中は最も低い状態になります。

また、季節によっても血圧は変わります。寒さで血管が細くなりやすい冬に血圧が高くなり、夏に低くなる傾向があります。

2-2. 血圧が変動する生活習慣

生活習慣のなかで血圧が上がるおもな要因は、ストレスや緊張、過労、睡眠不足、運動不足、肥満、喫煙や節度を越えた飲酒、塩分過多などです。いずれも気を付ければ少しずつ改善できるものなので、血圧が高めで気になっている人は一つずつ生活習慣を見直していきましょう。

3. 血圧を上げない生活習慣

ここからは血圧を正常値に近づけるための生活習慣を見ていきましょう。

血圧を上げないためには、徹夜や寝不足を防ぎ、規則正しいリズムの生活を送ることを意識してください。その他、節度を越えた飲酒を控えること、熱い風呂を避けること、喫煙者の方は喫煙量を減らすこと、そして適度な運動を心がけることが重要です。

これらは、一時的に心がけるだけでは成果が出ないことも多いため、「習慣」になるまで、根気よく続けていきましょう。

3-1. 血圧を下げる効果が期待できる食べ物

血圧は、食習慣の改善によって下げることもできます。バランス良くさまざまな栄養素を摂取することを心がけたいですが、なかでも注目すべき栄養素はカリウムです。
カリウムは、体内のナトリウムとカリウムのバランスを調整し、過剰なナトリウムを排出しやすくする働きを持つため、塩分過多を調節する助けをしてくれます。

カリウムが多く含まれているのは、野菜や果物です。水に溶けやすい性質を持ち、茹でるとカリウム含有量が少なくなります。そのため、生で食べられる野菜に関しては、加熱せずに食べたほうがカリウムを効率良く摂取できるでしょう。

果物は塩を使わずに食べることができ、食事の一品として並べておくと見た目の満足度もアップします。カリウムも豊富なので、余分な塩分を排出する助けにもなるのです。

3-2. 減塩を心がける

先述のとおり、塩分の過剰摂取が続くとナトリウム排泄が十分でなくなり、血液量が増えて血圧が上がります。塩分の過剰摂取はコレステロール値を高め、血栓を作りやすい体質にもなるため、なるべく塩分摂取量は抑えましょう。

日本高血圧学会が定めたガイドラインでは、「一日の食塩摂取量を6g未満とすることを目標とする」と定められています。しかし、一日3食の食事で食塩相当量を6g未満にいきなり挑戦すると、どうしても物足りないと感じるでしょう。そのため、まずは一日あたり1g減塩することを心がけ、少しずつ6g未満に近づけるように努力していくことをおすすめします。

食事の塩分を減らす際は、香りや刺激を活用すると、塩味が薄くても満足感を得られます。しょうがやにんにく、みょうが、パセリ、しそ、ねぎなどの香味野菜、こしょうや七味唐辛子などの香辛料、カレーに使われるスパイスなどを利用しましょう。これらの香味・辛味が塩の代わりに味を引きしめるため、塩分を減らすことができます。

また、酸味を利用することでも味のアクセントが付きます。酢やレモン、ゆずなどの柑橘類、トマトなどのさわやかな酸味と香りは、料理にメリハリを付けてくれます。

3-3. 適度な運動を心がける

血圧を下げる目的で運動するなら、ウォーキング(速歩)やスロージョギング、水泳、サイクリング、レクリエーションスポーツなどの有酸素運動がおすすめです。これらの有酸素運動は、血流を改善するだけでなく、降圧に作用する体内物質やホルモンの分泌を促進します。

運動を習慣にすることで、肥満の改善、耐糖能障害や脂質代謝の改善、ストレス解消などの効果も期待できるでしょう。

ただし、負荷が大きい運動は、運動中に血圧が上がる可能性があります。特に高血圧の方は、「ややきつい」と感じるくらいの運動にとどめてください。また、体力は人によって異なるため、まずは軽度・短時間の運動から始め、自分が長時間続けられる強度で取り組むのがポイントです。

運動のためにまとまった時間を確保できない場合は、目的地が近いなら歩いて行く、エスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の活動量をできるだけ増やしましょう。

3-4. 適正な体重を維持する

個人差はあるものの、肥満の方は体重を3~4kg程度減らすと、血圧の低下が期待できるとされています。

肥満かどうかは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出する「体格指数(BMI)」で判断可能です。BMIの正常値は18.5~25.0(kg/m2)の範囲内のため、肥満の方はBMI 25.0未満を目指して体重を減らしましょう。

肥満のおもな原因は、食べすぎと運動不足です。体重を減らすには先述のとおり、適切な運動を行ない、食事の摂取エネルギーを抑える必要があります。一日3食規則正しく食事をとり、食べすぎや早食いに注意してください。

なお、急激に体重を減らすと、体調不良や体重のリバウンドを招く恐れがあるため、減量は焦らず時間をかけて行ないましょう。

血圧を下げる食べ物を使ったおすすめレシピ

最後に、血圧を下げる効果があるカリウムが豊富な食べ物を使った、おすすめのレシピを2つ紹介します。誰でも簡単に作れるレシピなので、ぜひ参考にしてください。

4-1. さつまいものごまあえ

1品目のレシピは「さつまいものごまあえ」です。さつまいもには可食部100gあたり480mgのカリウムが含まれ、血圧を下げる効果が期待できます。

なお、塩分の摂りすぎは血圧を上げる原因となるため、しょうゆは減塩タイプのものを使うのがおすすめです。

【材料】2人分
・さつまいも(小) 1本
・白すりごま(または黒すりごま) 大さじ1.5
・砂糖 大さじ1/2
・しょうゆ 大さじ2/3

【作り方】
1.さつまいもをよく洗い、太さに応じて縦に2~4等分にします。さらに5~6mm幅に切って、水にさらしましょう。
2.水気を軽く切ったさつまいもを耐熱容器に並べ、ラップをしたら電子レンジでやわらかくなるまで加熱します。
3.すりごま・砂糖・しょうゆをよく混ぜ合わせます。粗熱を取ったさつまいもを加えてあえたらできあがりです。

4-2. アボカドと長芋の海苔あえ

2品目の材料のうち、血圧を下げる効果が期待できるのは、アボカドと長芋です。

アボカドには可食部100gあたり590mgのカリウムが、長芋には可食部100gあたり430mgのカリウムがそれぞれ含まれます。

アボカドは、皮の色がチョコレート色で、手に持ったときに吸い付くような弾力があるものを選んでください。ヘタが取れているものや、ヘタの周りが変色しているものは避けましょう。

【材料】2人分
・アボカド 1個
・長芋 50g
・白ごま 適量

(A)
・のりの佃煮 小さじ2~
・ごま油 小さじ1
・しょうゆ 適量

【作り方】
1.アボカドは半分に割り、種と皮を取り除いて1cm角にカットします。
2.長芋は皮をむき、ポリ袋に入れます。食べやすい大きさになるまで叩いてください。
3.ボウルに(A)を入れてよく混ぜ合わせ、アボカドとポリ袋から出した長芋を加えてあえます。
4.お皿に2を盛り付け、白ごまを振ったら完成です。

健康的な生活で血圧を改善しよう

今回は、身近な健康バロメーターである血圧の基本的な知識をお伝えしました。血圧が少し高い程度で普段の生活に支障がない場合は放っておきがちになるかもしれません。

しかし、血圧が高い状態が長く続くと、体に不調をきたすリスクがあるため、今一度生活習慣を見直してみることが大切です。

ぜひこの機会に、食生活や運動習慣などを見直してみてはいかがでしょうか。

監修者情報

河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。
保有資格:
・日本抗加齢医学会専門医
・日本麻酔科学会専門医
・日本レーザー医学会認定医 ほか


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